スイス製時計のまやかし

時計はスイス製が一番♪

時計マニアでなくともそうした考えを持つヒトは少なくありません。クォーツショックにより世界の時計市場を根底から崩壊させた日本の時計業界でしたが、確かに“正確さ”という点では世界を制しましたが、“ブランドイメージ”や“ステイタス”といった面では結局はスイス製時計に取り戻された、ってのが正直な印象ですね・・・・

マーケティング理論に基づく商品開発や販売、ブランドの育成などは長く日本企業が苦手としたやり方であり、その点では抜け目ない欧州企業群、時計であればスイス時計業界に日本企業は結局押し返され、高級時計＝スイス製、安価だけど正確な時計＝日本、の構図は揺るがなくなってきました。

実際日本製のムーブメント生産数は記憶に間違いがなければ世界一の規模です。しかし実態はクオーツムーブメントがほとんどであり、機械式、ソレも高級品ともなるとスイス製の独断場となっています。しかしここに見過ごせない逃げ道が存在します。

普通のヒトの感覚じゃ、

スイス製の時計？そりゃ当然スイスで作ってんでしょ？

・・・・

当たり前ですわね～。
しかし実は抜け道があるのですよ・・・

スイスにはその時計ブランドを保護するための協会が存在し、日本にも支部があります（びっくり）。
そこで定義（これはスイスの法令に基づく）するスイス製の時計とは以下であるとされます。

1. 内蔵するムーブメント（駆動体）がスイス製であること
2. ムーブメントの時計への組み込みがスイス国内で行われていること
3. 製造者による最終検査がスイス国内で行われていること

そのスイス製のムーブメントとは、
1. 組立がスイス国内で行われていること
2. 製造者による検査がスイス国内で行われていること
3. ムーブメント部品コストの少なくとも５０％にスイス部品が使用されていること（ただし組立コストは含まず）。

なのです。

よく読んでくださいね・・・。

コレを読み解くと

・半完成品で持ち込んだムーブメントの主要パーツをスイス国内で組み込めばソレはスイス製のムーブメントである。
・そうして作ったムーブメントをスイス国内でケースに入れ、完成品へと仕上げ、さらに検査を受ければソレはスイス製時計である。
・そのスイス製にはSWISSなどの銘を打ってスイス製時計として販売することをスイスでは保証する。

さて、何か悪巧みを思いつきましたか？

もうちょっと書き足しますと・・・

・中国で生産して半完成品で持ち込んだムーブメントの主要パーツをスイス国内で組み込めばソレはスイス製のムーブメントである。
・そうして作ったムーブメントをスイス国内でケースに入れ、完成品へと仕上げ、さらに検査を受ければソレはスイス製時計である。
・そのスイス製にはSWISSなどの銘を打ってスイス製時計として販売することをスイスでは保証する。

・・・・・

実際価格の安めのスイス製時計というのは実は結構中国製パーツが使われています。時計メーカーはイメージを非常に重視しますので中国製パーツの含有率を決して明らかにはしませんが、大手のムーブメント供給会社などでも工場が中国やアジアエリアに結構あったりします。さて、そんな工場で何を作っているんでしょうかねぇ・・・

もう一度聞きますよ～

時計はスイス製が一番♪って本当にそう思いますか？