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37_Planning(サンナナ)のブログ一覧

2018年08月10日 イイね!

【大衆ヒストリックカーを楽しむ】Vol.10 真夏を楽しむ③

【大衆ヒストリックカーを楽しむ】Vol.10 真夏を楽しむ③真夏を楽しむ①②では各車の特徴と弱点と対策を中心に記述した

弱点があるのは現代車でも同じ

最近のクルマは10〜12年、20万kmが信頼性の目安としているフシがある

これ以上はオーバークオリティでコストダウンの対象となる

日本の酷暑も考慮されているが十分とは言えない
日本を基準とするとオーバークオリティとなってしまうからである

新車開発で日本の渋滞路や更に暑いデスバレーでテストが行われる

当然、新車時ではこれらの環境でも問題ない仕様で設計される

ただこの環境で10年も使える耐久性と信頼性を持たせているわけではない

通常環境で12年持つ設計でも酷暑環境が加わると6年しか持たない部品が出てくることになる

最近の部品は樹脂やゴムのパーツが多い、またコンピュータだけでなく各種センサーで使われる半導体の数も膨大である

これらの部品は全て熱劣化する、2〜3度の違いで劣化スピードが倍になったりする

日本の酷暑で使われれば、1つや2つの部品が5〜6年しか持たないケースが出てくる

ちょっとした部品が壊れてもユニットのAssy交換となり部品も高い(数十万は当たり前)

組み立てコストを優先して整備性は二の次
現代車は交換工賃もビックリするくらい高い

これが現代車の現実

メーカー保障に加入できる期間で乗り換え続けないと維持できない

これが今のクルマ業界のビジネスモデルでもある

大衆ヒストリックカーを擁護するならば、故障頻度は多い
っが、小さい部品単位で簡単に交換できるものも多く修理コストを現代車より遥かに安い

話が脱線したが、現代車も酷暑で走れば走るだけ消耗して走っていることは理解しておくべき
決して丈夫なわけではない


クルマ本体の話はここまで

真夏を楽しむシリーズの最終回は
3.少しのいたわり
4.風を味方に

今回が本当の旧車ライフである

古いモノをいたわるのは、ある意味当たり前

動物だって歳と共にムリが効かなくなりいたわりが必要となる
古いクルマはペットと同じである


始動時の暖機運転

夏場と言えども暖気運転は必要である
オイルが回る時間もあるが、オイルが硬い時は油圧も高くなる
高すぎる油圧はオイル漏れの原因となるからである

エンジンが均一に温まるまでは、金属間の隙間も安定せず、弱いところからオイル漏れを起こす

時間は毎週乗っているクルマなら2〜3分
硬い20W-60といった硬いオイルを使っている場合は、もう1分くらい

ミニだけは最低3分程度
暖気不十分で走るとミッションを痛める

かといって真夏に5分以上の暖気は不要だろう
今回取り上げた大衆車はエンジンが小さい
熱が全体に伝わるのにさほど時間はかからない


クルマが熱的に一番厳しいのは、どんなシーンだろうか

答えは、高速走行直後止まった時

大衆ヒストリックカーは排気量に余裕がないので、高速走行時にはかなり高回転となる

チンクやホンダZは、ほぼ全開走行に近くなる

高速走行時は風が抜けるのでエンジンルームの温度上昇も抑制されるが
止まった瞬間に逃げ場のなくなった熱でエンジンルームの温度は一気に上がる

そこで
・高速走行が終わる1〜2km前からペースを落とし発熱を抑える
・止まっても直ぐにエンジンを切らず30秒くらいはオイルを回す(すぐ切ると最悪焼きつく)
・ボンネットを開ける(特にチンクとミニ)

これらを実践することで、クルマにかかる熱負荷がかかかり、余計なトラブルを避けることになる

面倒かと思うだろうが、習慣となればあまり苦にならない

ちなみにボンネットを開けるのは、現代車でも本来なら実践すべきである
樹脂部品のダメージを抑える事ができる

自分の実践している、少しのいたわりである



最後は4.風を味方に

これはクルマではなく人の熱対策である

最近の酷暑はクルマ以上に人に厳しい
自分が小学生の頃、28℃を越えれば暑い日、30℃以上の日などせいぜい年3〜5回だった
それこそ32℃超えなんて滅多にない

この3〜5℃の差はクルマより人へのダメージが大きい


クルマと違い人は全て空冷である(血液の冷却を考慮しなければ)

そこで風を味方する

まずは三角窓

我が家の大衆ヒストリックカーで三角窓があるのはビートルとチンク

今では三角窓のあるクルマに乗ったことのない人が大半だろう

ドア前部の小さいガラスがクルッと回るだけの機構
その角度を調整することで風のあたり具合を変えることができる

走行風を室内に取り入れるという機能としては最も優れる

特にビートルの三角窓は優れもので圧倒的な風量を誇る

チンクや以前所有していたレイトバスより、明らかに風量が多い

三角窓の大きさと形状がうまく風を引き込む

30〜40km/hも出せば十分な風が身体に直接当たる
ラグトップやサンルーフ、リア窓の開閉機構(ポップアップウインドウ)を付けなくても、運転席に関しては十分である

チンクの三角窓はボディサイズが小さいこともありビートルに比べれば小ぶり
当然入ってくる風の量もやや少なくなる
それでもラグトップが標準で抜けも良いこともあり、40km/h以上出せば十分な風量が得られる

風が進行風によりダイレクトに当たる感覚はオープンカーでは得られない
どちらかと言えばバイクに近い爽快感がある

早朝の海沿いの道を流す快感は格別である

この空冷RRの2台は実は一番ヒトに優しい

熱源であるエンジンがリアにあり進行風で室内に熱が伝わらないからである

同じRRやミッドシップでも水冷エンジン車はラジエターをフロントに置くことが多い
この場所も熱は車内側に導かれてしまう

以前乗っていたホンダビートも足元が熱かった


補足
ビートルは、後付けの冷えひえのクーラーがFLAT4から発売されています....d(^_^o)‼️



2CVは上下に折りたたむ構造の窓を持つため、三角窓はない
その代わりに大きなフロントベンチレーションが備わる

真正面に配置されるので、三角窓ほどではないにせよ、そこそこの風量が期待出来る
風量は開閉量でコントロール出来るが、三角窓と違って風向きをコントロール出来ないのが惜しい

