日本国有鉄道が設計・製造し、1形式としては最多を誇った直流通勤形電車である103系は、1963年(昭和38年)から1984年(昭和59年)までの21年間に3,447両が製造されました。
首都圏では山手線、大阪では大阪環状線など、大量輸送時代の主要都市部を支えてきた本形式は、時の経過とともに淘汰され、「乗りものニュース」によれば、2023年3月の残存率は、わずか1%となっております。
(出所:https://trafficnews.jp/post/124733)
その中でも今回引退する和田岬線の、網干総合車両所明石品質管理センター103系R編成(6連)は、 大きな改造をされず、国鉄時代の面影を色濃く残す存在です。
通称和田岬線とは、神戸市兵庫区の兵庫駅から和田岬駅までの1駅約2.7㎞を結ぶJR山陽本線の支線です。
今回、和田岬線の103系最終運行予定日が、 2023 年3月 18 日(土)と公式発表されておりますので、乗り収めして参りました。
まずは大阪駅から、東海道本線・山陽本線に乗車します。
JR西日本223系がやってきました。
方向幕(路線記号付き種別幕と行き先表示)です。
ボックスシート配置で、座席モケットがブラウンというのが高級感があり嬉しいですね。
三ノ宮駅で普通に乗り換えます。
阪神・淡路大震災時には、このあたりも大きな被害を受けたところです。
兵庫駅に到着。
これが和田岬線ホームかな?
階段から、昭和の駅という雰囲気です。
階段を降りたところに、専用の精算機がありました。
和田岬線の改札は、運行がない時間帯(9:25~17:00は)閉鎖されています。16:40の列車に合わせて、既に並び始めています。
せっかくなので、階段を下りてみます。
重厚感があり、もしやと思い調べてみたら、兵庫駅の駅舎は昭和5年築、鉄道省設計とのこと。改札を出て撮影するべきだった!!
和田岬線改札口へと戻ります。
この看板も懐かしい。
人が増えてました。
改札が開きました。改札を通り抜けてすぐ、復路(和田岬駅→兵庫駅)の切符を購入する機会があります。これは和田岬駅が無人駅であるためです。
よく分からないですが、言われるがまま購入しました。
長めの連絡通路があります。
既に、懐かしいブロワー音が聞こえてきます!!
ヘッドマークが掲出されています。
車止めが、始発駅の雰囲気を醸し出します。
余計な商業施設もなく、正に旅客業に特化した昭和の鉄道駅という雰囲気ですね。
兵庫駅を出発。
しばし、車内を見学。
JR西日本の本件に関する告知が、車内中でされておりました。
自分にとって「通勤電車」と言えば、この雰囲気です。
こちらも、鉄道車両から消えつつある、丸形の扇風機。
車内も直線的デザイン。
網棚や、
非常用ドアコックの表示、
渡り板など、何気ない箇所も懐かしさ(=国鉄)を感じます。
窓は上半分しか開かなくなっていました。
終点に近づきました。
和田岬駅に到着。
低運転台車より後に高運転台車が製造されましたが、結局最後まで残ったのが低運転台車になったのには、何か理由があったのでしょうか。
現代となっては、切妻構造さえも、特徴的に見えてしまう。
クハ103-247(兵庫駅側)と、クハ103-254(和田岬駅側)で、ヘッドマークデザインが異なっていました。
折り返し時間が迫っています。
一度兵庫駅に戻ります。もちろん先ほどの切符で一旦精算します。
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材木橋上にも、撮影者がいるようです。
川崎重工業兵庫工場への引き込み線。
兵庫駅に到着。
昔の和田岬線の画像や動画を拝見するに、阪神大震災後に再開発されるまでは地平ホームだったようです。ということは、この写真の下からDLに牽引された旧型客車列車が発着していたのでしょう。
駅名標。
精算方法が最初よく分かりませんでしたが、単純に和田岬線乗車分を、兵庫駅改札横の券売機で都度購入するということです。
先ほど見れなかった部分を、じっくりと見学。
日立製AU75と、
グローブ型ベンチレーターに感動。
この側面の通風孔は何のためでしょうか?
JR西日本仕様の方向幕。
当時の標準、鋼鉄車の証。ちなみに戦後の国鉄や車両メーカーには、旧帝国陸海軍の技術者が多く、当時の最先端技術が投入されていました。
妻面窓と、
そして何よりこのモケットこそ、国鉄車両。
国鉄「青14号」最高!
時間の経過と共に、撮影者も増えてきます。
出発時刻が迫ってきました。
再び、和田岬駅。
皆、ホームの脇から出て行くので、えっと思ったら、数か所このような階段が設けられていました。
こんな感じです。
ホーム南端。駅舎はありません。
車止めがあります。
位置関係。
大きな桜の木がありました。
何か基礎部分らしきものが残っています。子供時代には、至る所に信号場があり、その脇にこのような花壇が設置されていましたね。懐かしさで一杯です。
一本見送って、御崎本町踏切から撮影します。
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列車が去った後。
さらに和田岬駅周辺で時間を潰し、日没後の入線を待ちます。
103系と地平ホーム。昭和時代の、ゆっくりとした時間を過ごしているようです。
2灯シールドビームが灯りました。
急いでホームに戻ります。先ほどのホーム脇の階段のおかげで、アクセスしやすいです。
兵庫駅に到着。
名残惜しいですが、再び出発を見送って103系を見納めとしました。有形物に消滅とは必然ですが、これで本当に国鉄型車両が消え去ろうとしていることを強く実感じます。
22年間、正に通勤通学を支えてきた和田岬線のR1編成。103系については1963年(昭和38年)3月の登場からちょうど60年、その功績の偉大さに敬意を表すると共に、その記憶は日本の鉄道史に残るものでありましょう。
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帰りは東西線・学研都市線がやってきたので、こちらで京橋方面に向かいました。207系です。
今日の〆は、あっさりした大阪の醤油ラーメン。これがまたウマい!!
一抹の寂しさを、おいしいのもで相殺するのが、私流です(苦笑)
Posted at 2023/03/09 23:35:01 | |
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