装着後3週間で約800km走行しましたので,第2回目のレポートします。
モニタータイヤはPirelli P ZERO 245/40R18 97Y XL (MO)です。
装着車両はGVBD specC,ホイールはTAN-EI-SYA製鍛造ホイール DIREZZA RZS for STREET(1890+48),タイヤ変更前後で車高調減衰は変更せず,その他仕様はパーツリストを参考にどうぞ。
なお,装着後約100kmでアライメント調整をしました。
第1回レポートと重複もありますが,現時点で総括します。
■タイヤタイプ・仕様
タイプとしては,DUNLOP SP SPORT MAXX TT,BRIDGESTON POTENZA S001などのプレミアム(フラッグシップ)タイヤに該当します。
MO(Mercedes Original)表示があることから,メルセデス・ベンツ承認タイヤです。
DOTから,製造はドイツのBreuberg工場,2014年37週(9月上旬)の生産。
欧州ラベリング,UTQG及びカタログ値から,
・欧州ラベリング 燃費 C,ウェットグリップ B
・Treadware 220,Traction AA,Temperature A
・重量 10.4kg,総幅 252mm,トレッド幅 234mm,外径 653mm
となっています。
欧州ラベリングの燃費 C,ウェットグリップBは,JATMAラベリングで転がり抵抗 A,ウェットグリップ bに相当するので,いわゆる低燃費タイヤに分類されるでしょう。
■タイヤ外観
トレッドは3本の太めのストレート溝と内外指定の非対称パターンで,スポーツに特化したパターンではなく,MAXX TTやS001と同じようなコンセプトのパターンです。 サイドウォールデザインはシンプルなので,PIRELLIとP ZEROのロゴが際立っていますが,内外指定のため装着すれば見えなくなる内側のサイドデザインは素っ気なく,割り切りを感じさせられます。
既に初期インプレはアップしていますが,3/5に届き3/7に装着してから3週間,一般道(街乗り・郊外ドライブ),高速道,峠道(六甲山)など約800km走行したインプレを記述します。
エア圧純正推奨は230/190kpaですが,XLであることから,負荷荷重を合わて240/210kpaに調整しました。 なお,比較対象はこれまで装着していたDIREZZA ZII 245/40R18 93Wと,P ZEROとは方向性が異なるタイヤになります。
■ドライ性能
ステアリング初期応答はZIIより遅く感じます。 ケース剛性もあるでしょうが,縦溝が少なくブロックが連続しているZIIに対し,太めのストレート溝でブロックが横方向に切れているため,ブロック横剛性がZIIより低いためでしょう。 しかし,コーナリング時の転舵状態でのリニアリティは悪くなく,転舵中の切り足しや切り戻しが必要なシーンもなく,トレース性やコントロール性が悪いという印象はありません。 また,初期応答が敏感すぎないことが,直進時に余分な神経を使わずにすむので,特に高速巡航時の走行安定性が高く疲労度が低減されます。
コーナリングフォースは若干低下していると思われ,コーナリングでの舵角が若干増えたかなと感じる場面がありましたが,ドライグリップが低いというわけではなく,サーキットではいざ知らず,街乗りで不満に感じることはありません。
ブロック間の横溝が比較的細く,溝にブリッジが入れられているため,加減速時の縦方向の剛性感は高く,フル加速のトラクションや急減速でヒステリシスを感じることはありません。。
急減速時のABS介入に関しては,若干早くなったかなと感じます。 コンパウンドだけではなく,トレッド幅が約7mm狭く,シーランド比が小さいことから,接地面積が減少していることも影響していると考えられますが,グリップが不足しているということはなく,介入時のコントロール性に不満はありません。
ストレートパターン,細めのトレッド幅も効いていると思われますが,轍でのハンドル取られが少なく,耐ワンダリング性も高いので,先の初期応答が敏感すぎないという点と合わせて,高速巡航だけでなく街乗りでも運転が楽です。
■ウェット性能
3本の太いストレート溝で見た目に排水性が良さそうなパターンですが,ウェットグリップ,耐ハイドロ性共にZIIより大幅にアップしており,ウェット性能はかなり高いと感じます。 これまでは特に冷えた状態での走り出しで気を遣うことがありましたが,そういった気遣いが不要で,白線・継ぎ目・マンホール通過などの滑りやすい状態でも接地感があります。
