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2005年05月02日 イイね!

超粘弾性オイル(添加剤)とは

岐阜県のレガシィ、インプをターゲットにした某ショップから、超粘弾性オイルが発売になり、話題になっています。

超は付けてみただけ!って感じですが、そろそろネット上でも使用した人のレポートが出てきていますね。

粘弾性と言う言葉が聞き慣れないので、新しい物だと期待している方も多いようですが、これはぜんぜん新しい物でもなんでもありません。

元は、アメリカの企業が特許を持っている物で、愛知の東洋システムが輸入販売している、RESPOと呼ばれる製品のOEMです。

http://www.respo.net/

RESPOのHP↑の、ニューリリース12月30日にZERO SPORTSからOEMで発売されることが書かれていて、内容的には添加剤はRESPO EMDと同等と思います。

オイルも同じくです。

ZORO SPORTSでは、ボクサーエンジン専用と言っていますが、別に前からあるオイルで、取り立てて騒ぐ物では無いと思います。
最初のRESPOが、ポルシェのオイル上がりに効果があったと言う話から、ボクサーエンジン専用なんて話が出てきたと思われます。


だいたい、BE-UPをはじめとする、非ニュートン系と騒いだオイルは、粘弾性オイルのことです!!!


自動車用粘弾性油膜形成剤は、23年も前から添加剤好きには使われてきた物で、いまノッているZERO SPORTSが発売したことで、今まで知らなかったスバルファンを取り込んだと見るのが正しいでしょう。

他にも、東京のZEROと言う会社でも販売しているようですが、商売のうまさで、ZERO SPORTSの勝利と言う感じでしょうか。

オイルが出来るまでで書きましたが、地下深くで出来た原油には、は天然ポリマーと呼ばれる油膜形成物質が含まれており、このポリマーの一つが粘弾性油膜を形成する性質を持っています。


粘弾性とは、流体物理学の言葉で、簡単に言うと粘性(液体の性質)と弾性(固体の性質)を兼ね備えた物で、代表的な物としては、ゴムのトルエン溶液、寒天のゲル、でんぷん糊などがあります。
寒天をお湯に溶いた物や、でんぷん糊だと思えば身近な物に感じるでしょう。

粘弾性の物理的特徴としては、

(1)ワイゼンベルグ効果(Weissenberg Effect)
力のベクトルに対して、垂直方向の力が発生する性質で、摺動部分にオイルが絡みついて、巻き上がるのはこの効果のためです。

(2)バラス効果(Barus Effect)
垂直面に付いたオイルに、重力が働くと、膨れあがる効果。オイルにこの効果があると、油膜が厚くなると考えられる。(が添加剤でオイルがそこまで変わるか調べたことはありません)

(3)トムズ効果(Toms Effect)
流体間の摩擦抵抗が少なくなるという効果。本当ならば、オイルの粘度が下がったような効果が得られるはず。

と言ったものがあります。

それで、効果のほどですが、通常の純正オイルでも油膜切れなんかすることはありませんが、これを添加することによって油膜特性が悪くなることは無さそうです。

ただ、オカルト製品(マグネットなど)を自動車メーカーが何故採用しないか?(これは効果が無いと言うのが大部分ですが)と同じように、石油メジャーは何故採用しないのでしょうか??

いや、使われるところには使われているのですが(適材適所に)、内燃機関のオイルとして使われていない現実を考えると、答えは見えてくるのではないでしょうか。

おそらく、一番の理由は強い油膜保持は魅力ではあるが、長期的に内燃機関に添加した場合・・・特に一般ユーザーの使用を考えると、粘弾性油膜形成剤は高分子ポリマーなので、スラッジの元となりマイナス面の方が大きいとの判断だと思います。

それに、金属面への吸着力ではエステルの添加で、低粘度オイルまで十分エンジン保護が可能と考えてると思われます。

エンジンノイズは、摩擦音ではなく(金属同士が直接摩擦したら即焼き付きますので)、爆発の透過音以外は、タペットを叩く音や、カムの駆動音などなので、油膜が厚くなったり、テフロンでもチタンでも何か挟まれば静かになります。

