
●エンジンブレーキのメカニズム
エンジンブレーキは,アクセルペダルから足を離すことで燃料の供給が止まり,タイヤの回転がトランスミッションなどの駆動系を逆に伝ってエンジンを無理やり回す状態になることで発生する
・ポンピングロス(吸気抵抗)
アクセルを戻すとスロットルバルブが閉じ,空気を吸込むときの抵抗(シリンダー内の負圧)がピストンの動きを妨げる
・メカニカルフリクション
ピストンとシリンダーの壁面との摩擦や,クランクシャフトなどの軸受けやエンジン内部のパーツ,トランスミッション内の回転物が回転するときの摩擦
・補機類の駆動抵抗
オルタネーターやエアコンコンプレッサーなどをエンジンが回し続けることによる負荷が,そのまま減速力として働く
燃費を向上させるため,メカニカルフリクションや補器類の駆動抵抗を極力下げるようにしている
●ガソリン車
吸入空気量とそれに見合った燃料噴射するガソリン車は,アクセルを離すとスロットルバルブが閉まり,空気が入りにくくなって,この時ピストンが無理に空気を吸い込もうとして強い抵抗(ポンピングロス)が生まれ,これがエンジンブレーキとなって作用する
●ディーゼル車
CX-60/80に限らず,燃料噴射量で制御するディーゼル車は,基本的にスロットルバルブがないので,ポンピングロスがほとんど発生せず,エンジンブレーキは働きにくい
また,ディーゼルエンジンは高い圧縮比で空気を圧縮するため,圧縮した空気が元の体積に戻ろうとする力が働くことも要因である
大型のディーゼル車は,排気側のバルブを絞って圧力を高める排気ブレーキを搭載し,エンジンブレーキの弱さを補っている
●CX-60/80 ディーゼル車の制御
吸気シャッターバルブ(32),高圧EGRバルブ(52),排気シャッターバルブ(45)を閉じることで,ポンピングロスを発生させることができそうであるが,そのような制御はしてない
■吸気シャッターバルブ
基本的に開く方向で完全に閉じない
・燃費・回生効率向上のため,ポンピングロスを低減
MHEVモデルでは,アクセルオフ時にエンジンブレーキで車体を減速させるよりも,ポンピングロス減らし,減速エネルギーをモーターの回生発電へ回す制御が優先される
・負圧によるオイル上がり防止
アクセルオフのコースティング中に吸気バルブを強く閉じると,シリンダー内が強い負圧になることで,エンジンオイルを燃焼室に吸い上げてしまうため,基本的に開けたままにする
エンジンを停止させて惰性走行するアイドリングストップの瞬間や,完全停止時のエンジン振動を抑える瞬間に,ピストンの反動をなくすために一瞬全閉にされる
■高圧・低圧EGRバルブ
アクセルオフ時は基本的に全閉する
・燃焼がないためEGR不要
EGRは燃焼温度を下げてNOxを抑えるためのシステムで,アクセルオフ時は燃料がカットされており,燃焼自体が起きていないため,排気ガスを吸気に戻す必要がない
・煤によるインマニの汚損防止
燃焼していない冷たい空気の中に,煤を含んだ中途半端な排ガスが回ると,インテークマニホールドやバルブ周辺にカーボンが堆積する原因になる
■排気シャッターバルブ
・低圧EGR
効率的に排気ガスを還流させるために閉じるが,アクセルオフ時は低圧EGRを還流させないために,排気シャッターバルブは閉じない
・DPF再生
排気温度を約600℃付近まで上昇させる必要があり,排気シャッターバルブの開度を絞ることで,ポンピングロスを意図的に発生させ,排気温度を急速に上昇・維持させる
・冬場や始動時
エンジンおよび排気ガス浄化触媒が冷え切っている冷間時にバルブを絞り,排気ガスを素早く温めて,排気クリーン化のための触媒を早期に活性化させる
ディーゼル者は構造上エンジンブレーキが働きにくいので,シフトダウンとフットブレーキでエンジンブレーキの不足を補う必要がある
Posted at 2026/10/27 03:43:45 | |
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