構造的にフロントガラスのくもり除去を狙っているようでもある

大型のラグトップもありサイドウインドウからの風を含めれば、走っていれば快適性は確保される

ただし、後席の窓ははめ殺しであり、後席の風通しは悪い
4ドアである事を考えると対策を打ちたい

後席窓用を前席と同様な分割開閉式にするキットもある
ポップアップウインドウに改造している方もいる

トランクルームと室内が繋がっているので、トランクフードを少し開けて固定するのも有効だろう(そのうち実践してみます)

後席に人を乗せる機会が多い人は一考すべきかもしれない



ミニも三角窓がなくフロントエンジンで熱が車内側に伝わりやすく、ビートやチンクよりヒトへの環境は厳しい

同じフロントエンジンとはいえ2CV やホンダZより排気量があり発熱量が多い
更に②で記載したように熱が逃げないエンジンルーム

真夏のヒトにとっては悪い条件が重なる

真夏に走るのであれば、クーラーが欲しいのが本音
高齢者や子供を乗せるなら、安心して使える最新のクーラー(エアコン)への換装は、高くとも考えるべきだろう

以下はクーラーレスでの対処方法

初期のミニ(通称MkⅠ&Ⅱ)は前後スライド式の開閉機構だった

通常の上下式の窓に変更されても三角窓は備わらなかった

時代は三角窓からクーラー(エアコンではない)への移行期に入り、三角窓はカッコ悪いものとして扱われるようになっていたのである

窓からの風は巻き込みの風のみ

三角窓のようにストレートに風が当たるわけではない

それでも今時のクルマより風を感じる量は多い

空力とは無縁で立ち上がったピラーが巻き込みの量を増やしている

ドアパネルが薄くヒトが窓に近いことも現代車より風を感じやすくしているのだろう

更に風を味方にするにはリアウインドウをポップアップ式にする事

たしか標準装備のモデルも存在した
ミニのポップアップウインドウの装着率はビートルより高い

これで抜けが良くなり風量も上がる
特に後席の快適性はバツグンに上がる

更に「像のミミ」という飛び道具?もある

窓のサッシに風向きを調整する透明な板を取り付ける
三角窓と同じ原理で風を室内に送り込む

そのうち取り付けたいアイテムである


ホンダZも三角窓はない

スタイリッシュさが命のこのクルマに、そんな無粋なものを取り付ける選択肢はなかったのであろう

唯一、リアウインドウが開閉できるのは他車との違い
自分のZは最終型のハードトップなのでBピラーすら残らない

後席にはありがたい装備だが、前席への恩恵はたいしたことはない

Zの後席に人を乗せる機会はなく、だから....となっている


サンルーフも対策が必要となる
風を抜くのに効果的なサンルーフやラグトップも、太陽の光が車内に入る時間帯だけだと暑いだけである
いや実際は開けていられない

そこで、すだれを使う

サイズを開口部に合わせ切り固定する
固定方法のノウハウは車種ごとにあるようだ

すだれは機能的でもあるし、見てるだけで涼しさを感じ、まわりのウケも良い

サンルーフやラグトップが無い車種で屋根が鉄板むき出しであれば天井に耐熱シートを貼る
HIPとゆう遮熱塗装もある
これで屋根からの放射がかなり軽減する

窓の多いワーゲンバスなどでは、ガラスに透明な遮熱フィルム例もある
意外と効果が高いと聞く



三角窓があったとしても低速走行時の風量も少ない

そこで扇風機を使う

クーラーレス車に扇風機を搭載するのはメジャーで、古いクルマではよく見かける光景

DC電源があれば気軽に設置出来る

クリップタイプが主流であるが、取り付け部を改造して固定装着するひともいる

クリップタイプより大型なのが作業用ファン(マキタが有名)
バッテリー駆動のものもあり、それを車内に持ち込む手もある
9時間くらい持つバッテリーもあるらしい

渋滞路ではありがたい装備である

ただし、気温が32℃を超えると当たる風は熱風である

こうなると正直焼け石に水である

更なる強者は氷の入ったクーラーボックスにエアダクトを装備
そこにファンを付けて簡易クーラーにしているケースもある
短時間ならかなり有効な手段である


更なる装備としてはエアーシート(空調シート)がある

後付けの背もたれのあるシートクッションの内部に空冷の通る層を作り、電動ファンで空気を流すことで背中から身体を冷やす

どうしても背中が汗だくになるので、この装備は予想以上に効果が高い(メーカー間差あり、空気の経路がウレタンでなく樹脂で確保されているものが良い)

更に、最近は空調服がある
上記エアーシートが服になったもの
クルマで使うと背もたれの空調に難が出るが、無いよりはマシと聞く


これらの風を使う対策の基本は水分補給が十分なことにある

真夏の走行では予想以上に水分を消費している
1リッターの水を2時間にごとに補給しても、まったくトイレに行きたくならないこともある

そこでクーラーボックスを持ち込む
最近はソフトな軽いクーラーボックスもあり、以前よりかさばらない

中には普通に冷やした飲み物と凍らせた物を両方入れる

凍らせたペットボトルは適時取り出して、首筋に当てる
渋滞路で止まった時もこれで対応出来る

1Lの水は丸ごと凍らせて入れる
いざという時何かと使えるはず


更なる対策は科学兵器である

・保冷シート(冷やしておくやつ)
・クールシート(冷えピタ、アイスノン等)
・冷感スプレー


ここまで書いた対策は、自分だけでなく、旧車乗りの知人が実践してきた技である

これらを全て実践している人は聞かない

夏場に汗をかきながら乗る旧車も、良き思い出となる

現実的には真昼を避け、早朝に走るのがベター

これらの旧車が走っていた30〜40年前より厳しい暑さ

熱射病にかからない程度に対策するのが一番である。












2018年07月28日 イイね!

