先日のブログで、クルマが売れない理由として、「通信費を主とする IT 関連費用の増大が伸び悩む収入を圧迫しているという構造上の要因があり、クルマ自体に魅力がないからでは必ずしもない」との考察を行いました。また、このブログを見ていただいた方から、高齢化(+少子化)による運転人口の減少がクルマの販売数の減少につながっているのでは、とのご指摘もいただきました。
今回は、前回ブログの続きとして、クルマの購入・維持に費やせるお金が減少しているという現実を前に、自動車メーカーが、さまざまな工夫を凝らしてユーザー確保に努力してる様子について、自分なりの分析を行ってみるとともに、クルマが売れない理由についても、前回の内容を補足・補完するかたちで少し書いてみたいと思います。では、購買層の拡大、あるいはシェアの確保を目標に行われている取り組みについて、以下、挙げていきたいと思います。
まずは従来から殆どのメーカーが主たる力を注いでいるのは、
1.生活密着型のミニバンのフルラインナップ化:
どうしても多人数を載せなければならないというニーズは特に若年~中年層には多いので、そこを確実に狙いにいくという作戦。生活の道具としてより最適化を図り、全域のユーザーを取り込む
2.軽自動車ラインナップの充実:
お金をかけられないが車は生活のために必要な層に対応する。トヨタ、ダイハツ、スバルはダイハツを軸に展開、日産はOEMで、ホンダ、三菱は自前、勿論スズキも。
あるいはお金をかけられない若い人を主なターゲットに、
3.安くて運転の楽しい/道具として面白い車の提供:
この方向性には過去より唯一無二の存在としてマツダロードスターがありますが、最近、トヨタもここに注目して、スバルと共同でハチロク (86) を開発してきました。
更に高齢化を踏まえて、
4.裕福層へのプレミアムなクルマを提供:
子育てを離れた世代や団塊世代のリタイヤ組みなどお金を持っている層を対象としたビジネスです。この層は現代日本で構成比が大きく増えた階層であり輸入車(新車・中古車を含む高級ブランド)のビジネスを支える主要ターゲット層になっていると思います。国産メーカーではトヨタのみがレクサスブランドの展開により実効性のある手を打っているといえます。
また、全く新しい切り口から購入層を引き付けるため、
5.省エネルギー/環境性能の追求:
ハイブリッド車や従来技術の改良により環境にやさしいクルマをアピールすることで、既存の購買層全体の置き換えを狙う作戦です。これはトヨタが断然先行していますが、国産メーカーは猛追中の状況です。
このように挙げていくと、国産自動車メーカー各社は長期凋落が必至の国内市場を見据えて可能な手は打っていると言えます。前回ブログでは素人見解を偉そうに書きましたが、勿論、専業の方々は先刻ご承知の上で長年努力を重ねておられるのであろうということは、まずコメントさせていただきたいと思います。
さて、本題に戻りますが、上記の分析の結果から新たに考えた(いやむしろ感じたといった方が正確でしょうか)ことは以下の三つになります。
まず、こういった施策を全方向的に抜かりなく実行しているという点で、やはりトヨタはさすがであるということ(車自体は必ずしも好きではないですがw)。今年度は GM、VW に遅れをとり、販売実績は世界第3位になりそうですが、こと日本人にとってはトヨタの存在感が大きいといえるでしょう。
次に、こういった議論とセットになって良くクルマメディアでは「国産セダンが売れなくなった、何故?魅力ないから?」などと言われますが、もともとはその汎用性の高さ故にクルマ販売の主力をなしていたセダンは、市場が拡大しない中で、自動車メーカーの先に述べたような施策の反映として、ミニバンに置き換えられ、上と下の購買層を輸入車や軽自動車に奪われ、最近ではハイブリッドに侵食されるなどして、顧客取り込みの対象になっている訳で、特にミドルサイズ国産セダンは売れなくなるのは当然と言えます。いってみれば各自動車メーカーは自分の尻尾を食べているようなもので、セダンは売れなくなっているのが正しい方向性なのです。
最後に、最近モーターショウなどで、輸入車が「元気が良い、魅力的だなどとのコメントが多くの自動車評論家から発せられていますが、国内市場を見たとき輸入車が仮にも勢いを示しているのは、上記の(4)のセグメントのみではないかと思います。本気で輸入車が国内市場で「クルマとしての魅力が国産車より高い」というのであれば、軽自動車はさておき、それ以外のセグメントでどれだけ勝負できているかも問われなければならないと思いますが、実際は勝負になっていないのが現実でしょう。話題としては面白いのかもしれませんが現実を歪曲するのは如何なものかと思います。
* * *
今後も国内のクルマに関連する物事がより魅力的であって欲しいと切に願っていますし、国産メーカーの努力には期待するものです。日本だけを見ていても打開策は必ずしも見えてこないのも事実ですが、だからこそ各メーカーは世界を見据えてビジネスを展開しているのだと思います。日本だけ見ても採算が取れなくても、グローバルでビジネスになるのなら楽しく魅力あるクルマを開発してそれを上手く日本に導入してもらいたいと思います。
Posted at 2012/01/15 08:45:31 | |
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