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2005年04月14日

ミラーサイクルエンジンとは

ミラーサイクルエンジンとは ブラジャーのカップの謎で息抜きをしたので、また少し専門的な話なんぞを書いてみます(^^;

ミラーサイクルが実現されると騒がれたのは、既に10年以上前の1993年、マツダのユーノス800の発売でした。

このユーノス800は、2.5L を 2.3L に縮小したにも関わらず、220ps と 30kg のトルクを出し、デザインも素晴らしかった事から、北米ではBMW325を抑えて人気投票の一位に輝きました。


これは、石川島播磨重工と共同開発した、全域2kg/cm^2の加給圧を実現したリショルムコンプレッサーを搭載して、2254ccのV6エンジンで圧縮比7.6、膨張比10.0において、最高出力162kW/5500rpm、最大トルク294Nm/3500rpmを発揮しました。

しかし、スロットルバルブが残ったためポンピングロスが低減できず、過給圧制御もプレッシャーリリーフバルブを使うなど、中途半端なエンジンと言わざるを得ないものでしたが、それでも自動車史の1ページに残る画期的な成果でした。


今では、名前も聞かなくなり消えてしまったと思っている人もいるようですが、プリウスやエスティマハイブリットなどもアトキンソンサイクルと言っていますが、実際はミラーサイクルですし、BMWのバルブトロニックも遅閉じミラーサイクルによって燃費を稼いでいると言えます。


そもそもミラーサイクルとは何か?と言う話ですが、一言で言えば「圧縮比よりも膨張比を大きくしたエンジン」です。


ミラーサイクルエンジンの原型は、英国ジェームズ・アトキンソン(James Atokinson)が提唱した熱サイクルで、圧縮行程よりも膨張行程を長くしたものです。

これを実現するエンジンは、圧縮と膨張のストロークを変化させるために、複雑な機構を持ち、高速回転化による高出力が難しかったので、次第に忘れ去られました。

この後、北米ノルドバーグで天然ガス技術者をしていた、ミラー(R.H.Miller)が、発電負荷の急変に対応する出力調整機構として、吸気バルブ閉じ時期可変式を思いつきました。

この、吸気バルブの開閉時期を調整することが、熱効率向上に効果的なアトキンソンサイクルを、簡便な構造で実現する方法だったのです。


この吸気バルブの開閉タイミングを調整するシステム(ミラーサイクル)として、ミラーエンジンとして知られるようになりました。
正確には、アトキンソンサイクルミラーシステムエンジンと言いますが、長ったらしいので略してミラーサイクルと呼ばれています。


ミラーサイクルエンジンは、ピストンが下死点から少し圧縮行程に入った時に吸気バルブを閉じる遅閉じミラーサイクルと、吸気行程で下死点に達する前に吸気バルブを閉じる早閉じミラーサイクルがありますが、遅閉じミラーサイクルが一般的です。


VVTと言われるような、可変バルブタイミング機構でも、吸気弁を下死点や上死点から遅れた所で閉じていますが、これは慣性吸気を有効に利用するためや、高速回転化のためで、基本は下死点で閉じて排気量一杯に吸入することで、ミラーサイクルに比べて小さなズレです。


このミラーサイクルエンジンは、熱効率が高く、エネルギーを有効に使えるという特徴を持っている反面、吸入する空気が少なくなるのと、一度吸い込んだ空気を吸気管側に吐き戻すので、新気の温度上昇が避けられず、高出力が得にくいという欠点を持っています。

そのため、ミラーサイクルエンジンの多くは過給機(ターボチャージャーやリショルムコンプレッサー)と組合わせて使用されます。


マツダで採用した物は、冒頭に書いたように、I.H.I製の高性能リショルムコンプレッサと組み合わされ、その凄い加給圧のため、RX-7 で採用したボンネット上のインタークーラーへのエアスクープは全然役立たず、ラジエーターやクーラーコンデンサーと並べて、左右のエアインテークにインタークーラー配置しなければ、ノッキングが抑えられないほどのものでした。