【大衆ヒストリックカーを楽しむ】Vol.9 真夏を楽しむ②

【大衆ヒストリックカーを楽しむ】Vol.9 真夏を楽しむ②2回目はオイルの話し

オイルの機能はいくつもあるが、大雑把に言うと
・潤滑
・洗浄
・冷却

旧車には100%化学合成ではなく鉱物油が良いとされる
その理由としは粒子が小さく浸透性の良い100%化学合成オイルはガスケットの隙間から漏れるからとされている

実はそれだけでない
古いクルマと新しいクルマでは潤滑の考え方が違うのである

古い工作機械ではシリンダーやピストンの表面を精度良く加工できない
寸法精度が悪いだけでなく金属表面にどうしても凸凹ができる
更に熱膨張を合わせる技術もない
それを見越してシリンダーとピストン(ピストンリング)のクリアランスも大きめとなる

そのクリアランスや凹に粒子の大きなオイルが入り込む
シリンダーとピストンは大小オイルのベアリングによって潤滑されているイメージである
粒子の小さな100%化学合成オイルはこのクリアランスや特に凹みを埋めることが出来ない
大小粒子の不揃いである鉱物油の方が相性が良くなる

一方、最新の工作機械で作られたシリンダーやピストン表面は滑らかである。
面接触となり表面張力敵にフローティング状態で微細な隙間のまま保持される(表面に意図的に溝をきってオイルを溜める方法もある)
この場合は粒子が小さくて均一であるオイル、つまり化学合成100%オイルとのマッチングが良くなる

古いクルマでもオーバーホール時にシリンダーやピストンを最新工作機械で加工したエンジンであれば100%化学合成オイルにすべきである(ガスケットも今時の素材にして)

そうでない場合は鉱物オイルの方がマッチングが良いケースが多くなる

ちなみに床が池になるようなオイル漏れはでなければ、多くの場合オイル漏れを気にする必要はない
先に記述したように昔と今とでは工作精度が異なるのだから少しばかりのオイルの漏れや滲みは当然である



ビートルは最もオイル依存が少ないように設計されている
オイル容量は3Lにも満たない
これは1.6Lのエンジンでも同じ

その理由は低回転型エンジンと重いフライホイール
エンジンの回転数を抑えて走れるようにすることで、オイルにかかる負荷を下げている
更に低圧縮でヘッド周りに発熱量自体を下げている

OHVエンジンであるのも効いている
エンジン最も熱を持つのがヘッドである
バルブ駆動形式は
SV→OHV →OHC→DOHC
の順で高回転となる
引き換えにヘッド周りの構造が複雑になり、空冷では冷却のフィンが付けにくくなり冷却には不利になる

SVがともかく、OHVとDOHCででは高回転以外ではパワー(トルク)差はほとんど出ない

ビートル、2CV、チンクがOHVを採用し続けたのは、OHCにする必然的がなかったからである
ちなみにポルシェですら空冷モデルはOHC止まりである理由でもある

ビートルで通常使うオイル粘度は20W-50
古いビートルはシングルグレード、メキシコビートルは10-40が指定だが
オイルの性能が上がっており、どの年式でも20W-50を通年で使うショップも多い。

自分は冬は10W-40を使うこともある
低回転域のレスポンスがやや良く程度の差である
重いフライホイールがオイル粘度の差を出しにくくしている
硬すぎオイルはエンジンに負荷をかけるだけである
体感上大した差でないにしろ夏冬でオイルの粘度を変える方が本来エンジンには優しい

オイル交換のインターバルは1500〜2000kmか半年に1回を目安にしている

容量が少なくオイルフィルターを持たないのであっと言う間に真っ暗
オイルの役目の第2は洗浄である
オイルフィルターを持たない年式のビートルではオイル交換で洗浄力を保つしかない

冷却機能に関してはビートルはオイルにあまり依存していない
冷却は基本空冷のファンが担う設計思想である

一方ポルシェが実質油冷エンジンと称されるように高回転まで使う場合は対策が必要である
ビートルでもボアアップやハイカム、ツインキャブ等でパワーアップした時にはオイルパンの容量アップとオイルクーラー増設が必要となる


2CVのオイル量もフィルター交換時で約3Lとビートルと同じで多くない
(オイルフィルター付きます)

それでもビートルに比べれば排気量が半分以下
ビートルより高回転域を多用するにしても
熱の逃げやすい構造、そしてオイルフィルター装着とオイルの劣化はビートルより遥かにしづらい

指定オイルは通年20W-50とビートルと同じ
自分はビートルと同じケンダルを入れているが、真夏はともかく冬場は硬く感じる

そこで冬場はケンダルの10W-40に粘度を下げている
これでも冬場はオイルの硬さを感じくらいである
納車時にショップ(旧車専門店ではない)は10W-30を入れていたらしい
正直、真冬はこの粘度がちょうど良かった
ただ柔らかすぎるせいかオイル滲みが多くなるようである

個人的にはケンダルのような耐熱性の強いオイルであれば通年10W-40で問題ないと考えている

今はテスト的に夏は20W-50と10W-40をブレンドして使っている
交換インターバルは半年に1回、距離を走らないのでどのくらい持つか不明だが
似た構造のバイクの感覚だとMAX3000〜3500kmくらいが目安だと思われる


チンクのオイルに対する考え方はビートルと同じである
10W-40の鉱物油が基本で、フィルターを持たないことから1500〜2000kmでのインターバルで交換(自分のチンクはビートルと共用のケンダル20W-50を使う)
但し、ノーマルであれば....

先に述べたように、チンクでは650への排気量アップは定番である
当時オイルにかかる負荷が大きくなり劣化は早い
空冷ファンだけでは冷却が追いつかないケースも出てくる

そこでオイルの第3の役目である冷却機能を顧慮する

オイルの粘度を変えても正常使用時には、基本的に冷却性能は変わらない
10W-40の代わりに20W-60を入れてオイルの温度が下がるわけではない
硬いオイルは高温時の油膜切れを起こしにくく、焼き付き防止になるだけである

オイルによる潤滑性が良ければ発熱が抑えられるので、オイルの銘柄で多少の温度低下は期待できる

オイル添加剤には摩擦を減らす効果のあるものがある
発熱を緩和し少しパワーアップすることで回転を抑えられるので多少の効果は期待できる

最新の工作機械で加工し、きっちり組み直したエンジンであれば色々な添加剤の入る100%化学合成オイルの方が安心
多少のオイル漏れより耐熱性を重視する場合も100%化学合成が良い

冷却にもっとも効果の高いのはオイルを冷やす事である
オイルクーラーがベストであるが、コストもかかる

お手軽なのがオイルパンをフィン付きの大容量タイプへの変更

アバルトのオイルパンが有名であるが、フィンが同じように切ってあればウェットサンプなので(オイルクーラーでも付けないかぎり)効果は大きな差が出ないだろう
オイル劣化が早いので容量アップの恩恵も大き(自分のチンクでは5L弱入り、ノーマルの約2倍に相当する)

ただし、下に出っ張る関係でヒットしやすいなるので注意が必要である
車高を考慮してオイルパンを選ぶ必要がある

また、冷却が期待できるのは走行時のみ
渋滞時はあまり役に立たない

これはオイルクーラーでも同じ
出来れば電動ファンでも付けたいとこであるが、そこまでやっている人は自分の周りではいない

チューニングチンクで真夏の渋滞は極力避けべきだが、少しの気づかいである程度対処できる(次回記述)