なので、「エンジン音が小さくなる=摩擦が減る」ではないので、そのあたりに騙されないようにして下さい。

あと、色々な燃費向上グッズは夏前に投入という業界原則があります。
これは、気温が上がると車いじりがし易いということもありますが、空気密度の関係から、エアコンの使用を考えても燃費が向上して、製品による効果と思うためです。

個人的には、コストパフォーマンスが悪いことと、どうしてもスラッジの心配があるので使うことは無いと思います。

現状の高性能オイルを求めるなら、PAOベース+エステルの化学合成オイル(カストロールのシントロンやモービル1RP等)を入れておくのが、普通のオイル+添加剤よりも良いでしょう。
Posted at 2005/05/02 17:26:30 | コメント(3) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2005年04月28日 イイね!

○-DASH イオン・トルマリン系チューンとは

こんにゃくさんの情報によって、○-DASHなるアイテムがあるという事を知り、それほど大きくない黄色い帽子を覗いてみました・・・がありませんでした(^^;

そこで、とりあえずネットで検索してみると、色々と出てきますねぇ!
予想通り、イオン系でトルマリンなどの言葉が説明に出ています。

みんカラ内にも、パーツレビューで引っかかりましたが、効果のほどは・・・みたいです。

他にも、燃費向上グッズ情報でレポートされていますが、60点から80点で、こちらでは、効果を感じている人が多いようです。

こうした、効果を感じる人のレポートに多い言葉として、「エンジンブレーキが効きにくくなりました」というのがありますが、こういう事を書く人ってエンジン構造やエンジンブレーキが何故掛かるかを知っているとは思えません。

何と言っても、100km/h走行時の回転数まで落ちてしまう人がいるのだから、まさにミステリーです!


さて、説明に入る前に、トルマリンについて少し説明しておきましょう。


この製品の説明にもトルマリンと言う言葉が出ています。

トルマリンも某番組で取り上げられた気がしますが、特許を調べると、平成10年から平成13年にかけてトルマリンを用いた○○の特許がちょっと探しただけで80件ほどあります。

トルマリンとは、ご存じのように鉱石の一種で、衝撃を加えると電荷が出ることから、電気石と言われる!くらいのことはまあ、良いのですが、ネットをみるとまあ正しいことが書いてあるものなんてありません。

トルマリンチューンについて書こうと、以前に話の出所を探ったのですが、どうもマイナスイオンの仕掛け人は、東芝の子会社の役員をやっている大学教授で、学会に発表して(もちろんまともな人は、バカなことを言っているくらいにしか思っていませんが)、色々とここに書けない裏の話があって、テレビなどで取り上げてもらって、何も知らない消費者が飛びついたようです。

トルマリングッズ販売のHPでは、トルマリンを砕いて両極間に生じる電位差は100万ボルトに及んだとか、原石のプラス極とマイナス極を結ぶと0.06ミリアンペアの電流が常に計測されたとかありますが、これも某教授が学会に出したものからの抜粋と思われます。

だいたい、100万ボルトってなんでしょう!絶縁破壊距離は何十センチになるのか知らないからこんなバカなこと書けるんでしょうね...


○-DASHの説明も、あまりのオカルトさに笑わせてもらいました(^^)

ネット上の説明
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○-DASHの原理
説明:空気は水などと同様に分子の集合体であり、空気が移動するときには摩擦(抵抗)が生じます。

・摩擦=抵抗と言うのはちょっと違和感がありますが、まあ良いことにしましょう。


説明:エンジンが高回転になるほど吸入抵抗は大きくなり、インテークパイプの内壁には空気が通過しにくい現象(プラスイオンの増加)が発生します。

・エンジンが高回転になるほど吸入抵抗が大きくなると言うのは嘘ですね。エンジンの吸入抵抗の一番大きいところは、スロットルバルブであり、その抵抗によるロスがポンピングロスと呼ばれるもので、アイドリングの時が最大になります。

・また、エンジン設計において、許容回転数での空気の流速を考慮してインテークバルブの太さを決めて、トルクの落ち込みをなくすように、ヘルムホルツ共鳴を計算して、高回転時には慣性吸気を有効利用するための吸気室など綿密に計算されています。

・ただ単に、空気抵抗減らしてパワーが上がるなら、何も計算しないでぶっとい吸気管にすれば済むと言っているようなものですね。

・パイプ内の流速は、川の流れと同じで、内壁に近い部分の流速が遅くなるのでまあそうした現象はありますが、そんなことも考慮した上で必要な直径のものになっています。

・そして、意味もなく現れる「プラスイオン」。どんな記号??どこの分子からどのようにイオン化したプラスイオン???
空気中の酸素は仮にイオンとなるならO2-だし、窒素だって同じだし、二酸化炭素?アルゴン??