5部山強のZIIとの比較になりますが,同じ個所の水溜り通過時の接地感は大きくアップしており,耐ハイドロ性能が高く,ウェット走行時の安心感を得られます。
ウェット路面のコーナリング途中にギャップを拾っても,横跳びすることがなく,これはウェットグリップが高いだけではなく,ケース剛性が高すぎないことも効いているのでしょう。
高速・街乗り共に,雨天時の安心感・安定感が高まり,運転が楽になりました。
■静粛性
ZIIとの比較には無理がありますが,静粛性は大幅にアップしています。 ロードノイズは速度にもよりますが,オーディオボリュームを1~2段ダウンできるレベルに低下しました。 パターンノイズも低下しており,これはストレートパターンであることが効いていると思われます。
また,常用速度域の特定速度における特定周波数のノイズ発生は感じられず,パターンと共にタイヤの真円度も高いと考えられます。
乗るたびに「うるさい車ね」と言ってた嫁が,「この車ってこんなに静かやったん?」と言うくらいなので,相当静かになったと言えます。 騒音計で室内ノイズを測定しておけば良かったのですが,感覚的に10db近く減っているのではないかと感じます。
■乗り心地
ブロック剛性と共にケース剛性の違いが効いていると考えられますが,乗り心地はかなり良くなりました。 段差や路面の継ぎ目乗越えで,ZIIではガツンと入力(衝撃)が入ってきましたが,P ZEROでは入力が半分かそれ以下になったような感じです。 高扁平タイヤのようとは言えませんが,段差や路面の繋ぎ目通過で,身構える必要がなくなり,それら通過後に揺れの収束が遅いこともなく,ダンピングもしっかり抑えられています。
タイヤ重量が1.4㎏近く減っていますが,バタつくということはないので,極端なバネ下低下で見られるようなネガはありません。 足周りを固めたチューニングカーから高級プレステージカーに乗り換えたようなとは言えないまでも,この乗り心地の変化には嫁がかなり満足しています。
■転がり抵抗
タイヤ装着後,リフトから降ろそうとした時にアレ?っと感じました。 ZIIより軽量で,トレッド幅が狭く,トレッドラジアスが小さめのラウンドプロファイルになっていることもあるでしょうが,転がりだしがかなり軽く感じました。
ラベリングから転がり抵抗が2~3割減っていると思われますが,空走や坂道でのブレーキリリース時の転がりに表れており,信号手前でこれまでほとんどブレーキを踏まずに済んだのに,ブレーキを踏まないといけなくなるようなシチュエーションが交換直後に何回かありました。
低転がり抵抗は燃費にも表れているようで,n数は少ないですが,燃費が5%以上向上しており,走行時の平均燃費計表示でも0.3~0.5kplアップしています。 新品タイヤなのでタイヤ径が大きく(約0.7%)なっている影響もあるかもしれませんが,転がり抵抗低下によって燃費が向上していることが考えられます。
※【参考】ZII: 直近の給油11回で平均燃費7.5kpl,タイヤ交換後: 給油3回で平均燃費8.1kpl(+8%)
なお,同サイズに245/40ZR18 97Y XLがありますが,ラベリング表示と重量から推測して,こちらはまた違った印象になるでしょう。 ZRの方が(MO)よりスポーツ系じゃないかなと思います。
人によって異なるでしょうが,個人的な感覚で比較すると,
■ドライ性能(グリップ・コントロール性・ブレーキ性能)
P ZERO ★★★★
ZII ★★★★★
■ウェット性能(グリップ・コントロール性・ブレーキ性能)
P ZERO ★★★★★
ZII ★★★
■耐ワンダリング性(直進安定性)
P ZERO ★★★★★
ZII ★★★★
■静粛性
P ZERO ★★★★★
ZII ★★
■乗り心地
P ZERO ★★★★★
ZII ★★
■転がり抵抗
P ZERO ★★★★★
ZII ★★★
といった感じです。
ネガな点を挙げるとすれば,
・ドライ時のステアリングのクイックさがスポイルされた
・サイドが丸いので扁平率を上げたように見える
・接地幅が狭くなったのでタイヤが細くなったように見える
・パターンがアグレッシブではない
と言った点でしょうか。
最後に,サーキット走行を視野に入れないのであれば,雪道を除く全天候タイヤとして,GVBに欧州車ターゲットのプレミアム系タイヤはありだと思います。
この度はモニターに選んでいただき,ありがとうございました。
※この記事は
ピレリタイヤ体感モニターを募集について書いています。
--