2005年02月22日
重力の伝わる速度とは
力の伝わる速さは光速ですが、重力はどうなるんでしょう?
例えば、
・太陽の周りを地球が回っているが、太陽が瞬間的に消滅したら、地球はすぐに直線運動になるのか、ある程度の時間があって直線運動になるのか?
実は、重力は解明しても難しくて誰も理解出来ないから研究するなみたいな忠告をアインシュタインは受けるわけですが、特殊相対性理論を発見した(1905年)後も研究を続けました。そして、ついに10年後の1915年に一般相対性理論を完成させています。
アインシュタインの一般相対論は難解な数学的理論ですが、重力を時空の歪みと捉えることによって、重力作用の本質を明らかにするものだと言えます。
力の伝播に関しては、古典物理学である、マクスウェルの方程式やリエナール・ヴィーヒェルトのポテンシャルを理解すれば可能ですが、ブラックホールなど絡んでくると相対性理論が無ければ解明出来ません。(順番としては、一般相対性理論があってブラックホールの存在が予言された)
それは、「ブラックホールは光さえ脱出できないのに重力は何故出て周りに影響を与えるのか?」と言う疑問も明らかにしました。
一般相対性理論によると、太陽の周りを惑星が周回するのは、太陽から重力が作用して進行方向が曲げられるのではなく、太陽質量によって歪められた時空の中を惑星が進んでいくと結果的に楕円軌道を描くことになるいう訳です。
また、ブラックホールに関して、1960年代から70年代初頭にかけてのゼルドヴィッチやホイーラー、サイアマらの研究の結果、観測できる物理量は、質量・電荷・角運動量の3つしか無いことがわかりました。
ホイーラーは、これを「無毛定理(No Hair Theorem)」言っています 。
ブラックホールからは光子や重力子が飛び出すことがないにもかかわらず、電荷や質量が測定できるのは、場に連続性があるからです。
ブラックホール周辺の電場は“事象の地平線”の彼方から光子が飛び出して生じているのではなく、もともと存在していた電場が連続的に変化していくことによって形成されたものであり、ブラックホールからは光すら放出されないという法則を破ることはありません。
また、“事象の地平線”自体は特異点ではなく、ブラックホールの質量によって歪んだ空間-もともと存在していた場の量が連続的に変化したものであり何の不都合もないのです。
こうして、重力とは連続した場の歪みであることが解明さ、重力場の伝搬も光速であり、それを越えることはあり得ない事が証明されました。
重力場の伝播は、非線形方程式に従うので電磁場ほど簡単ではありませんが、弱い重力場の極限では、発生源がない場合の波動解と、発生源によって作られる遅延解に分けて考えることができます。
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Posted at
2005/02/22 21:32:08
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