ミニはチンクと並んでオイルにかかる負荷が大きい
(オイルフィルター付きます)

オイルの影響は一番感じやすい

ご存知の通りミニはオートバイと同じようにエンジンオイルとミッションオイルを共用で使う

ミッションのギアがオイルを切り刻んでいく
オイルには耐熱性と共に極圧性という特性がある
高い圧力をかけても油膜が保持される(切れない)指標である
ミッション専用オイルは、この極圧性をあげたオイルである

エンジンオイルとミッションオイルを共有することは、極圧性の高いオイルが使えないことを意味する

バイクも同じ構造のモデルが多いので、購入前はあまり気にしていなかった

ミニのオイルの依存度がバイク以上に高いのは最初のオイル交換に気がついた
交換前後でミッションの入り方が激変してのである

当初入れたオイルは、いつものケンダルの鉱物油
粘度は冬場であったので10W-40

それから春の間まで油圧計で劣化度合いを観察
驚いたのは外気温とは関係なく距離を重ねるほど最低油圧が下がっていくこと
予想以上にオイル劣化が早い

感覚的には2000kmが限界
ミッションフィールが悪くなった時には、かなり劣化が進んでいるので
その前に交換したい

ミニは高いオイルを使うより、交換インターバルを短くする方にコストをかけた方が良い

耐熱性に関しては水冷という事もありケンダルなら夏でも10W-40で十分な感じ
真冬だと20W-50は少し硬すぎ感じがする
最近お世話になり始めたミニのショップではGulfの15W-50を使っていた
通年同じオイルにするなら、この辺りがバランスが良さそうである

意外なことにミニは冷却にもオイルを活用するように設計されているようだ
5Lという排気量らしからぬ容量はミッションオイルと兼用しているだけが理由ではなさそうである

初期の1300キャブクーパー以外はオイルクーラーを持たないので、オイルの冷却はオイルパンが担っている
チンクのオイルパン同様に下に飛び出している理由でもある
オイルパンのガードは冷却の阻害要因となるので良し悪しである

ともかくミニのオイル交換は早ければ早いほどクルマに優しいのは間違いない


ホンダZのオイル依存度は他車に比べれば低い
(オイルフィルター付きます)

9000rpmまで回るエンジンがオイルに対する依存度が低いというのは普通ではない
当時のエンジンテクノロジーに関してホンダは間違いなく世界最高レベルであった

基本バイクと同じ2500〜3000kmくらいが交換の目安となる
当時のオイルの指定はシングルグレードであったらしい
トルクが無いので硬いオイルはパワーを食われレスポンスが落ちる
理想は高性能100%化学合成の10W-30
自分はオイル漏れを抑えるためと熱的なマージンをとって鉱物油のケンダル10W-40を通年使っている

またミッションオイルは別体にもかかわらず、エンジンオイルを使うのがバイクメーカーのホンダらしい
ミニで書いてようにエンジンオイルは極圧性が弱く劣化が早いので、5000〜6000kmで交換した方が安全である


過去の経験からすると、エンジンとオイルのマッチングは間違いなくある
自分は入手性からケンダルを多用するが、これが必ずしもベストではない
ちなみに2002年式の小カングー とケンダルとの相性は良くない
カングー はTotalの100%化学合成5W-40の方が良かった

古いクルマは仕様やヘタリ具合も各車一様ではない
自分のクルマに合うオイルを探して欲しい

自分がオイルのマッチングを見る方法はレスポンスと排気音である
トルク感と軽快性のバランスと
乾いた音と心地よい鼓動感のある銘柄を極力&粘性選ぶ(燃焼状態が良い時の音)
意外かもしれないがオイルの銘柄で排気音は変わる

粘度は同一銘柄ばらブレンドして調整することもある


最後にオイル添加剤

自分はミニ以外のクルマのオイルにはワコーズのEPSを入れている
オイル滲みにはこれでかなり抑える事が出来る(カングー も)

ただガスケットやパッキンの柔軟性を改善させる、この手の添加剤はパーツにダメージを与える可能性もある事をわかったうえで自己責任で使用してほしい

ミニへのオイル添加剤は現在研究中である(笑)


次回、真夏を楽しむ③では、これ以外の真夏の対処法を掲載する





2018年07月22日 イイね!

【大衆ヒストリックカーを楽しむ】Vol.8 真夏を楽しむ①

【大衆ヒストリックカーを楽しむ】Vol.8 真夏を楽しむ①「オーバーヒートしませんか?」
夏の時期旧車に乗っていると良く聞かれる

旧車には路上でボンネットを開けて止まっている光景を連想させるのであろう

答えは
「少し気を使えば大丈夫」

ポイントは
1.ノーマルかつ正常であること
2.オイル管理
3.少しのいたわり
4.風を味方に

この4点に気を使えば、少なくとも自分の所有している
ビートル
チンク
2CV
ミニ
ホンダZ
は夏を乗り切ることができる

これらのクルマのオーバーヒートした事例の多くは、元々故障があった場合か、パワーアップしたクルマで大半である

大衆旧車でよくあるカスタムが高速道路の発達した現代の交通事情に合わせたパワーアップ

例えばビートルでのツインキャブ化は定番である。
1200から1600へのエンジンコンバートも珍しくない
自分のビートルもノーマルの1200から1600に載せ替えられている
1600のエンジン自体はノーマルでキャブもシングルのままである

実は購入当時、炎天下の渋滞路でパーコレーション(ガソリンが熱で泡立ち燃料の供給が不安定になる)の症状が出た。

ビートルはエンジンフードが1200と1600で異なる
本来1600用は排熱用のスリットが付く
自分のビートルは1200仕様のままでスリットが無い
この微妙なスリットが影響したと考えられる

そこでエンジンフードを3cmくらい浮かせるビレットを取り付けた
これでパーコレーションの症状が出無くなった

おそらくノーマルの1200のままではパーコレーションは起きなかったであろう
実際以前乗っていて1200STDはパーコレーションの兆候すらなかった

ちなみにオーバーヒートに至る熱ダレの経験は今の1600では無い

バイクとは違い空冷とはいえ冷却ファンを持つ強制空冷である
ファンの回転はエンジン回転数に比例して上下する

アイドリングでも冷却機能が働くのがオートバイと異なる

空冷のビックバイクは炎天下でアイドリングしているだけで熱ダレする

このイメージがありバイク乗りにも、空冷車は真夏に弱いというイメージがある

空冷はオーバーヒートしやすいというのは強制空冷であるクルマに関しては誤解である

確かに熱ダレは水冷車より早く起きるが、そこから粘るのが空冷エンジン、熱ダレしようと空冷ファンでの冷却は続く
水冷は熱ダレは遅いもののオーバーヒートしたら沸騰した冷却水に気泡が入り冷却機能自体失われエンジンを止めるしかない
空冷であればペースダウンするか、いざとなれば水をかけてしまえば一気に冷える(霧吹きぐらいネ)