・まあ、「雷と同じで、空気の摩擦によって内壁にプラスの電荷が帯電します」ならわからないこともありませんが、それと空気が流れにくい事とは関係しませんから~

説明:このシールは、吸入抵抗となる空気をマイナスイオン化し、効率的にエンジン内へ送り込むことで燃焼効率の向上を可能とします。

・何でも、イオンとか言えば、良さそうに思えて買う人がいるのでしょうか?

・だから、マイナスイオンって何の元素のマイナスイオン???

・そもそも論に戻りますが、プラスイオンに電子が結びつくと元の原子に戻るだけで、そこにさらに電子が結合してマイナスイオンになんてならないことは、中学の化学の時間に習った事です。

・また、燃焼室内に送り込まれた空気の量と、燃焼効率は全く別の話です。

------------------------------------------------------------

こんな説明を書いてる人って・・・orz

排気管に付けるタイプも、イオン化に関しては上と同じ無茶苦茶な事が書いてあります。

繰り返しますが、吸気管や排気管による抵抗を減らしたいなら、なにもシール張らなくても太くすれば済むのに、何故メーカーはやらないか考えましょう。

吸気抵抗を減らしたり、排気管を太くして抜けを良くすれば、低速トルクが無くなるのは良く知られているように、吸入に大切なことは、燃焼室内にいかに空気を送り込むかであって、それは吸気管の抵抗によって決まるものではありません。

排気も同じく、背圧はトルク特性に影響しますし、いまはエンジンの可変バルブタイミングなどもも含めてトータルに設計されているので、抵抗を減らせば良いというものではありません。

試しに、マフラーとか外して爆音をばらまいて走っても、速くなりませんから。


それでも、この商品を買ってみたい方はどうぞ。
Posted at 2005/04/28 21:52:35 | コメント(3) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2005年04月26日 イイね!

ヒューズチューンとは

ヒューズチューンとはカー用品店はほとんど行かないので、最近はどのようなオカルト系グッズが売られているのか知らないのですが、バカ高いヒューズが売られていると言うことで、何でヒューズが高くなるのか?と確認しました。

既に装着しているお友達さん・・・読まない方が良いです(^^;

近くのカー用品店にて発見しました!

商品名:○ヒューズ・・・電気屋から見ると無意味に高いです。

オーディオの世界の訳のわからん電源ケーブルを見た時と同じ衝撃です(笑)

だいたい、ヒューズなんかに理論はありませんから考えるまでも無いのですが、結論を書いてしまうと終わってしまうので、商品の能書きをみていきましょう。

製品特徴には、
------------------------------
1.24Kメッキ端子により、接点の接触抵抗を低減。
2.腐食に対して強く、接点を理想的な状態に保つ。
3.UL規格適合品でヒューズ本来の性能を維持。
------------------------------
と書いてあり、まあまともです。(価格を除いて)

QAには、交換する意味として
------------------------------
ヒューズはバッテリーから近く、電装品に電源を供給する際の関所となっています。本来の目的は電装回路の安全装置です。ショートなどにより、電装品へ過電流を遮断する為のものです。
ただし、長期間そのままにしていると、端子部に腐食が発生し、接触抵抗を増加させ、電圧ロスの原因となります。
------------------------------
と書かれています。

多少日本語が変ですが(^^; まともですね。

長期間(ってどれくらい?)そのままにして、端子部に腐食が発生するなら、その頃に端子を磨くか、安い新品にすれば良いのでは??と思ったりしますが。

今乗っているW202は8年間、この前手放したレガシィは11年間で1度も端子を磨いたことも無いですが、問題はありませんでした。

この商品、ここまでの説明で販売していれば、別にオカルト商品ではなく、ただの値段の高いヒューズなのですが、このヒューズに交換して馬力が上がったと、シャシダイのグラフを付けたがために、オカルト商品に成り下がっています。

