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イイね!
2005年08月16日

まじめな冷却のメカニズム

ラジエター水チューンとはのような怪しい話ではありません。

以下の冷却理論は、車関係の本にはおそらくどこにも書かれていませんが、最近の研究報告などから考えると多分正しいと思います。

ラジエターに入れている冷却水ですが、水ではなく不凍液に色々な物が添加されています。

エンジンを長持ちさせたいなら、オイルを指定サイクルの半分で替えるよりも、オイルは指定サイクルで良いから、クーラントをきっちりと交換すべきというのが持論です。

本題からはずれますが、乗用車の平均寿命は約9年と言われ、15年も前の車、特に国産車はセルシオやクラウンなど一部を除いてほとんど見かけません。

なので、古い車は必然的に古いベンツであったり、BMWであったりするのですが、たいていは冷却水がらみの部分から、エンジンにダメージを与えて寿命となっている印象が強いです。

LLCはエチレングリコールまたはプロピレングリコールを主成分として、水酸化カリウム、燐酸など毒性を持つ物質を含みますが、以前は、さらに毒性が強いけど、強い防錆作用を持った車には良いクーラントがありました。

しかし、環境面から防錆剤もノンアミン系に変わって、またエンジンも腐食に弱いアルミ合金製に変わって、地下水等を使用したために腐食してしまった例は増えています。

だいたい、ヘッドで冷却水とオイルが混ざるような事態が発生すると、オーバーホールまでする人はまれで、廃車にされてしまうことが多いので、長く乗るつもりなら気を掛けたいところです。

私は50%濃度(メーカー指定)のクーラントを定期的に交換していますが、冷却性能だけを考えると、濃度は低い方が性能は高いのです。


本題に戻りますが、ご存じのように冷却水はエンジンを適度に冷却するために、エンジンブロック内を流れてラジエターで放熱して90℃位に保たれています。

エンジンのシリンダ内壁温度は約150℃になりますが、冷却水路の液側の金属面での温度は約135℃ くらいになって、クーラントの沸点(約120℃)よりやや高くなっています。

この、エンジン内部の冷却水路の金属壁表面をミクロ的に見た場合、どのような熱伝達が起こっているのか解析されておらず、冷却水を沸騰させずに強制循環させるのが良いと思われていました。

しかし、原子炉の冷却系の解析が進み、沸騰熱伝達特性について色々なことがわかってきました。

そのあたりをもとに、エンジン内を考えてみると、エンジンブロック内の冷却水経路の金属表面では、クーラントの沸点を少し超えているので、沸騰して泡が出ています。

これは、バブリングと呼ばれる現象で、この泡は流れている冷却液(バルク)のところに到達すると液に戻ります。

このバブリングによって、冷却液側の金属壁表面がかき乱される状態を、サブクール沸騰と言って、サブクール沸騰での熱伝達は強制対流熱伝達の数倍の熱移動能力を持ちます。
※サブクール沸騰:流体のバルク温度が沸点に達していない状態の沸騰を言い、沸点に達している沸騰を飽和沸騰と言う。また、鍋でお湯が沸騰しているように気泡が次々と発生して離脱している状態を核沸騰と言います。

なので、エチレングリコールの濃度を上げすぎると、沸点が上がって冷却液が金属壁表面で沸騰しなくなり、サブクール沸騰ではなく強制対流熱伝達となって逆にオーバーヒートを起こしやすくなります。

冬の北海道でオーバーヒートが起こったりするのは、雪などによるつまりの他に、クーラントの濃度が高く、サブクール沸騰が発生しないためと言うことも関係するのではないかと思います。

オイルは、温度がかからなければ2年程度では劣化しませんが、クーラントの防錆効果は2年もすればかなり落ちますので、クーラントは程々の濃度(30%~50%)にして、1年から1年半くらいで交換するのが大きな出費を出さない予防策かと思います。
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Posted at 2005/08/16 21:13:18

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この記事へのコメント

2005年8月16日 21:38
先生!!、質問で~す。

バブリングが起きると泡の接触面では熱伝導率と流体速度が変化すると思うのですが、この変化は、なぜ、数倍の熱移動能力をもつのでしょう?

