
空気抵抗は、車の初期の頃から認識されていて、昔から流線型のボディを纏った車が多く作られてきました。
しかし、25年ほど前のスーパーカーブームの頃に、フェラーリ512BBと子供達の人気を二分したカウンタックは、空力特性など考慮されていないことは有名です。
空力特性は、前面から受ける空気抵抗と、車体の上面・底面を流れる空気の影響による揚力(リフト)、横風の影響によるヨーイングを考える必要があります。
まず、走行時の空気抵抗を考えると、120km/hを超えるあたりから、走行抵抗に占める空気抵抗の割合が一番大きくなってくるので、CD値を改善することが最高速と、高速での燃費の改善に有効であることが知られています。
CD値は空気抵抗係数と呼ばれる物で、CD値×前面投影面積が空気抵抗となります。
ですから、飛行機などは大きくても、CD値は0.1を切りますし、歩行する際の人体は0.6位になります。
現在は、コンピューター内の3D CADモデルによって、大まかなCD値がシミュレーションできて、最終的に風洞実験で細部を詰めると言う手法が取られますが、20年前は、流体シミュレーションにはスーパーコンピュータが必要で、車体全体の空力シミュレーションは困難だったため、縮小モデルによるトライ&エラーにたよっていました。
実際、CD値が0.3を切る車は、同じ馬力でも150km/h付近での速度の伸びもはっきりと違いますし、CD値で0.05も違うと、最高速付近で20km/h近い差になるのではないでしょうか。
市販車で空力改善に取り組んだ車として、アウディ100が有名ですが、航空機部門と繋がりのある、サーブやスバルも早い時期から空力改善に取り組んでいました。
スバルでは、20年前に発売されたアルシオーネがCD値0.29を記録して、当時のカタログには、市販車で世界最高と書かれていたと思います。
アルシオーネでは、ドアハンドルもフラットになるようにフラップを付けたり、思いつく限り車体のサーフェイス化を行い、実験の繰り返しによって、リアウィンドウの角度、車体のリア端の処理、空気取り入れ口形状などを決めていったようです。
また、この当時の日本車の空力アイテムは、船の艦首にヒントを得たと言う、エアダムスカート、サイドスカートにサイドフラップ、そしてリアウィングでしたが、これらはCDを下げる物ではなく、役割としては安定度を出すものでした。
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技術解説 | クルマ
Posted at
2005/04/11 17:22:13