過酷な状況になるほど空冷の方が強くなる
ビートルを祖に持つポルシェが、ピークパワーを捨ててでも長いあいだ耐久レースで空冷にこだわった理由である
(空冷はヘッドまわりの冷気に限界があり、高圧縮化が難しい。低圧縮で過給するターボを早くから選択した理由の一つでもある)
最後まで走りきるための選択として

2CVも構造的に熱には強い

フロントエンジンで空冷ファン+走行風の風も入る
しかもエンジンは各シリンダーが独立して冷却効率の高い水平対向2気筒エンジン
更にエンジンルームはスッカスカ(笑)

ビートルやチンクは2気筒が並ぶ分熱が溜まりやすく逃げにくい

2CVはパワーアップのチューニングパーツが流通していない
そのせいもあるが2CVでオーバーヒートしたとゆう事は聞いた事がない

ワイドなギアレシオが適切で高速でも回転が抑えら、低速トルクが太いので街中でもチンクのように回す必要がない

熱が原因で心配なトラブルは電気系くらいである

2CVはオーバーヒートより冬場のオーバークールの方に気を使うべきクルマである
そのため10度以下で使用を推奨されているフロントグリルを塞ぐカバーがある

2CVの弱点はミッションである
エンジンの後方に位置するためか熱でミッションの入りが悪くなる。
ミッションオイルは耐熱性の高い良いモノを使う事をお勧めする

実際のところ2CVの熱対策はクルマより人の熱中症対策の方が知恵を使う
これは後述する


チンクは空冷3台の中では熱に一番厳しい

最大の理由はエンジンのキャパシティがなく、一般の交通の流れに乗るのでも全開走行を強いられることにある

650ccにボアアップしている個体が多いことも大きい

排気量3割アップは熱量も3割アップ、トルクアップで回転を上げずに走れることを差し引いても2割は熱量が上がるだろう

とはいえ自分の先代のチンクもエンジンオーバーホール時に650に上げていたのだが
それでもオーバーヒートや熱ダレの症状は出ずに夏でもエンジンを回しまくっていた

油温計が付いていなかったので、どこまで油温が上昇していたかは不明である
油温計があるから気になるのであって、無ければ気にならない
実際熱ダレしないのだから問題ないとも言える
イタリア人もそんな事を気にして走らないだろう

ちなみにホンダビートも油温が上がる
回すとすぐに110℃を超えるという、しかし油温計が無いので油温で騒ぐユーザーは少ない
知らなければ問題とならないケースは国産でも多い


今のチンクはアバルト695なのでノーマルの4割増しの排気量となる
さらにエアクリーナーボックスを持たない大きなキャブを持つ
先の650時とは比較にならないくらい熱の影響を受ける
特にキャブレターの熱に対する影響は大きく熱対策はまだまだ不十分である
キャブはエアクリーナーを持つノーマル形状で径を2〜4mm上げる程度が熱対策とパワーのバランスが良いようだ


そしてリアのエンジンフードを開ける対策も良し悪しということがわかってきた
自分のチンクでは上開けは高速では冷却効果が上がるが、一般道では熱がファンに循環し逆に温度が上がる
それぞれ目盛りで3〜5℃の差といったところであった

エンジンフードの下開けも話を聞く限りには効果はほとんど無いらしい

色々書いたがノーマル排気量の500でトコトコ走る限り、日本の酷暑でもまず問題ないというのが結論である

唯一厳しいのは燃料ポンプ
ノーマルでは機械式の燃料ポンプがエンジンルーム内に配置される
ここがヒートしてパーコレーション(ガソリンが気化し泡になって燃料が送れなくなる)が起きることがある

燃料ポンプは電磁ポンプにしてフロントのガソリンタンク側に配置すべきだろ(自分のチンクはノーマルのまま)

それと高回転を多用すると空冷ファンが壊れることもある
各部位の溶接の強度が弱いうえに軸の精度も悪い
溶接に関しては強化品が出ているが精度は個々に合わせこむしかない

チンクは似た構造のビートルでは起こりえないトラブルが発生する
これも想定しているスピードレンジがアウトバーンへ対応するビートルや
現代の交通事情と異なるのが原因だろう

しつこいようだが、ゆっくり走れば問題ない(笑)


次はミニ

ノーマル状態で一番熱に厳しいのはミニである
設計当初850だった排気量は、最後は1300になる
更にエアコンまで装備するに至りエンジンルームはパンパンである
それを見ると850時代のエンジンルームがガラガラに思えてくる

ラジエータが前面になくエンジンサイドにくる
走行風での冷却はパンパンに詰め込んだエンジンルームでは抜けないので期待できない
またエンジン後方に排気と吸気が並ぶように配置される
縦置きならいざ知らず横置きでは熱の逃げ場がない
熱対策は風を多く取り入れる対策より、空気を抜く経路を作る対策の方が効果的である
ミニが構造的に熱に厳しいのは明らかである

そこでローバーミニの後期1300は電動ファンが追加された
それでも現代の酷暑では排熱の容量ギリギリである
冷却系のメンテナンスを怠ると直ぐにオーバーヒートするリスクとなる

我が家の旧車ではミニが最も新しい個体(93年式)であるが、メンテナンスは一番気を使う

但し、リスクは豊富なアフターパーツで補うことが出来るのがミニのメリットである

ラジエターの容量アップ、ファンの風量アップ、クーラー(エアコン)の配置移設等
夏でもオーバーヒートしないエアコン快適仕様にすることは可能である
ただし、かなりのコストがかかることが二の足を踏ませることになる

そして、ミニの熱のこもるエンジンルームは補機類の劣化も早める
電極の接点、プラスチックやゴミ系のパーツの消耗がオーバーヒートにつながることを理解しておく必要がある


最後はホンダZ
チンクより小さな360ccの排気量であるが9000rpmまで回るエンジンがチンクと同等以上の速さを持つ(ドングリの背比べ状態ではあるが)

一般道でも5000rpm、高速では普通に8000rpm以上が当たり前

当然熱的には厳しいはずだが、意外と水温計は安定している
排気量に対してエンジンルームの余裕があり、2輪のノウハウを投入したエンジン自体のフリクションが小さく発熱自体が少なくようだ
そしてミニより長いボンネットでエンジンルームには余裕があり熱害の影響を受けにくい

