
ふと思ったこと・・・
CX-60/70/80/90に採用されている新開発の8速オートマチックトランスミッション(8AT)は,一般的な乗用車で主流となっているトルクコンバーター(トルコン)を使用せず,湿式多板クラッチを採用したことが最大の特徴である
トルコンを使用しないATは,AMGスピードシフトMCT(43/53/55/63など)やトヨタ デュアルブーストハイブリッド(クラウンクロスオーバーRS,RX500hなど),過去には日産 1モーター2クラッチ式ハイブリッド(フーガ,スカイライン,シーマなど ※乾式・湿式),ホンダ マルチマチック,スズキ SCVTなどにも採用されている
DCTはミッション部がマニュアルであるが,湿式多板クラッチATとも言える
■なぜ湿式多板クラッチなのか
マツダはこの構造を「人馬一体」の走りを実現するために,意図的に選択した
・ダイレクト感の追求
トルコンを介さないことで,エンジンの駆動力をマニュアルトランスミッションに近い感覚で直接タイヤへ伝達できる
その結果,加速時のタイムラグが抑えられ,よりダイレクトで力強いレスポンスを実現する
・効率性とコンパクト化
湿式多板クラッチを用いることで構造を簡素化でき,伝達効率の向上と燃費改善に寄与する
さらに,トランスミッション本体をコンパクトに設計できるため,縦置きプラットフォームに最適化されたレイアウトが可能となる
■ユーザー評価
しかし,この先進的な設計は多くのユーザーにフィーリングの不一致をもたらした
・メリット
スポーツ走行時やアクセルを踏み込んだ際の瞬時のレスポンスは高く評価されていた
・デメリット
低速走行やストップ&ゴーの多い状況では,クラッチの接合・離脱がトルコン式のような流体による滑らかなつながりを持たないため,ギクシャク感や硬さを感じるユーザーが多く存在した
■マツダによる継続的な改善とその副作用
マツダはユーザーからのフィードバックを受け,ソフトウェアアップデートを継続的に実施してきた
・半クラッチ領域の拡大
・変速時間の延長
・アイドリング回転数引上げ
などによって,通常走行モードにおける変速ショックや挙動の最適化が進み,扱いやすさが改善されたと評価する専門家もいる
初期の頃はブレーキをリリースしても動き出すことはほぼなく,アクセルをわずかに踏み込まなければ動き出すことはなかったが,特に2型からはブレーキをリリースするとトルコンのクリープのような感じで動き出すようになり,変速時のショックも軽減された
一方,度重なるアップデートによって,初期の頃のようなダイレクト感が徐々に薄れ,わずかなスリップ感を伴うフィーリングへ変化し,当初マツダが目指した完全なダイレクト感とは異なる方向性となったと言える
変速を意識しながらマニュアル車のようなアクセル操作をすることで,ダイレクトで気持ちの良い加速や変速を感じられていたのが,トルコンのフィーリングに近づけようとしたことが結果として破綻し,中途半端なものになってしまったことは,個人的に残念だと思う
ドライブモードがあるのだから,Mi-Driveのスポーツモードについては,初期のようなダイレクト感のある制御にして欲しかった
Posted at 2026/09/28 19:41:17 | |
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