2006年01月07日
CATIA(キャティア)の功罪
現在、車の設計は車体設計専用のCADで行われている。
このCADソフトの中で最も使われているのが、フランスのダッソー・システムズのキャティアだ。
車体設計CADソフトは他にも、アイディアス、UGなどがあるが、CATIA Version.5になった頃から業界標準としてほとんどのメーカーがキャティアを使用して設計を行っていると思う。
このソフトはホントに凄い!
極端なことを言えば、小学生でも衝突要件を満たして、そこそこに走る車を設計出来る。
よくプラットフォーム共用と言われるが、現在の設計システムの中で、どこまでがプラットフォーム共用と言うのか説明できる人は、よほどの車好きでもいないと思う。
このあたりを書くと長くなるので、気力が充実した時にするが、簡単には衝撃吸収構造とサス周りの基本構造くらいか・・・・
これも、キャティアのお陰だが、最新ヴァージョンのソフトではFFとFR用(AWDはFR)の2種類の基本構造を作れば、あとはホイールベースだろうがトレッドだろうが変えながら、衝突要件を指定すれば必要な補強を計算してくれるためコストを抑えて開発が出来る。
特に、EWSの性能が上がったため、数年前ならスーパーコンピュータを使って解析していたような事までお手軽に解析してくる。
車の歴史では、長らくベンツ、ボルボが安全であると言われてきた。
コンピュータが発展する前は、こうした安全性は地道な調査と実験によって成立していたためであるが、CADソフトの進歩は資金力の無い会社でもそこそこの衝突安全性をシミュレーションで確認できるようにした。
誤解が無いように言っておくが、それでも実際の事故における安全性ではベンツとボルボは頭一つ出ていると思っている。
これは、CADソフトの罪の部分の一つであるが、ユーロNCAPのような衝突テストの浸透により、特定のテストで良い点を出るように設計できるようになったからだ。
国産小型車で衝突安全性の☆の多い車も増えて、それはとても良いことだが試験対策に絞った勉強をしてきた人のようなもので、世界の衝突試験で項目に無い試験をいくつも車内基準に設けている、ベンツ、ボルボを初めとするいくつかのメーカーの車とは実際に事故にあった時の差は確実にある。
しかし、このキャティアがもたらした最大の罪は車の個性を無くしたことだろうか。
車の設計には、各社が得意とするノウハウがあり、あのメーカーのFFはハンドリングが自然でキックバックが無いとか、限界付近の乗り味に癖があった。
それが、今ではそんな癖のある車の方が希少価値になってきたし、FRでもFFのアンダーっぽい特性に仕上げたりも出来るし、何よりも車に興味の無い職業人にも設計が出来る。
こうなると、行き着くところどれだけ車が好きな人が設計したか、セッティングをしたかと言う点が差になって表れてくる。
フロント回りの補記類の配置は、3次元パズルのようであるが、ある程度学校を出て、物理を判っている者ならステアリングの剛性や、重たい部品の配置などを考えて置くことが出来る。
しかし、そこらか先の、剛性を倍にしてみたら何がどう変わるか?CAD上では難しそうだけどもっと理想的な配置にしたいと言うところまで思われて作られたなと感じる車は、私の買える範囲では限られている。
安くて良い車が増えるのは良いことだけど、差別化が形と装備と言うのは寂しいですね。
でも、車選びって楽しい(笑)
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Posted at
2006/01/07 15:19:01
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