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2005年01月18日 イイね!

オイル添加剤とは その2

オイル添加剤の続きですが、結論としては添加剤を入れないで良いオイルを入れましょう!と書くと身も蓋も無いので、一つずつ考えてみたいと思います。

前回添加剤は大きく分けると、粘度を向上させる物と摩擦係数を低減させるタイプの2種類で、さらに摩擦を低減させるタイプには、添加剤の成分によってテフロン系、塩素系炭化水素、モリブデン系の3つの種類が主な物だと書きました。

-----粘度を上げるタイプ-----

オイルの性能が今ほど良くなかった時、高負荷高回転で油膜切れを防ぐには、高熱下でも厚い油膜を保持する粘度の高い物を用いるというのが一般的な考えでした。
その頃からある元祖と言うか正統派タイプですが、この方向性の製品は現在はあまり見かけなくなりました。

要するにそれだけオイルの性能が向上したってことでしょうか。営業車って結構ハードに使われるし、高速でもぶっ飛んでいくのを見かけますが、オイルが原因で焼き付いたなんて聞いたこと無いし、あの程度のオイル管理で10万km以上元気に走る物です。

このタイプの添加剤の成分はポリイソブチレンやエステルポリマーなどで、通常のオイルにもブレンドされています。

油膜が厚くなるので、ピストンリングの減った旧車に使用すると効果があるかもしれませんが、最近の車のエンジンに用いるメリットは無いと思います。デメリットは回転が重く燃費が悪くなる、スラッジの元になるといったことでしょうか。

多くの添加剤がそうですが、劣化するとスラッジの元になるので、なるべく素性の良いベースオイルに不要な添加剤は少なくと言うのが高級オイルの考え方です。

添加剤を理解するには、その化学的特性だけでなく、流体潤滑、境界潤滑、極圧潤滑、固体潤滑を正しく理解し、エンジン内部でオイルはどのように働いているかを把握している必要があるが、それぞれが大学の講義になるような本であるため、全ての面から評価したものは無いと思われます。

ティムケンテストなど分かり易い極圧試験は出来ますが、燃焼熱に曝されたときの化学的変化とか、エンジンのどの部分にメタル軸受けが使われて、どこがベアリングでどのような潤滑状態であるか、場所によっては油膜の維持と摩擦の低減という相反する条件が厳しい場合、適当な添加剤を入れると、どちらかのバランスを崩すことになりかねません。

-----テフロン(PTFE)系添加剤-----

これは色々な情報がネット上にあり、みなさん聞きかじった話で発信したり嘘も真も入り乱れています。特にマイクロロンと言う有名品があり、レーシングカーデザイナーも広告に一役買っているので値段の高さと相まって効きそうな雰囲気を醸しています。

また、テフロンというと新しいような気がしますが、アメリカで車のオイル添加剤として商品化されたのは30年以上前の1970年頃になります。その約10年後になり、テフロンの販売元であるデュポン社はオイル添加剤に適さないと発表しています。

添加剤の議論が持ち上がると良く引き合いに出されます、オイル添加剤の真実↓

http://www.mercedesbenz-net.com/trouble/tenkazai/index.html

ご存知の方も多いと思いますが、はじめての方はどう思われるでしょう。

比較的真実を表していると思いますが、中にNASAで独自調査・・・みたいな表現がありますが、私はそうした記録は見つけることが出来ませんでした。
NASAが車のオイルの試験をやるとは思えないので、もしかしたらロケットで使用する軸受けなどの潤滑剤として試験をしたのかもしれませんが、真相をご存知の方がみえたら教えてください。

で、開発元のデュポン社はどうなっているかというと、テフロンの説明のあるHP↓

http://www.teflon.com/Teflon/consumer/ap/jpn/home_page.html

で自動車関係と言うところをみると、英文ページに飛びますが、ワイパーブレード、オイルフィルター、ボディやシートのコートが紹介されているだけでエンジンオイルと言う言葉は出てきません。

