
はじめて、本小説(ブログ)をご覧なる方は、
こちら をご覧ください。
「そうね・・・このままだとミッション痛めちゃうしね」
「一回ドライバー交代ね」
母曰くヒール&トーは本来速く走るためのものではなく、クルマをいたわるためのものらしい。
エンジンよりもミッションの方が簡単に壊れるらしいから・・みかん号を壊さないためにも覚える必要がある
母の運転に変わりスタートするがスピードは速くない
ペダルとシフト、そしてハンドル操作を視界の中で追う
4速~3速~2速・・・・ギアを下げる衝撃がない
操作は・・・・・・・・早すぎてわからなかった・・・
5周位したところで操作の順序がわかってくる
そしてペースアップ
周回毎にペースがあがりウエット路面のパイロン側ではクルマが横を向きはじめる・・・これがカウンター
でも、ビデオで見たことのあるカウンターとは何かが違う
常に4輪共流れている
ブレーキングと車速の慣性を利用して車体をコントロールしているのがわかってくる
流しながら綺麗な曲線をつなぎ加速していく
滑っているのにクルマの安定性が失われていない
大観山からの下りは、あっと言う間で観察する余裕は無かったが・・
ゆっくりとしたステアリング操作なのにスピードは上がり続ける
そしてドライ路面のパイロン側でも同じ事が起こり始める
タイヤのスキール音が激しくなるが、ゆったりとした、ペダルとシフト、そしてハンドル操作はかわらない
いやハンドルのきる量はさらに減っている・・
結局、母から言葉でのレクチャーはまったくなかった
その操作イメージを頭の中に、走る感触を身体に叩き込む・・・自分に出来るのか
そしてドライバー交代
見て感じたことを一度に出来ない事はわかる、まずはペダル操作から・・・・
最初の休憩から2時間近く走る込み、ギクシャク感はあるものの、なんちゃってヒール&トーは出来るようになる
「お昼にしましょう」
母に言われて、喉がカラカラでお腹がすっ空かんな事に気がつく
走っている間に父が買いだしてきた、お弁当を食べながら
再び運転中に感じた事、試した事とその結果を、なるべく論理的に話す。
父は楽しそうだ・・
そして午後はパイロンが一個になる
母は同乗しなくなる
一時間走っては休憩、気がついたことを話す
ブレーキによって沈んだサスが戻ろうとする力がタイヤ、サス、ボディに伝わりコーナーリングフォースを生むこと
フロントタイヤの感触は手の平で、リアタイヤはお尻で感じること
最短ラインがベストではないこと・・・etc
そして、自由自在にクルマが操れると、とても楽しいこと
速く走るのが面白いのではない、限界でコントロールしている感覚が楽しい・・・
回りが暗くなりライトON、夕方になってもトレーニングは終わらない・・疲れはしているが苦痛ではない、もっともっと走りたい・・・
7000回転の縛りを10000回転に上げる、そして世界が変わりはじめる・・・・
このエンジンはまだまだ上に回るらしい、普通レッドゾーンが限界なのは知っている。
これは、たぶん凄いこと・・・これがタイゾーマジック・・・
そして、母が再び乗り込む
今までとは一転して、細かい指示がとぶ
自己流で走っていた癖が矯正されていく
次第に母の指示に的確に反応できるようになる。
そして、回転縛りがどんどん上がる
15000回転、これがおじいちゃんの組んだビートの本当に実力
大観山からの下りで聞いた甲高く澄んだ排気音が山にこだまする
あの時聞いた綺麗な音色・・・・楽器を与えられた子供のように弾き続け・・・音の変化を楽しみはじめる
クルマと一体感を五感を通じて感じ取れる
そのまま夜8時まで走り続ける
その頃にはクルマのトレーニングしている意識は無くなっていた、ただただ楽しかった
ビートから降りた時、まともに歩けなくなっていた
身体のあちこちがギシギシしている、手は震え、足はガクガクである
これが体力と集中力の限界・・・クルマの限界だけでなく自分の限界もわかった気がする
でも楽しかった・・・・クルマって本当に楽しい・・・
みかん号待っててネ・・・・・・!
放心状態のままビートルの助手席に乗り、長かったはずの今日一日の記憶をたどる、
父がエンジンを掛けると同時に意識が遠のく・・・・・
ビートとは対照的な低音の心地よいリズムのなかで・・・・Zzzzz
後記
2週間で4回連載と駆け足で進みました駐車場トレーニングは今回で終わりです。
細かい描写を書いたら6~8部作位になっていたかもしれません(笑)。
8の字トレーニングは自分が昔バイクでやっていた内容に近いです(珍しい手法ではありませんが!)。
バイクの時は左右のパイロンの間隔を思いっきり縮めて、低速バランスと切り返しの荷重移動の練習なんてしたものです。
さて次回からはZ360も動き出します。
そして、この物語メインストーリーが本格的に始まります。
次回は9月20日頃アップを予定していますが、作画が遅れ気味で・・・・
尚、執筆に集中するためコメント機能は止めております。
もし、続きを読みたいと思わましたら
「イイね!」ボタンを押して頂けると、とても励みになります。
物語の概要やINDEX(目次)は、
こちらをご覧ください(随時更新中)。