説明では、69.1PSが71.2PSとなっていますが、シャシダイは誤差が結構あり、計測するたびに変わるのは、やったことがある人ならわかる事でしょう。

◎結論
ヒューズを替えることによって、性能が上がることはあり得ませんが、金メッキ端子は酸化しにくいので、金額的なデメリット以外は無いと思います。

何かが変わったとしたら、ECUの学習がリセットされたためか、本来の性能に戻っただけで、新車の性能以上にはなりません。

それでも、端子の酸化が気になる人は、コンタクトZで接点を磨けば同等の効果を得ることが出来るでしょう。

冒頭でオーディオの話を思い出したというのは、1mあたり何十万円もする単結晶の無酸素銅ケーブルで、コンセントとアンプなどを繋いでも、その先の家庭への引き込み線は1mあたり20円程度の銅線ですし、家庭内配線も定格15A程度の1.5sqの銅線でコンセントだってしかりですし、その先を高圧線、変電所、送電線・・・と発電機まで辿っても、そんな高級な材料を使っていないので最後の最後の1mだけ良い線を使っても意味がないのと同じだと思ったのです。

それに、電気が良く流れている接点はそれほど酸化しません。車のヒューズは電源の頭ですが、その下はハーネスで結ばれたりして、山のような接点があって、そこはメッキだったり真鍮だったりして、不具合はそちらで起こるものです。

実際の車の再現性の無い故障は、接点の接触不良による物が多いですが、そのうちヒューズで発生している物は少なく、ほとんどがリレー端子・接点だったり、ハーネスのコネクター部です。

害が無いという意味では添加剤よりマシですが、お金は有効に使いましょう(^^)


最後に!
接点を改善させる「○-CONTACT」をおすすめしますとありますが、先のコンタクトZで接点を良く擦って、浮いた粉をティッシュで拭き取れば十分です。
Posted at 2005/04/26 14:58:22 | コメント(5) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2005年04月18日 イイね!

可変バルブタイミングとは

可変バルブタイミングとはこれも、自動車メーカーによって色々と呼び方がありますが、VVT(Variable Vaive Timing)と言われる、可変バルブタイミング機構は、1982年にアルファロメオが最初に付けて以来、今では付いていないエンジンの方が少ないくらい普及しました。

多くの場合は、吸気側のみに付いていますが、吸気・排気バルブともコントロールするエンジンも徐々に増えつつあります。

あくまで、バルブタイミングの位相制御なので、バルブを早く開けば閉じるのも早くなりますし、遅く開くようにすれば閉じるのも遅くなります。(ここ注意点です)

また、リフト量はホンダのVTECやポルシェのバリオカム、レガシィで採用する可変バルブリフト機構によることになります。3次元カムを採用すれば、バルブタイミング、リフト量を制御できるし、そうした特許は既に取られていますが、まだ量産エンジンでは採用されていません。


コントロール巾は、吸気側で約±25度連続、排気側で約±15度連続なので、うまく制御すれば擬似的にミラーサイクルらしきことを行えますが、そうした使い方をせず、回転数や負荷状況により細かく制御して、燃費向上(ポンピングロスの低減)やトルク向上(慣性吸気の有効利用)、排ガス浄化(燃焼効率向上)に役立てています。


--------- 機構 ----------

カム軸を回すスプロケットとカム軸の間に位相を変化させる機構を組み込み、油圧により双方の位相関係を変えて、バルブの開閉時期を早くしたり遅くしたりします。

まだ使用している車もありますが、第1世代の機構は、油圧でプランジャーを動かして、その外側に螺旋状に凸を作り、それにかみ合うスプライン(凹溝)を回して位相を変えていました。

最近のものは、スプロケットを内外二重構造にして、内側、外側からそれぞれベーンを出し、それぞれのベーンに挟まれた扇形の空間に、油圧を掛けたり抜いたりして位相を変えています。


--------- 問題点 ----------

回転する部分に油圧を送り込むため、漏油しないようにシールが必要で、機構が複雑になります。また、油圧パワステと同じで、制御弁もミクロン単位の高い加工精度を求められるため、コストアップに繋がります。