メーカーもテフロン分子は柔らかいので極圧のかかる部分では有効ではないと過去に発表していますので、現在販売されているオイル添加剤(デュポンが添加剤に対してテフロンと言う登録商標の使用を禁じたためPTFEと表現されている物)は害はあっても効果は無いと考えられます。

その1で書いたように、溶剤がオイル粘度を下げるため吹けが良くなることと、テフロン粒子が柔らかくショックを吸収するため音が静かになることから、効果があると信じている根強い信者がいるように思います。

ただ、デュポンのHPをよく見ていると、フッ化系添加物で登録商標名がZonyl(ゾニール??)と言う粒子があり、その中で内燃機関のオイルに添加するみたいな説明があります。

↓のOILと言う部分。

http://www.dupont.com/teflon/fluoroadditives/applications/lubricants.html

デュポン社では、テフロンはエンジンオイルの添加剤に適さないと発表した後もテフロン粒子の研究を進めていて、約10年後の1991年にフッ化系添加物はオイル添加剤として優れていると言う発表をしており、それがこのZonylというテフロン粒子と思われます。

しかしこの翌年92年、米国のロードライダーマガジンと言う雑誌で、Snake Oilと言うタイトルで、テフロン系添加剤をバッシングする記事が発表されて、幾つかの製品は訴訟などもおこり事実上米国内での販売が出来なくなりました。
これは、化学合成オイルメーカーが仕組んだものだとか黒い噂がありますが真相はわかりません。

Snake Oil の記事↓

http://www.vtr.org/maintain/oil-additives.html

Zonylの話に戻りますが、説明の中で内燃機関で使用するには化学的、温度的安定度が重要であり、MP110という製品が粒子が小さく液体では安定したコロイド状態で化学的に安定した物だと書かれていますが、製品検索で「潤滑」「オイル、グリス」に使用できる物を検索しても適合する物が出てこないなど良くわからない部分があります。

オイル添加剤の真実の中にも書かれていますが、米国ではメーカーが正式に使用禁止を呼びかけているのに、日本では同一メーカーの車を扱うヤナセや他のディーラーで販売するなどおかしな点があります。

穿った見方をすると、使用した事による故障の確率と利益を比べると利益が大きいとか、日本人は簡単に訴訟を起こさないから大丈夫とディーラーが考えているのかと思ってしまいます。

効果のほどは、エンジンオイルと添加剤のHP↓

http://web.kyoto-inet.or.jp/people/macchann/hiroshi/f4c2.html

でも、言われているほど摩擦の低減にならないとあります。
同HP中に問題点など書かれており、NASAのルーウ”ィス研究所による見解などネット上では良く見かけるものなのですが、NASAにはそのような研究所は無いですし、似た名前でルイス研究所と言うのがありますが、テフロン系添加剤に関する研究を行った実績は見つけることが出来ませんでした。

テフロン系添加剤の裏には、色々と政治的な匂いもして調べれば本1冊には十分なりそうです。

だらだらと書きましたが、シリンダーにはわざわざクロスハッチを付けて油膜を維持して流体潤滑を行っているのに、金属表面の溝を埋めるとか、そもそもテフロンは後から金属面に定着などしないので、コーティング膜が出来てコールドスタートが防げるなどと書いてある製品は信用出来ません。

また、クランクシャフトのメタルや、カムが高負荷時に流体潤滑から境界潤滑になることが知られていますが、この点を考えると効果の認められる化学合成油が安心ですし、純正のオイルならそうした高負荷時でも保護出来る事を確認しています。

レガシィや高級車はクランクシャフトはベアリングで支持したり、カムなども最近は窒化チタンコーティングを施して摩擦抵抗を下げるなど、添加剤よりも優れた材料が使われています。

細かいとは言え固体物質をエンジンに入れるのは抵抗がありますから、テフロンはフライパンやワイパーゴム、マウスの裏に付けて滑りを良くするのが一番良使い方だと思います。
くれぐれも、ハンズなどでテフロン粉末を購入してエンジンに入れることの無いようにとしかアドバイス出来ません。

元気があったらつづく
Posted at 2005/01/18 14:43:50 | コメント(0) | トラックバック(2) | 技術解説 | クルマ

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