
ヴァンガード(Vanguard)という英単語は、アバンギャルドを語源として「先鋒、前衛」といった意味があります。日本人にはそれほどなじみのない言葉でしょうが、昔から、英国の軍艦の名称として用いられてきた経緯があり、直近では英国海軍で就役中の原子力潜水艦の一隻にヴァンガードという艦名が与えられています。
しかし、一般に(というか、ある程度の歴史好きの方にとっては)、ヴァンガードといえば英国戦艦の HMS Vanguard の方がしっくりくるのではないでしょうか(写真)。本船は「先鋒、前衛」という名前にもかかわらず、英国の建造した最後の戦艦になりました、しかも経緯としては、過去に建造中止となった軍艦の建材や大砲を利用して低コストで一隻戦艦を用立てようという、やや安直な理由で建造され、そのせいもあってか、英国戦艦の中では最良の性能を持つとはいえ、同時代の各国戦艦と比べると技術的には特段の特長のない、堅実さと使いやすさが取り柄の平凡な性能の船になってしまいました。おまけに第2次世界大戦には就役が間に合わず、活躍もしないまま平和な時代にその一生を終えたのです。
とはいえ大戦期に建造された英国戦艦らしい、スマートかつ伝統と新しさがうまくミックスされた、良い外観をしていますし、プロダクトとしては個人的には、結構お気に入りの一台なのです。
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で、トヨタのヴァンガードの話になるのですが、販売台数を見るとベスト30位にギリギリ入るくらいで、月販2万台強、SUVとしては日産のエクストレイルに次いで2番目に売れている、何気に人気のある車です。ご近所さんにも2台の黒のヴァンガードがあり、ちょいちょい走っているのを見かけるのですが、個人的にはいつも「割といいやん~」などど思いながら見送っています。
・エクステリアデザインは、すっきりしてアクが強くなく、割と格好いい。
・程よい大きさ
・革内装も選べて、ちょっぴり高級感がある
・3列シートもあり、ファミリーユースでも魅力的
・安い
と結構いい感じで、買ってもいいかもと思わせるものがあります。
しか~し!、製品としての成り立ちはといえば、ライトSUVのRAV4のストレッチ&化粧直しバージョンであり、技術的にもなんらの特長はなし、各部も安っぽい作りで、トヨタに転がっている、車台やパーツを寄せ集めて作ってみました的な、一丁上がり感に満ち満ちています(笑)。とても名前の意味するところの。「先鋒、前衛」といったイメージは持ちようがないのが実情です。
昨今、欧州勢では、Audi Q3、BMW X1、LR Evoque などなど魅力的なライトSUVが登場してきているなか、値段の安さ以外には、とても対抗できるような気がしません。入れ物(エクステリア)はこんな感じでよいので、是非、最新のHVシステム等の気合の入ったメカニズムの組み込みやインテリアの質感アップなど行って、名前負けしない魅力的なSUVを仕立てて提供して欲しいと思います。
トヨタさん、よろしくお願いします。
【追記】
後日改めて過去のブログを見直していると、日本のライトSUVに関して、何度も同様の趣旨のことをブログに書いていることに気がつきました(
これとか
あれとかです)。どうも、この件については、個人的な思い入れがあるようです、気がつきませんでしたがww
Posted at 2011/11/05 12:13:17 | |
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