ラジエータ容量も十分でサーモスタットやキャップが正常であれば通常の走りでオーバーヒートはしない

エンジンの冷却は問題なくともキャブへの熱の影響は避けられない
ここも負圧による可変ベンチュリーを持つノーマルのCVキャブであれば、ドライバーのアクセルスキルでカバー出来る範囲である
ちなみにバイクで鍛えらた純正のケイヒンのCVキャブは、かなりの高性能キャブである

逆に当時のCRキャブのような強制開閉式のレーシングキャブでは夏場用セッティングが必要となるし、中低速でのアクセルワークがシビアになるので、慣れないと街乗りでは遅くなる可能性がある

ホンダZの熱の問題は上り坂で起きる

排気量の小ささはトルクの小ささにつながる
チンクよりピークパワーは出ているものの、絶対的なトルク不足が坂道で顕著化する

複数人乗車の箱根などでは2速どころか1速で全開走行になる
十分な風量がラジエータに当たらない1速ではさすがに厳しい
ここで渋滞にはまったら....正直諦めるしかない

逆に高速走行では、どんなに回してもオーバーヒートはしないので、迂回路で高速が使えるならそちらを選ぶのが懸命

つまり道と時間を選んで走る必要はある
実際のところホンダZを実用車として何にでも使う人は稀であり、あまり問題となりそうにないが


次回、夏を楽しむ②に続く‼️
2018年05月18日 イイね!

【大衆ヒストリックカーを楽しむ】Vol.7 クルマ選びを楽しむ⑥番外編 ワーゲンバスとその他

【大衆ヒストリックカーを楽しむ】Vol.7 クルマ選びを楽しむ⑥番外編 ワーゲンバスとその他◯ワーゲンバス

以前所有していたワーゲンバスも大衆ヒストリックカーとして資格があるだろう

低価格な大衆向けミニバンとしてはフィアットの初代ムルティプラがあげられるが、ヒストリックカーに初めて検討される方には少々マニアック過ぎる

自分の所有していたワーゲンバスは76年式。
2Lのインジェクションもでるで空冷ワーゲンバスのほぼ最終型になる
業界ではレイトレイトと呼ばれている

この最終型に至るまでビートルと同様、機能面では多くの改良がされてきた。
一方、外観はフロントガラスが2分割の通称アーリーバスとフロントガラスが1枚になったレイトバスの2種類に大別できる。

以前はワーゲンバスといえばアーリーバスをイメージする人が多かったが、最近は広告で使われた事もありレイトバスの知名度もかなり上がった

どちらを選ぶかは好みの問題

最近はアーリーよりレイトが好みという方も増えている

この2台は実際乗ると大きな差がある
アーリーは構造的に直進性が悪く常にハンドルを保持する必要がある
そのハンドルもレイトより重い

レイトは直進性がよくハンドルもアーリーに比べれば扱いやすい

とはいえ、現代車を基準にすればどちらも大変なのは同じ

個人として譲れない一線は異なるので、どちらが良いとも言えない

自分の場合は子供を乗せるので、衝突安全性の高い(フロントのフレーム構造が違う)、レイトレイトにこだわった
カンガルーバーを取り付けたのも、それが理由

このクルマを買う人は、それなりの覚悟があるだろうから、これが正しいともいえない

間違いないのは運転自体は慣れでカバーできること
これはワーゲンバスに限らないが、当時の大衆は普通に使っていたのだから、扱えないという事はないはず。
基準点が現代車なのでハードルが上がるだけで、単に慣れの問題ともいえる。

パワーもレイトレイトの2Lなら充分
1.6L以下のエンジン車も不足を感じれば、チューニングでパワーアップすれば良い。
エンジンは基本ビートルと同じなので、いくらでもパワーアップできる。

エアコンに関しては当時の純正エアコンの効きが悪いので、最初のアフターパーツで組む方がベター

この場合はビートルと同じ1.6L車の方が対応しやすい

車体は太いメインフレームを持つためにビートル以上に丈夫。その上に乗るボディも基本的には丈夫だが年式がたっているので個体差が激しい。
フレームがあるのでボディが腐っても走ってしまうので、そのまま放置という車両も多い

意図的にボロボロの状態を楽しむラットスタイルも定着しているので、それも味として受け止められている


ビートルとの違いは、その取り回し

ビートルも見かけよりも小回りが効かないが、ワーゲンバスは更に小回りが効かない

重いハンドルとも相まって、日本の狭い駐車場事情によっては慣れで対応できない可能性もある(後ずけ電動パワステもあるが)

普段使いはビートルの方が圧倒的に優れるし燃費も良い

そんな使い勝手の悪さも週末には吹き飛ぶ

荷物満載で野っ原でピクニックやキャンプ

高級レストランでは味わえない、ゆったりとした時間の流れを感じながらの食事

こんなライフスタイルに憧れる人も多い
そこにたたずむワーゲンバスは更に魅力的である

時にはキャンプして宿泊
ウエストフェリアはワーゲンバスの車中泊仕様
大人4人はちと厳しいが、小さい子供となら大丈夫
こんなキャンプの思い出は一生モノだろう


自分のレイトも車中泊仕様の可変式ベットに改造していた
残念ながら自分の持病のためキャンプが出来ない事が発覚
レイトを手放した理由である
今でも残念で仕方ない

現代のミニバンでもキャンプはできる
一番の違いはクルマにのること自体がイベントになる事
楽をするのではなく手間をかけて、その時を楽しめる事
快適さを追い求める国産のミニバンの対極のある
手間がかかるからこそ、記憶に深く刻まれる
その思い出は一生モノである

ワーゲンバスの難点は世界的に高騰している事だろう
投機対象となり本来使う人が使えずお飾りになってしまうのが残念である




番外編の番外

◯ルノー4
実のところ、このクルマは所有したことはない。
チョイ乗りレベルである。
購入に至らのは単にご縁がなかったから


ルノー4(以下、キャトル)は世界第3位の生産台数に位置する。
その総生産台数は800万台を超える。

残念ながらその生産台数に見合う知名度が日本にはない。
その後継車たるカングーの方が遥かに知名度が高い。

キャトルが何故これだけ売れたのか?
ホンダZのところでも述べたが、60年代までは、自家用車は憧れの対象であり、商用車とは一線をかくしていた。
ハッチバック車は商用車でありステータスにならなかったのである。
そんな既成概念をフランスの合理主義が打ち砕く。
最初に述べたように、フランス人にとってクルマは生活を楽しむツールに過ぎない。
クルマをステータスと見る感覚が他国より低かった。
その合理性は、便利なものは人目を気にせずどんどん活用する。
良い意味での個人主義がキャロルを表舞台に引き上げた。