トヨタは、相変わらずちゃっかりと美味しいところを持って行ったわけですが、ミラーサイクルと言うのを嫌い、アトキンソンサイクルと言っていますが、やっている事はミラーサイクルです。

プリウスでは、発進、加速時のトルクをエンジンよりも電動モータに負わせることで、トルクの弱い過給器無しのミラーサイクルエンジンを上手く実用化しています。


他に、BMWのバルブトロニックエンジンが、スロットルバルブを廃止することによる、ポンピングロスの低減で効率が上がっていると説明していますが、バルブトロニックのバルブリフトの制御はそれほど精密に制御できておらず、遅閉じミラーサイクルにして燃費を稼いでいると私は思っています。

と言うことは、バルブトロニックではスロットルバルブが無いので、ここにI.H.Iからリショルムコンプレッサーを買って、上手く制御すればかなり効率の良いエンジンを作れるはずなんですが、どうなんでしょうかね(^^)
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Posted at 2005/04/14 18:05:07

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この記事へのコメント

2005年4月14日 21:16
バルブトロニックは、スロットルバルブないということがポンピングロスの低減なわけですが、空気吸い込み量が多いときはいいとして、あまり吸い込んでないときは、吸気管に近いところは流速が速く、中央部は流速が遅くなるというわけで、エアフローセンサーでの測定というのが
難しいですよね。
そこら辺はプログラム的に予測してると思うんですが、かなりのデータ蓄積してるんでしょうね。

バルブトロニックも高回転型エンジンには向かないとBMWが言ってますが、日産の可変圧縮比エンジンはどうでしょうか。
マツダにしてもそうですが、最初の一歩を踏み出したとこの功績って
日本人はもっと見るべきですよね。日産はさらに完成度でも見せ付けてほしいな。
コメントへの返答
2005年4月14日 21:56
バルブトロニックの、バルブリフト量の制御はかなり荒く、スロットルバルブに比べてどれほどのメリットがあるのか正直怪しく思っている部分もあります(^^; でも、今回のエンジン更新に合わせて、ほとんど全てのエンジンがバルブトロニックになりましたね。

可変圧縮比エンジンは、リンクが一つ増える分の機械的なロスがあるし、イナーシャも多少増えるでしょうが、一般車が使用するくらいの高回転が苦手なんて事は無いと思います。
GT-Rで採用するのかわかりませんが、世間を驚かすようなものを登場させて欲しいですね!
2007年1月8日 19:15
はじめまして。
とても詳しい解説、ためになります。

ミラーサイクルは、リショルムコンプレッサの騒音も、指摘されていたかと思います。マイナーチェンジで多少解消されていましたが。
初期型は、結構音が派手だった記憶があります。
当時は、インタークーラーを、過給器の前にも設置していたのが、印象的でしたね。

コスト的にこのエンジンは凄かったようですが。過給器も、このエンジンだけで、お蔵入りだし。

97年頃に、スバルが軽自動車用のミラーサイクルエンジンを参考出品していましたが結局発売はされず…

ミラーサイクルではないですが、VWの1400ccのターボとスーパーチャージャーのエンジン、少ない排気量で高燃費+高馬力なんて、エンジンがまた出始めてきました。潮流になりえるのでしょうか……
コメントへの返答
2007年1月8日 21:34
はじめまして!コメントありがとうございます。
めっきり新しいブログを書いていませんが、どこからかたどり着いたのでしょうか(^^;

過給器の音って個人的には結構好きですが、最近のメルセデスのコンプレッサ(リショルム)ではほとんど音が感じられないレベルになっていますね。

マツダのミラーサイクルは、ロータリーを実用化させたように技術屋の意地もあったのでしょうね...

今後は法律面からも各メーカーは燃費基準をクリアしなければならなくなるので、より高効率エンジンを求めるでしょう。
ミラーサークルは比較的容易にバルブタイミングを変化させることが可能になりうまく取り込まれていますし、絹ごし@越後屋さんも書かれているVWのエンジンをはじめ、欧州メーカーは過給器へ回帰しているので小排気量+過給器は一つの潮流になる可能性は高いと思います。

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