2005年03月10日
リアがマルチリンク式サスペンションになった3代目以降のレガシィを多少振り回してみると、ワンダリングなど横方向の力が掛かった場合の落ち着きのないリアの振動や、旋回時に想定よりも切れ込む「そぶり」が確認できる。
これは、縦方向だけでなく横方向の力に対してトーが変化していると想像出来る。
サスを覗き込んでみると、一番大きなロワアームは後方に位置しており、一番前方にスラストアーム、その後方少し上にスプリングストラット、一番高いところにキャンバストラットが伸びており、タイロッドはドライブシャフトと平行に細い物が付いている。
何事でもそうだから、やり過ぎも良くなくように、全ての取り付け剛性を上げれば良いという物ではなく、ある程度の不感帯と乗り心地を確保するために、スプリングストラットとスラストアームは変心を持たせて、タイロッドはたわむ事を許容している。
ここから考えられる結論は、路面との接地点において外側への力(コーナーイン側のタイヤ)がかかると、ロワアーム一人が踏ん張り、スプリングストラットとスラストアームは変心をにより縮み、タイロッドも前後方向にたわむことによって、フロントに対して逆相のトーインに動くのではないだろうか?(+サスのバンプによるトー変化)
同様に反対側のタイヤは、路面との接地点において内側への力(コーナーアウト側のタイヤ)がかかると、ロワアーム、キャンバーストラットが踏ん張り、スプリングストラットとスラストアームは変心をにより伸び、タイロッドは引っ張り方向の力には強いので頑張るためこちらはアライメントが変化しないのではないだろうか?(+リバンプによるトー変化でちょっとトーイン)
そうすると、轍やかまぼこ状の路面に入った際に進路は乱れないが気持ち悪さが残る挙動や、コーナー中にもう少し切れ込もうとするようなリアの動きが説明出来る。
一般的に言って、トーアウトにすると安定性が悪くなるため、パッシブステアさせるなどの思想が無ければ、トーアウトになるようには設計しない。一方で、トーインになると安定するという頭があるので、マルチリンクを使い始めた経験の無い設計者はこの罠に陥りやすいのではないだろうか?
マルチリンクは、車体側とハブ側の取り付け点によって特性が変わってしまうので難しいし、年改で見直すには大きすぎるので次のプラットフォーム変更まで待つことになると思うがそれまでに修正してくれると嬉しい。
私としては、リアは横方向の加重にはしっかりと剛性を出してシンプルにして、バンプ、リバンプのみトーインになればいい。
Posted at 2005/03/10 23:13:02 | |
トラックバック(0) |
技術解説 | クルマ