これだけであれば、代わりの商用車はいくらでもある。
キャトルの凄さは乗り心地を犠牲にしていなかった事にある。
人間が主役のフランス人にとって仕事(積載量)を理由に乗り心地を犠牲にする事はありえない
ゆったりとストロークするサスにシート、間違いなく今の日本の商用車より乗り心地が良い
そして素直なハンドリングはコーナーも楽しめる

平日は仕事で使い
バカンスを楽しむ時にはレジャー道具満載で避暑地に向かう
その時も乗り心地は損なわれないし、走りも楽しい

そんなライフスタイルに共感するのは、フランス人だけではなかったのである

日本での知名度が上がらなかったのは、当時避暑地でバカンスを楽しむ文化は、大衆には無かったから

その血筋を引くカングーが日本でヒットしたのは、そんな文化に憧れ実践する人が増えてきたからだろう

自分も何度かキャトルを買おうとした。
残念ながら買えるタイミングも含め良いご縁に巡り合っていない。

要介護の親を乗せるのに必要なエアコン(クーラー)が十分効けば、今のカングーの代替にもなると本気で考えている。

キャトルもカングーも元はお仕事グルマである
そのツール感を楽しむのが本流

アルミホイールより鉄っチンホイールの方がツール感がより上がったりする

キャトルの大きさは、現行の軽自動車に近い
客室はともかく高さ方向に稼ぐ荷室の大きさが見た目よりずっと広い。
使い勝手が良いのは当たり前である

その大きさのバランスを含め日常使いで最も使いやすい旧車は間違いなくキャトルである

キャンバストップ仕様が選べるのも個人的ポイントが高い
古いクルマは自然を感じながら走りたい
そんな時にキャトルの大きなキャンバストップは魅力である

ちなみに旧車の場合、サンルーフよりキャンバストップの方が維持しやすい
サンルーフは隙間に水が溜まり錆びやすい、キャンバストップの方が空気が抜けるので錆びにくい
キャンバス自体は消耗品だが、部品も安いし無くなってもホロ屋さんで張り替えられるので、さほど高くない

キャトルの場合、窓がスライド式(初期のミニと同じ)で三角窓がない
その分屋根が開ければ涼しく....っというのは妄想で、真夏は直射日光で熱くてキャンバストップは開けられない(笑)

エアコンは付いていても、その効きの良い固体はまれ
最近のクルマのユニットに交換する手もあるが、ワンオフ部品が必要でお金はかかる
それでも、長く乗るのであればやって損はない


知名度の低いは欠点とも言えない、レアである事も魅力といえる
ビートルや2CVのように旧車然としていないのも、自然体なライフスタイルとして魅力的である

あまり目立ちたくない、でもレトロなライフスタイルを目指したい
そんな人にはベストバランスである

欠点は部品供給が(日本では)、4大大衆車ほど良くない点。
機能部品で欠品も出ることがある、ただ世界規模で売れたクルマであり中古部品も多くどうにかなる。
そこは日本の旧車よりはるかに安心といえる。

キャトル上物は値段が上がってきているが、外装を気にしなければ安く手に入る。
ツールとして使い倒すのであれば、これで充分だしカッコいいと思う。


◯総括
自分のクルマ選びを通じて、それぞれの大衆ヒストリックカーの特徴を記載してきた。

最近に書いたようにクルマの車種選びは国民性の好みで選べば良い
実のところ機能的差異はあまり気にする必要はない


次回以降は4大大衆ヒストリックカーの楽しみ方の差異について記載する。


2018年05月15日 イイね!

【大衆ヒストリックカーを楽しむ】Vol.6 クルマ選びを楽しむ⑤番外編ホンダZ

【大衆ヒストリックカーを楽しむ】Vol.6 クルマ選びを楽しむ⑤番外編ホンダZ
360ccの軽自動車
日本におけるクルマの大衆化はこのサブロクから始まった




大きさは
・全長3m以下
・幅1.3m以下

2代目チンクエチェントの大きさは
・全長2.97m
・幅1.32m

当時のサブロクはチンクとほぼ同じサイズである

規格を作るときにチンクが参考にされたのかと思いきや
日本の軽規格の方が早かった

逆にイタリアが極東の規格を参考にする必然性もなく
ミニマム4人乗車できるサイズを選んだ結果、ほぼ同じサイズに落ち着いたのであろう

余談になるがチンクを軽登録できるか⁉︎
自分もそう思った

これは出来ないこともないが、コストがかかって現実的でない

軽自動車登録はその車体が製造された年式の法規制が適応される

チンクのボディサイズは実測では1300mmを切るのでOK
だが、排気量を360cc以下にする必然がある
これを実現するコストを考えると割に合わない


さて、サブロクの大衆車の代表はスバル360である。
特徴は軽量モノコックボディと、それを実現するためのボディデザイン。
チンクエチェントも軽量高剛性を狙って丸いデザインとなった。
似たようなデザインになった必然だろう。
航空技術を応用した、そのボディ設計はチンクエチェントより更に革新的だった。

時代時代でのサブロクのヒット作は、マツダキャロル、ホンダN360/ライフがあげられる。
ヒットには至らずとも各社から個性的なクルマが多数発売された。
自由な発想で自由なクルマ作り競い合う、今からみればフロンティアである。
その名を課したクルマも存在したくらいに。
サブロクの魅力とは、このフロンティア精神。単に小さくて安いだけでない造り手の夢の工業作品である。

残念ながらスバル360は所有した事がない。


あるのは水冷のホンダZ
通称は水中メガネ



ホンダZへの憧れは小学生時代にさかのぼる
やっと白黒テレビが普及した時代
父が免許を取らなかったこともあり、いつしかマイカーを持つことすら思ってもいなかった

そんな中、子供ながらにいつかは買えるかも!と憧れたのがホンダZであった

ジャンボーグエース(実際には9)で走るZに、ジャンボーグエース以上の魅力を感じていた

そんな子供の頃の記憶は失われたいた

あるビートルのイベントで、ホンダZの整備書なる本を見つける
当時はメーカー以外からも整備書が発売されることも多かった

手にして当時の記憶がよみがえる

それなりの値段に価格交渉をしてみる
レアな本らしく、少ししぶりながらも交渉成立

この時、価格交渉が成立していなければ、ホンダZを買うことはなかった

その本をナナメ読みして棚に収める

そして、とある旧車ショップの下取り車を購入する機会がやってくる
この時、手を上げたのは3番手だったが、最初の方はお店にあった別の旧車を、2番手の方は予算が確保できないとの事で自分に声がかかる。