他にも、油を使うと、粘度などが温度によって左右されることや、エンジンを始動時には油圧が掛からないため、始動時には低速時の位相に戻っていなければならなく、このために強いリターンスプリングを使って戻るようにしてあります。

そのため、油圧系は、低速時の位相以外でバルブタイミングを変化させるためには、このスプリングに以上の力を常に出す必要があり、油圧ポンプの負担になり燃費の悪化に繋がります。

また、油圧で動かすため位相を大きく変化させるためには、1秒程度の時間が必要となり、急なアクセル操作には瞬間的に追従できないと言う問題もあります。

ただし、運転する際には大きな問題とならないので、各社とも油圧を用いていますが、何故か日産が以前からこだわりを持っていて、97年のローレルから、3方弁を用いて20%反応を速くしたのに続いて、2001年のスカイラインでは、ソレノイドを採用して、高速な変化を可能としています。


--------- 動作モード ----------
・説明中の「早い」「遅い」は、上死点、下死点での開閉を基本として、それに対する動作とします。
・通常の動作は、カムによって駆動されるため上死点、下死点においてオーバーラップする時間があります。
・先の説明にあるように、開タイミングを遅く(早く)すると閉タイミングも遅く(早く)なります。

1.アイドリング域
・吸気側を遅らせてオーバーラップを減らして、吸気側への燃焼ガスの吹き返しをなくし、アイドリングを安定させて燃費向上を図る。

2.中負荷域(発進加速)
・吸気側を早く開き、オーバーラップを大きくして、わざと吸気側に排気ガスを流入させることにより、燃焼温度を下げてNOxの低減、炭化水素を再吸入して排出HCの低減を図る。
さらに、吸気管の負圧を緩和することにより、吸入時のポンピングロスを低減して、燃費向上と排ガス清浄を図る。

3.軽負荷域(定速走行)
・吸気側を遅らせてオーバーラップを減らして、吸気側への燃焼ガスの吹き返しをなくし、エンジン回転数の安定を図る。

4.中低回転・高負荷域(停止からのフル加速・登坂)
・吸気バルブの閉じタイミングを早くして、吸気が沢山入った段階でバルブを閉じる。
・排気バルブが開くのを遅くして、爆発力を有効に使いトルクを向上させ、エンジン回転を安定させる。

5.高回転・高負荷域(高速走行・追い越し加速)
・高回転域では流速が早くなり、ピストンが上がり初めても慣性吸気が行われるので、吸気バルブの閉じタイミングを遅くして、充填率を高め出力向上を図る。
・排気バルブを早く開き、排気ガス圧を早く抜き、ピストンが下死点から上昇しやすくする。

-------------

これに、バルブリフト制御が加わると、低回転時はスワールを作るようにしたり、さらに複雑になってきます。

以前は、アクセルペダルはスロットルバルブを開閉して、ECUはエアフローメータから燃料を算出してインジェクターに指令を出して・・・と単純だったため、ROM書き換えによるチューンが簡単でしたが、今のエンジンは、エアフローメータだけでなく、アクセル操作や各種情報が電気信号でECUに取り込まれて、スロットルバルブ、バルブタイミング、可変インテークマニホールドなど多くの部分を制御するので、お手軽に燃調マップを書き換えて・・・とやることが難しくなってしまいましたね。

一部で売られている、ECUは、ブースト圧と燃調くらいしか調整されていないと思いますが、どこまでやっているのか興味はありますね。
Posted at 2005/04/18 17:13:53 | コメント(1) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2005年04月14日 イイね!

ミラーサイクルエンジンとは

ミラーサイクルエンジンとはブラジャーのカップの謎で息抜きをしたので、また少し専門的な話なんぞを書いてみます(^^;

ミラーサイクルが実現されると騒がれたのは、既に10年以上前の1993年、マツダのユーノス800の発売でした。

このユーノス800は、2.5L を 2.3L に縮小したにも関わらず、220ps と 30kg のトルクを出し、デザインも素晴らしかった事から、北米ではBMW325を抑えて人気投票の一位に輝きました。


これは、石川島播磨重工と共同開発した、全域2kg/cm^2の加給圧を実現したリショルムコンプレッサーを搭載して、2254ccのV6エンジンで圧縮比7.6、膨張比10.0において、最高出力162kW/5500rpm、最大トルク294Nm/3500rpmを発揮しました。

