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うちにどういう訳か新たな車が増えた。

とある私的な案件で接点のあった方が荷物運び用に乗っていた軽トラで、案件開始当時から気になっていた車だった。案件が終盤に近づいた頃、その方がぼそっと呟いた。「これで儂もようやく肩の荷が下りた。この車も来月で車検が終わるから、事が済んだら新しい軽を買ってこれは廃車にするつもりだ。もうこんなに荷物を運ぶ事もないだろうからな。」

私はその方に即座にこう言った。「勿体ないんで、捨てる位なら下さい。名変は自分でやるし、大物猟の時には転がした獲物積むのにどの道こういう軽トラは欲しいと思ってたんで。」互いに渡りに船という塩梅で、交渉は即座に決まった。

・・・はい、完全にサンバーの時と同じパターンです。窓越しに中を見ていてFRか。4MTにシールドビームって珍しいなー、とは思ってはいたんですが、まさか自分のモノになるとは思ってもいなかった。平成8年式と、私の車の中では一番若い車齢の車ですが、内実はかなりスゴイです。

ヘッドライトはハロゲンながらもシールドビーム、オーディオはAMラジオのみでしかも壊れてるしアンテナも折れてる。ところどころぶつけたようなヘコミがあって、穴こそあいてないものの、所々には錆も浮いている。エアコンなんてある訳もなく、吹き出し口はダッシュ中央部とデフロスターのみ。サイドバイザーもハイマウントストップランプもなく、メーターはタコはおろかトリップメーターすら付いてない。サンバーと比較して決定的に優れている点は、ライト消し忘れとキー抜き忘れのアラームが付いている事位・・・。どうみても官公庁納入グレード(新人のライン工が最初に手掛ける車体・・・らしい)並みの超廉価仕様です、本当にありがとうございました。


・・・でも、キャブレターの4MTって意外に走りが楽しいんですよ。不思議な事に。U4x系のシフトレバーは新規格のU6x系よりも長くて、シフトストロークも長いのですが、シンクロが頑丈なのかシフトのアップダウンは実にかちっと決まってくれます。U6x系も距離行ってもミッションがへたらないですけど、U4x系も同じ様な感じですね。


エンジンはこの時代ではかなり珍しくなっていたサイドドラフトのキャブ仕様、始動性も良く、何よりも吹け方がECIのU6x系よりもキビキビしてる感じ。回転を上げると少しやかましいので、60km走行キープな感じにはなりますが、重ステと4MTの組み合わせで、小気味よく走り回ってくれます。しかしカップリングファンなんて久しぶりに見たかも・・・。


ただ、サンバーでもそうだったのですが、平成8年頃というと平成元年頃発売のバブル時代設計の車体が、コストダウンの影響で部品点数の多い装備がどんどん簡略化されていった時期。ミニキャブもこの写真の辺りにどうもそのような影が見え隠れします・・・。サンバーにもあったベンチレーター、どうもこの辺に付いてたっぽい感じするんだよなぁ。

U4x系はブラボーというワゴンがあった事もあり、根強いファンが散見される車体。ブラボー自体もスーパーエクシードやルート66なんかを大事に持ってる人が居ますし、ブラボーの部品を流用したミニキャブなども時折見かけます。この車体も、なんだかんだで弄くる対象になりそうな感じ。

よくよく考えてみたのですが、もしも今回の話、キャリイとかハイゼットだったとしたら、２スト車とかよっぽどのモノじゃない限り手に入れようとはしなかったと思います。ポータキャブなら今回と同じく即決だったと思いますが。キャブレター、シールドビーム、リジットサス・・・、この辺りのキーワードを眺めていて気付いた結論。

そうか、これはスタリオン2000GXと共通項の多い車体だったんだ、と。スタリオンGXはもう1台スタリオンを持てるのなら、多分これを選んだだろうという位、私の中では気になっている車体の一つ。その共通項の多さが、このミニキャブが私との縁を引き寄せたのだろうと思います。これでこの車体のニックネームは決まりました。


色々やれてはいるし、どこまで乗るかは分からんけど、よろしく頼むよ。GX号。