外観は一見綺麗だがニコイチでレストアされた個体。調子もイマイチ。
低回転ではバラつくエンジンも高回転でひと伸びする気持ち良さはホンダエンジンそのもの。
雰囲気的にキャブと点火系で低速のバラツキもなんとかなるだろう。価格が安さに自分なりの言い訳をこじ付けて購入決意。

ホンダZの代わりに出されたのはランチアデルタインテグラーレ16v

普通ありえない入れ替えであるが、買い替えに後悔はなかった
高速以外ではホンダZの方が全然楽しかったからである
その後インテグラーレは超高騰し売ったタイミングの後悔はあるが(笑)

多くの人はインテグラーレの方が面白いと感じるだろう。
速く走る事に興味がなくなっていた自分にとって、インテグラーレの1/5のパワーを使い切って走る方が楽しかった

ちなみにインテグラーレの次のオーナーはフィアットパンダを下取りにしたそうだが、やはり一年でインテグラーレを手放したらしい


ホンダZの魅力は
・エンジン
・デザイン
その2点に尽きる

自分のZは最後期型の水冷
グレードはGTでツインキャブ

N360がバイクのエンジンをベースにしていたのに対し、クルマ専用に再設計されたもの

とはいえホンダは市販4輪のエンジンノウハウがあるわけでなく、水冷化された以外はほぼ2輪用の設計思想を踏襲する
目新しさは静粛性のためにタイミングベルトを採用したくらい
なんの変哲もない360度クランクのOHCツインエンジンである

しかしそこはホンダのエンジンである。
9000回転のレッドゾーンまでキッチリ回り、更に上まで回ろうとする。
そこで発するエンジン音はバイクそのもの
自分はCS92という古いホンダの125ツインを持っている
そのエンジンと音だけでなく、振動やその伸びキリ感までそっくりである
イタ車のような刺激的な快音とはまた違う、ホンダミュージックが楽しめる

自分のZの中味はノーマルではないらしい
そのエンジンのピークパワーはアバルト695を超えているだろう

ノーマルのチンクのレッドゾーンは4500回転程度、それも4000回転以上で高速巡航するとベアリングが焼きつく可能性があるという

ホンダの360は9000回転の全開走行でも高速巡航は問題ないという(自分は巡航時はMAX8500回転でセーブするが)

チンクを引き合いに出すまでもなく、こんな高回転で巡航可能で、街中でも普通に走れるエンジンなんて、当時他には無かった
世界的にみても第一級のエンジン設計技術をこの時点でホンダは持っていた

もう一つで魅力のデザイン

フロントはラジエターグリルを独立させてスポーティに
ボンネットの縦長のプレスを含め、どこかフェアレディZに似ているのは、まったくの偶然ではないだろう

最も特徴的なのは黒枠のリアハッチ
水中メガネと比喩されるデザインが最大の特徴となる
当時ハッチバックは、商用車のバンをイメージされることから、自家用車に採用されるケースは稀だった

パッケージにこだわったBMCミニですら、ハッチバックでなく独自のトランクを持つ
独立のトランクが自家用車の証だったのである

そんな時代にロングルーフと組み合わせたハッチバック
リア席の頭上空間とクーペの格好良さとハッチバックの使い勝手を持つ
今時でいえばシューティングブレイクである

ホンダZのデザイン凄いのは、このシューティングブレイクデザインを世界に先駆けて採用したことにある


問題は、デザインを構成するボディ
その剛性である

ユルユルのボディはコーナーでボディが変形するのがわかる
今履いているブリジストンのスニーカーですら当時のタイヤからすればハイグリップ
それにミューの高い最近の舗装にボディが耐えられない
コーナーでドアの隙間が拡大し路面が見えることもある

そんなボディではサスは機能しない
サスペンションの構造以前の問題である

エンジンを買ったらボディが付いてきた
ホンダ車でよく言われる笑い話しは本当である

ほぼ同じ大き、重さのチンクエチェントの方がボディ剛性は圧倒的に高い
エンジンとは逆にボディ設計のノウハウは当時のヨーロッパ車に遠く及ばない

とはいえ走り始めてしまえば、そんなことどうでもよくなる

チンクがタイヤにかかるGを感じながら曲がるのに対して
ホンダZは行きたい方向にハンドルを切ってエンジン全開(笑)
駆動力で強引に引っ張られ曲がっていく
舗装路でも未舗装ラリーのような走り方となる

速く走るとギャップで飛ばされて綱渡り的になる
これはこれで楽しいのも事実
完璧なクルマが必ずしも楽しいわけではない

とはいえホンダZのエンジンをチンクに積んだら楽しいだろうなぁ〜なんて妄想もわく


ホンダZに限らずサブロクは全開走行を日常スピードで楽しめる
それを操る楽しさはトヨタ2000GTでもフェラーリでも味わえない

そして、そんな走りはみんなの笑顔を誘う

サブロクは日本の誇るべきファンカーである


◯部品供給
サブロクに限らず日本車の旧車のネックは部品供給である。
メーカーからに部品供給がないのは当然として、日本でしか販売されなかったモデルはサードベンダーが作る部品も限定的である。

アメリカやヨーロッパ(特にイギリス)はDIYでクルマをイジる文化がある。
個人向けにそれなりに大きなマーケットが存在する。
そんなマーケットに向けてサードベンダーから部品が供給される。
最近は中国製の部品が多く品質が落ちたとしても無ければ話しにならない。

サブロクの中で部品が確保しやすいのは、スバル360とホンダN360&ライフである。
この3台は元々販売台数が多かったことが幸いして現存数もそこそこある。
小ロット生産でギリギリ採算のあうマーケットになっている。
サブロクは維持費が安く小さいので納屋に眠ってる固体があり、まとめて中古部品が出てくるケースもある。

それでもヨーロッパの4台に比べれば悲劇的なくらい部品の確保が難しい。
国産系の旧車ショップではユーザー自身で部品を持ち込めば修理します.....っというところもある。

なので、サブロクを買うなら完動品で欠品の少ない個体を選ぶのが絶対となる。
買ってからレストアしようとすると部品が揃うのに何年かかるかわからない。



このシリーズは、まだまだ続きますd(^_^o)

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