しかし、スロットルバルブが残ったためポンピングロスが低減できず、過給圧制御もプレッシャーリリーフバルブを使うなど、中途半端なエンジンと言わざるを得ないものでしたが、それでも自動車史の1ページに残る画期的な成果でした。


今では、名前も聞かなくなり消えてしまったと思っている人もいるようですが、プリウスやエスティマハイブリットなどもアトキンソンサイクルと言っていますが、実際はミラーサイクルですし、BMWのバルブトロニックも遅閉じミラーサイクルによって燃費を稼いでいると言えます。


そもそもミラーサイクルとは何か?と言う話ですが、一言で言えば「圧縮比よりも膨張比を大きくしたエンジン」です。


ミラーサイクルエンジンの原型は、英国ジェームズ・アトキンソン(James Atokinson)が提唱した熱サイクルで、圧縮行程よりも膨張行程を長くしたものです。

これを実現するエンジンは、圧縮と膨張のストロークを変化させるために、複雑な機構を持ち、高速回転化による高出力が難しかったので、次第に忘れ去られました。

この後、北米ノルドバーグで天然ガス技術者をしていた、ミラー(R.H.Miller)が、発電負荷の急変に対応する出力調整機構として、吸気バルブ閉じ時期可変式を思いつきました。

この、吸気バルブの開閉時期を調整することが、熱効率向上に効果的なアトキンソンサイクルを、簡便な構造で実現する方法だったのです。


この吸気バルブの開閉タイミングを調整するシステム(ミラーサイクル)として、ミラーエンジンとして知られるようになりました。
正確には、アトキンソンサイクルミラーシステムエンジンと言いますが、長ったらしいので略してミラーサイクルと呼ばれています。


ミラーサイクルエンジンは、ピストンが下死点から少し圧縮行程に入った時に吸気バルブを閉じる遅閉じミラーサイクルと、吸気行程で下死点に達する前に吸気バルブを閉じる早閉じミラーサイクルがありますが、遅閉じミラーサイクルが一般的です。


VVTと言われるような、可変バルブタイミング機構でも、吸気弁を下死点や上死点から遅れた所で閉じていますが、これは慣性吸気を有効に利用するためや、高速回転化のためで、基本は下死点で閉じて排気量一杯に吸入することで、ミラーサイクルに比べて小さなズレです。


このミラーサイクルエンジンは、熱効率が高く、エネルギーを有効に使えるという特徴を持っている反面、吸入する空気が少なくなるのと、一度吸い込んだ空気を吸気管側に吐き戻すので、新気の温度上昇が避けられず、高出力が得にくいという欠点を持っています。

そのため、ミラーサイクルエンジンの多くは過給機(ターボチャージャーやリショルムコンプレッサー)と組合わせて使用されます。


マツダで採用した物は、冒頭に書いたように、I.H.I製の高性能リショルムコンプレッサと組み合わされ、その凄い加給圧のため、RX-7 で採用したボンネット上のインタークーラーへのエアスクープは全然役立たず、ラジエーターやクーラーコンデンサーと並べて、左右のエアインテークにインタークーラー配置しなければ、ノッキングが抑えられないほどのものでした。


トヨタは、相変わらずちゃっかりと美味しいところを持って行ったわけですが、ミラーサイクルと言うのを嫌い、アトキンソンサイクルと言っていますが、やっている事はミラーサイクルです。

プリウスでは、発進、加速時のトルクをエンジンよりも電動モータに負わせることで、トルクの弱い過給器無しのミラーサイクルエンジンを上手く実用化しています。


他に、BMWのバルブトロニックエンジンが、スロットルバルブを廃止することによる、ポンピングロスの低減で効率が上がっていると説明していますが、バルブトロニックのバルブリフトの制御はそれほど精密に制御できておらず、遅閉じミラーサイクルにして燃費を稼いでいると私は思っています。

と言うことは、バルブトロニックではスロットルバルブが無いので、ここにI.H.Iからリショルムコンプレッサーを買って、上手く制御すればかなり効率の良いエンジンを作れるはずなんですが、どうなんでしょうかね(^^)
Posted at 2005/04/14 18:05:07 | コメント(2) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ

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