前回からの続きです AFSとは 1
ライトは使用する側からみれば明るい方が良いのですが、いたずらに照度を上げると幻惑に繋がるため、最大照度なども規程されています。
こうした中で、光軸を変化させるAFSは対向車に幻惑を与えないため、幾つかの保安基準が定められました。
詳しい基準は、道路運送車両 保安基準の細則を見ていただくことにして、大まかには、ハンドルの蛇角に応じて点灯する範囲の制限しています。
ヘッドライトの配光は、元々対向車線側を暗くするよう、明暗の区切り線(エルボー点)が設計されていますが、このエルボー点を変化させるタイプは、移動量の制限、右折待機時・後退時に機能しない、故障時には運転者への告知機能などが決められています。
また、タイプ別に見ていくと、
●Aタイプ:前照灯本体をスイブルし、エルボー点が移動する
(小糸製作所、ハリアー他 で採用され現在のAFSの6割近くを占めるメイン方式であり、新型クラウンもこの方式に変わったようです)
このタイプは前照灯をスイブルさせるため、曲がる方向の照度は増しますが、直前の照度は少なくなるため前照灯を動かさず、専用灯をスイベルさせて照射範囲を拡大するタイプに比べて疲れ易いと言われています。
国産の場合車両の外側に動作しますが、欧州車では左右にスイブルするものもあります。
また、対向車線側を向いたまま故障した場合は、対向車を幻惑するため、垂直傾斜調整機能を使用して下向きにする措置が取られています。
●Bタイプ:前照灯とは別体のAFS専用の灯器をスイブルし、前照灯の照らす範囲の中でポイントを移動させ、エルボー点は変化させない。
●Cタイプ:前照灯とは別体のAFS専用の灯器をスイブルさせるところまではBタイプと同じであるが、この配光はエルボー点を形成しており、エルボー点が移動する。(スタンレー電気、ゼロクラウンタイプ)
B、Cタイプの基本構造は同じであり、配光の範囲が異なると思えばいいのですが、このタイプは専用の光源を持ち、主光源は直進状態のまま点灯するので、Aタイプに比べて直前の光度は確保されて、曲がる方向の照度についても増光させるため、特にCタイプは照射する範囲が拡大するイメージで疲れが少ないと言われています。
また、故障時にも専用光源を消灯させれば良い点でもAタイプよりも単純ですが、専用光源が必要などメリット、デメリットがあります。
●Dタイプ:灯火器内の反射板の一部が可動することにより配光を変える。エルボー点が移動するタイプとしないタイプがあるります。
このタイプはH16年の段階で5%程度であり、現在は減ってAタイプが増加していると思います。
このタイプもエルボー点が変化するものは、故障時の対策として何らかのフェイルセーフを採用する必要があります。
以上のタイプがり、価格面だけを考えればBタイプで、固定の専用灯を付けるのが有利だと考えられます。これは、古くは初代シーマなどウィンカーに連動して斜め方向のライトを付けるものです。
AFSは地味な安全装置で、実際に周りが明るい町中を走っていると、有り難さが分からないですが、街灯も無い夜の峠道などを走っていると非常に有り難い装備です。
数が出て価格がこなれてくれば、いずれは小型車にも搭載されるでしょう。
Posted at 2008/03/26 00:13:37 | |
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