「麦わら帽子とみかん」キャラによるフォード フェスタ試乗 その5
足回り/シャーシ/ハンドリング編②
(エンジン&ミション編①は
こちら)
(エンジン&ミション編②は
こちら)
(エンジン&ミション編③は
こちら)
(足回り/シャーシ/ハンドリング編①は
こちら)
ミナ:マーケティング、メカニズム担当
セレナ:デザイン担当
ハルナ:走り担当
ミナ
「サスの形式だけ言えばストラットにトレーリングアームのフツ~のサスだけど、セッティングは相当詰めてある」
「これはフォードが長年つちかった設計ノウハウだと思う」
セレナ
「セッティングって、スプリングとかダンパーで煮詰めるものじゃないの?」
ミナ
「ここでいうセッティングは、スプリングやダンパーの特性以前にサスペンションのジオメトリーのこと」
セレナ
「ジオメトリーって?」
ハルナ
「サスの可動部をどこに、どんな角度で動くように取り付けるかってことね」
ミナ
「ストラットとトレーニングアームの方式は、確か初代ゴルフあたりが最初だったかな?」
「基本的にシンプルで安い(笑)サス構造だけど、設計の自由度が少ないのが難点」
「それを、ここまで良いサスに仕上げてくるだから、フォードのクルマ作りのノウハウは相当なもの」
ハルナ
「そんな安いサスなのに乗り味が良いのは何で?」
「この形式のサスは国産でもあるのでしょ?」
ミナ
「安いからね・・・国産でもいっぱいある(笑)」
「このサスを活かすためのボディー側の設計がちゃんと出来ていないと、安いだけのサスになっちゃうから(笑)」
セレナ
「凄いのはサスではなくでボディなの?」
ミナ
「ボディも特別な構造は無いように見えるけど、サスとの接合部からクルマの重心にかけて力がしっかり入り、それをボディ全体の反力で曲げる力を作っている」
ハルナ
「難しいのね・・・」
ミナ
「ようはボディ側も含めたクルマ全体での設計が出来ていること」
「最近は分業が進んでいるで、これがバラバラなクルマが多い」
ハルナ
「もうちょっと簡単に言えば、ロールセンターを高めにとって腰上の剛性を上げてクルマの動きと運転者の感覚に一体感を持たせているのだと思う」
「だからドライバーに負担がかからないし、思いとおりにクルマが動く」
ハルナ
「理解不能なんだけど・・・」
ミナ
「ハルナの2CVやキャトルがロールセンターの高いクルマの代表よ!」
ハルナ
「だからロールしても怖くないんだ!!」
ミナ
「一般的にロールセンターを上げるとジオメトリー変化が小さくなるので乗り心地がフラットになり、ドライバーにかかるGとクルマにかかるGが近いので一体感が得られるものなのよ・・さらにタイヤ依存性が少なくなるのでコントロール性も高くなる」
ハルナ
「フランス車が伝統的に乗り心地が良いのは、ここらへんがポイントなのね」
「なら、どんどんロールセンターを上がればよんじゃない?」
ミナ
「ロールセンターは高くすれば良いわけではないの。ロールセンターを高くすると横方向の反力が落ちるから・・横方向の反力はクルマを曲げる力なので曲がらないクルマになっちゃう」
「そこで、さっき言ったようにボディーの重心方向に対して横方向の反力が加わるようにするわけよ」
セレナ
「????・・・Zzzzz・・・」
ミナ
「逆にロールセンターを低くとり、その反力を受け止めるために腰下の剛性を上げて、反力はタイヤのグリップ力で受け止める・・・てのはレーシングカーで使われるセッティングなの」
「これだと、ドライバーにかかる横Gが振り子の原理で大きくなるし、足回りが突っ張った感じになるわけね・・一昔のスポーツカーはみんなこのセッティングだったものね」
「タイヤ依存度の大きいクルマはだいたいこのセッティングだと思う」
セレナ
「????・・・・Zzzzz・・・」
ハルナ
「そういえば最近はロールセンターの低いクルマは少なくなったような気がしない?」
ミナ
「そうね、初期のFFはロールセンターの考え方は無くて、基本的にかなり高めの設定なので曲がらなかったのよね。だから、仕方なくリアのスタビリティを落として曲がるようにしていたのだと思う」
「その後フロントサスだけダブルウイッシュボーンやマルチリンク化してロールセンターの低く反力で旋回するセッティングが流行ったけど、リアのジオメトリーがそのままだとついてこない」
「速度域が上がりリアにも仕事をさせないと限界が上げられなくなるので、リアもマルチリンク化して前後ともロールセンターを低くしたけど・・」
ハルナ
「サスストロークをとるとジオメトリー変化が大きくなり、上下方向の動きに制約がかかるので乗り心地は悪くなるうえ、コストが上がるのでやめちゃったわけね」
ミナ
「たぶんね!。クルマの全体の剛性が上がり、取り付け位置を工夫することで一般車ならストラットとトーションビームでロールセンターを高い状態でも、そこそこスピードなら曲がるセッティングが出来るようになったのだと思う・・・これが今の主流」
「逆に、本格的に曲がるクルマにするにはトーションビームではロールセンターを下げにくいので無理なんだけどね」
セレナ
「Zzzzz・・・・・」
ミナ
「余談だけど、トーションビームを含むリジットサスは、サス自体が曲げる力をあまり出せないけど、タイヤが路面に対して均一に接地するので滑り出しのコントロールがし易い特徴があるのよ」
ハルナ
「だからAE86とかはドリフトしないと曲がらないけど、ドリフト時のコントロール性が高いって言いたいんでしょ!」
ミナ
「さすがハルナさん、そちら系は強いはね(笑)」
ハルナ
「比較的フラットな路面が多い路面であればリジットサスのネガティブな部分は出にくいのは乗っていてわかるわ!」
ミナ
「今時未舗装路を探す方が大変だから、以前より独立サスの必要性は少なくなったのかもね」
ハルナ
「ってことは、最近の高級車はマルチリンクの構造でロールセンターを高く取っているので更に乗り心地が良い・・てか?」
ミナ
「乗り心地はバネ下重量が軽いのが効いていると思う」
「っというか、19インチだの20インチだのってホイール履いちゃうと、トーションビームだと横方向の剛性が確保出来ないじゃないかな・・だから、マルチリンクなのかも・・」
ハルナ
「そういえば、今でもホンダや最近のプジョー(208あたりまで)が腰下の剛性を上げてタイヤとサスの比較的反力で曲げていくように感じるけど、フェスタは車体全体の反力で曲がってく感じよね」
ミナ
「ホンダやプジョーも実際にはロールセンターは以前より高いと思う」
「ただ、腰下の剛性を上げれば基本的に足回りが旋回力を生むので、腰上の設計自由度が高くてモジュラー設計に向くから、結果としてそう感じるんじゃないかな・・・」
ハルナ
「そういう意味ではフェスタのセッティングとしてはマツダに近いと思はない?、マツダ車の方がもっとクイックに曲がって楽しいけど」
ミナ
「腰上の剛性感はフェスタの方が上で、マツダ車よりは安定指向かな」
ハルナ
「短時間のワインディングならマツダ、長いワインディングならフェスタの方が楽しめるような気がする」
「ただ、走りが良いだけにシートサポート不足が気になりだすかな・・まあ、タイヤがグリップしないので、諦めがつくけど」
ミナ
「って、セレナ寝っちゃてるし・・・」
「お~い、そろそろ出番だぞ!!」
まだ終わりません!!