ゴールデンウィークのディーラー訪問の顛末、第4弾として、T5クロスカントリーに試乗しましたのでレポートしたいと思います。下の写真の3台の一番向こうのクルマが試乗車です。ご好意で30分、20km程度の距離を単独でドライブさせていただきました(キーを渡していただきと書こうとしましたが、キーレスエントリーでしたので実際にはそういうことにはならなかったのですがw)。
試乗の方に集中していたので、申し訳ないのですが写真は殆ど撮らずでした。エクステリアデザインは好みの問題ではありますが良い感じではないでしょうか?まあ歴代ボルボXCモデルの系譜に沿うものとは言えると思います。
内装は素のV40に比べると、ツートーンの革シートとコンビのトリムの装飾等々、クロスカントリーらしい味付けと、値段に対応するアップグレートがなされています(269万円 ⇒ 359万円)。これも好き好きにはなりますが、S60と比べても見劣りしない内装と感じました。
さて試乗にあたっては、やはり愛車S60の1.6L直4ターボ・6DCT・FFと、過去に試乗したS60T6の3L直6ターボ・トルコン6AT・4WDの特徴を踏まえての、2L直5ターボ・トルコン6AT・4WDの動力性能に興味が持たれました。で、乗ってみてですが、月並みで申し訳ないのですが、T5の動力性能はT4とT6の中間という感想でした。具体的に言うと、発進から中速度(タウンスピード)までの力感と(変速の)スムーズさは明らかにT4より上級のT6に近いものでした。一方、高速域への加速の伸びは、ある回転域までは力強く、その後に頭打ち感が出てくるところがT6よりむしろT4に似たものを感じました。
サスペンションの設定もT6のそれに近く、S60のT4より固いがリニアな動きを示しました。4WDらしく、オンザレール感覚のある直進安定性の高さが実感されましたが、反面、T4に比べての若干の鼻先の重さも感じられました。ハンドリングはS60と同じく軽やかでスムーズな操作感でした。S60に比べてより小さいサイズではありますが、総じて運動性能に関しては特段に差異は実感できず、むしろ先に述べたようにエンジン等その他の装備の影響を強く感じた次第です。
自分のS60にはない最新の装備として今回アイドリングストップを初体験しました。停止時に割りとこまめにストップするのですが、暑い日だったのでエアコン入れっぱなしであれば、すぐに再始動しました。始動のショックは、気は付きますが煩わしいものではなく直ぐ慣れるレベルだと思います。環境問題を考えると実効性だけではなくモラルの面からもアイドリングストップは、望ましい装備というよりむしろ、エアバックやABSと同様に、ないとマイナスになる必須の装備になるだろうなと感じました。
またこのクルマには車載カメラによるパーキングアシスト装置が装着されており、試乗後の駐車時にお世話になりました。まあ便利とは思いますがなくても良いのかなとというのが感想です(お値段次第とは思いますが)。しかし、新型メーターパネルといい、アイドリングストップ、パーキング・アシスト、ヒューマン+シティセーフ、ナビと、クルマそのものも進歩しているのでしょうが、IT技術による各種のドライバー支援システムの充実が昨今著しいことが、V40の試乗でも実感できました。実際ボルボでも試験の様子が公開されていましたが、自動運転の普及まであと一歩のところまできているのではないでしょうか。
以上、V40 T5 クロスカントリーの乗り味は、繰り返しになりますがS60のT4とT6の中間に位置付られると考えたのですが、更に踏み込んで言うと、中間でもかなりT6よりだと思います。ちなみに価格を並べてみるとこのようになり...
V40 T4 269万円、T4SE 309万円、T5-CC 359万円、T5-R 399万円
S60 T4 379万円、T4-R 459万円、T6 529万円、T6-R 599万円
標準装備に違いがあるので単純な比較はできませんが、T6に近い動力性能が200万円近く安く手に入るクロスカントリーはとてもお買い得といっても良いのではないでしょうか? V40 Rデザインの乗り味は分からないので断言できませんが、総合的に考えてクロスカントリーはV40のラインアップの中でベストチョイスになり得るのではないかと思いました。
少し話がそれますが今回の試乗を通じて、気がついたことが2つあります。
ひとつは直5エンジンの価値についてです。今までは直5は4気筒と6気筒に挟まれて技術的にも機能的にも中途半端な印象があり、採用する意義がもう一つ理解できなかったのですが、今回T5に乗ってみて、エンジンとしては完全にではありませんが直6にかなり近い印象を受けました。そうなると直6に比べて軽く小さいこと、1気筒少ないことによる効率の高さ、等々が生きてくる訳で、特にフロント横置きを前提とするのであれば直5を採用するメリットは多いと言えます。そして、そう考えるならばボルボが何故に今まで直5にこだわり続けてきたのかが理解でるように思います(今後はどうなるか分かりませんが)。
もう一つは、T4、T5、T6というボルボのもつ動力系のラインナップを並べて見た場合、S60であれば、国内導入モデルとしてT4、T6の2グレード構成としたことは、T5とT6の乗り味が近いことを考えると合理的な判断であったということです。比較的安価なエントリーグレードとしてのT4、そして高価格ながらプレミアムを求めるT6であればターゲット層の住み分けが可能だと思います。同じことは、V40にも言えますが、この場合は、エントリーのT4と、Rデザインあるいはクロスカントリーといった独自の味付けを加えた2つのT5モデルにおいて、S60と同じような住み分けが想定できるわけです。
とは言うものの、総合的に考えるとS60もT5がベストバランスの可能性があるではないかとも予測され、個人的には一回乗ってみたいと思った次第です。上記に書かせていただいたのが事実でモデル間での住み分けが難しいのであれば、T4‐Rをやめて、(あればですが)T5-Rを導入するのも一案かなと思いました。どうでしょうかね?
以上、簡単ではありますが試乗レポートと若干の考察を書かせていただきました。
本ブログは5/5に公開しましたが、大幅な文章の手直しと一部記載の追加を行いました。
了
Posted at 2013/05/05 11:57:59 | |
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