バブリングが起きなければ、液面と金属面との間の接触面の状態は安定していて、熱変動の予測が付きやすく、より良いクーラントが開発しやすいのでは?と感じたのですが。

いかがでしょう?

コメントへの返答
2005年8月16日 22:00
うん、良く思う疑問点です!

サブクール沸騰とは、冷却媒体は沸点に達していないけど、接触面温度が高いことからその接触面で沸騰がおきてミクロの泡が発生する現象です。しかし、泡は離脱すると冷やされて消えます。

http://www.nuclear.jp/~rohonbu/lab/mps/example/boiling.html
ここ↑に核沸騰のシミュレーションがありますが、この泡が離脱するときに高温の壁面付近の冷媒をかき回して温度を下げるため、熱伝達率が数倍になります。

通常の冷却よりも、沸騰熱伝達は効率が良いので多くの機器で採用されていますから、効率などについて論文が多く発表されていますので、ググればいっぱいヒットすると思います。
サブクール沸騰には、膜沸騰熱伝達に遷移する途中で限界熱流速を超える特異な現象があります。このあたりは、今研究が進められている分野です
2006年7月24日 8:47
おはです~^^

先生、ボクも質問です。
ふと思ったのですが、なぜ冷却液の代わりにフロンガスを使わないのでしょうか?
循環装置は多少複雑なモノになるかと思いますが、クーラントに比べると遥かに高い吸熱能力とエンジン冷却を妨げる現象は皆無では?
と考えております。
エンジンを冷却しすぎないように、コンプレッサーをコントロールすれば適温を保つ事は難しい事ではないのではないかと思い、実施を検討しております。
コンプレッサーの設置場所は、撤去するリザーバータンクあたりが適当かと・・・
実用可能かどうかは未だ調査中ですが(^^;

ご意見お願い致します(_"_)
コメントへの返答
2006年7月25日 0:00
こんばんは!

エンジンの冷却媒体としてフロンは適さないからです。と言うよりも、ヒートポンプでエンジンを冷却するメリットって何でしょうか?

冷却媒体として優れるのは、比熱が大きく、熱伝導率が高く、腐食性がなく化学的に安定したものです。
扱いは難しくなりますが、原子力のもんじゅでナトリウム漏れがあったように、性能を求めればナトリウムです。車でもナトリウム封入バルブとして高性能エンジンに使われていますよね。

あと、気体で冷やすなら純度の高い水素が一番です。これも、性能を求める産業界では良く使われます。

また、エンジン燃焼に最適な温度は95~105度あたりで温度差が出ないように均等に冷却する必要があるので水が最も簡単であり適しているから使用されています。お金に糸目を付けないF1でも冷却水です。

フロンガスを使用した場合、エバポレータで断熱膨張させることによって冷却、熱交換ですがエンジンブロックをエバポとして使用することは出来ませんし熱交換した空気で冷やすのは空冷エンジンを作るようなもので難しいかと思いますがどうでしょう。
2006年7月25日 9:26
おはです^^

昨夜時点の調査結果で、実現の可能性は限りなくゼロに近いという結論が出ました(T-T)
フロンの冷却媒体としての性能は、熱伝導率○、腐食性○、科学的に安定○、比熱?が解りましたけど、経路内を真空にしなければフロンの蒸気流を音速に近い超高速で移動させる事ができない。
つまり、その蒸気流のスペースを確保するためにもエンジンブロック内部のウォータージャケットをフロン(液体)で満たす訳にはいかない、で、先生のおっしゃる「エンジンブロックをエバポとして使用できない」という事は、フロンによる冷却効果を期待する場合に必要な「蒸気流のスペースを確保」が結果的に冷却ムラを引き起こすため、クーラントの代わりはできないという事と理解しました。

仮に可能だったとしてもボクの技術では冷却経路内を真空にするなんて不可能っス(^^;

しかし、エンジンの最適燃焼温度ですが、95~105度あたりなんですね φ(.. )メモメモ
サーモスタットの開弁が85℃だからと85℃~95℃と思ってました。
ボクのQだけかな?(^^;


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