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出発の日はお彼岸の入りだった、全部下道で行く案もあったが一般公道になれているとは言い難い3人である
今回は素直に高速を使う事にした、北に向かう道は東北道か常磐道
セレナの希望で常磐道を選択し北上する
2CVにはナビは付いていない
スマホの地図とバイク用ツーリングマップが便り
最初の目的地は東北のある町
ここに寄るのもセレナのリクエストだった
「なんか、この2CVおかしくない?」
後ろに乗っていたハルナが前の席に乗り出してくる。
「おかしいって何が?」
セレナがハンドルを握りながらこたえる
前と違って運転に肩の力が入っていない、ハンドルはほとんど手を添えているだけ
「だから・・・なんつ~か・・・変よ、こんなスムーズで速い2CVなんて」
アキラが手を入れた2CVは別物になっていた
3人乗りの高速の登りでまったくパワー不足になっていない
「ミナの家から帰ってきたら、こうなっちゃってたの!」
こうなっちゃってたのって、整備を依頼したのはセレナだろうが
「そう、父と母がノリノリでチューニングしちゃったのよ・・」
父と母が共同作業でクルマを仕上げるのは久々だったらしい
本当に楽しそうだった。。。あの二人
「どんなマジックを使ったらこんな2CVになるのよ」
ハルナはけげんな声で、後ろ席の背もたれにもどる
「はい、コレ!」
ハルナに紙を渡す
父アキラが何かトラブルがあった時の参考にとノーマルとは違う部分を書きだしてくれたリストである
私が見ても・・実は良くわからない
何気に受け取ったハルナが固まっている
「何これ、鍛造ピストンボアアップ850cc、鍛造コンロッド、ハイカム、各部ローラーベアリング化、フルトラ同時点火、FCRツインキャブ、筒内直噴インジェクタ追加、オンオフ機能付き電動ターボ、ドライサンプ化、ファン付オイルクーラー、オーリンズ改のサス、ボディパネルにカーボンパネルの接着接合、バードゲージ構造のカーボンフレーム補強、大型フローティングツインディスク(一枚はカーボン)、対向2ポットブレンボキャリパー、空冷911用冷却ファン・・・・・・・」
「呆れた・・・・」
紙を天井に向けながら眺めている
普通じゃない事は予想していたが、ハルナが言うのであれば間違いない
「これは反則なんてもんじゃないわよ・・・キャブ付の直噴電動ターボって何よ」
父は色々なメーカーや部品メーカーやレーシングチームの依頼で開発を請け負う事があるのは知っている
試作品の部品を付けたのかもしれない
「何か良くわからないけど、パワーが上がって乗りやすくなっただけじゃなくてエンジンの鼓動をより感じれるようになったわよ」
セレナが嬉しそうに応える
「ヘビーフライホイール・・・これが効いていそうね・・・さすがはミナのうちね・・・」
ハルナが本当に呆れたという顔をしている
ハイパワー化された2CVであるが、セレナの正確からしてスピードは出さず走行車線を坦々と走る。
ミワから言われたのは、何キロ出してもエンジンは壊れないけどヘッドライトやミラーは取れるから気をつけて・・・とだけ。
退屈な高速道も女3人も乗れば、話は尽きずあっと言う間に目的地の町の近くのICに着く
高速を降りてからは県道を海に向って進む
セレナが中学時代に一か月間だけ住んだという町へ向かう
「セレナ・・・ここらへんって震災で酷かった場所でしょ・・?」
「ウン、そう・・・私のいた町も津波でね・・・」
言葉の語尾に力がなかった
山間を川沿いに西に向かう、そして見晴しの良い場所に出る
景色が一変する
震災の洪水で飲み込まれた町
多くの家が流され・・更地が続く
鉄筋コンクリートで骨格は残したまま壊れた建物が、当時の津波の大きさを物語
「酷い・・・」
ハルナの小さな声
この地に住んでいたセレナは無言である
ただ、ハンドルを握る手は震えていた
「セレナ、大丈夫?、運転代わろうか?」
「ううん、大丈夫」
こちらに振り向きもせず運転するセレナは、いかにも気を張っているように真っ直ぐ前を向いたまま
向かうはセレナが通っていた中学校・・・・があった場所
後記
お盆を過ぎてしまいましたが、お盆のお話し・・・そして、震災のお話です。
震災をテーマにした話を書くのは正直躊躇していました、「麦わら帽子とみかん」の中では基本悲しいお話は書かないつもりでしたので、でも震災の記憶は日本人として忘れてはならない・・・そんな思いで執筆した物語です。
悲しいだけで終わらせず・・・・次への未来に向けて・・・
尚、執筆に集中するためコメント機能は止めております。
物語の概要やINDEX(目次)は、
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麦わら帽子とみかん | 日記
Posted at
2015/08/22 21:01:05