
スタビの働きについては過去のブログで書いてきましたが、可変スタビライザーを採用する例も増えてきました。
可変スタビライザーとは、ボディコントロールの一種で、ステアリング角、横Gセンサー等の情報を元に、スタビの効き具合を変化させて、乗り心地と安定性の両立を図ろうとする技術です。
スタビライザーを制御する方式は、ダンパーを制御する物に比べて機構がシンプルで、それなりに効果が高いため何社かで使われはじめています。
ダンパーの制御をしているのは、トヨタのTEMSとかベンツのABCなどが良く知られていると思います。
TEMSは減衰力を変えるわけですが、ABCではActive Body Controlというだけあって、4輪のダンパーの付け根に油圧で車高をコントロールできるようになっており、カーブに合わせてサスを押し出してボディーをフラットに保つように制御しています。
この効果はすごく、2560mmと言うクラウンなどに比べて30cm程も短いホイールベースでありながら、ボディのフラット感は別次元で心地も素晴らしく感じます。
一方で、可変スタビで有名なのはBMWで、油圧により捻ってやることにより、ロールをコントロールしたりする方法を採用しています。
レクサスGSがオプション設定したものは、電動モータによってスタビを捻ってやるタイプで、今は高いオプションですが、将来的に安価になって普及する可能性のあるものです。
これは、フロントで10度、リアで15度ほど捻りを加えることが出来るようです。
何故電動にしたかについて、トヨタでは油圧では常に圧油を付くってリリーフバルブから逃がしてやらなければならないため、エンジン動力を食ってしまうが、電動にすることによって1.2%程度の燃費改善になるという非常にトヨタらしい発想です。
機構は非常にシンプルに出来ており、力を出すための減速機構もハーモニックドライブと言う方法が使われています。
400歯の内接するフレキシブルギアを弾性変形させながら、外接する402歯のギア回転させて、1回転で2歯ずれる=減速比 200:1と言う機構で、10度捻るためにはモータで5.6回転回転させればいいというシンプルな構造のものです。
図がないと理解しにくいですねぇ(^^;
雑誌とかでは効果のほどが絶賛されていますが、私自身はまだこの仕様のものに試乗していないので何とも言えないです。
この方法は一見素晴らしそうですが、疑問に思う部分は、通常は乗り心地の確保のためにスタビはフリーの状態にしておいて、必要時に捻って制御すると言う方法だが、これはどうなのだろうか?
BMW等他のスタビ制御はイニシャルでスタビは連結状態で、必要に応じて緩める方向の制御のはずだが、レクサスの場合イニシャルでフリーでステアリングの角度、横G等によってスタビの力を立ち上げると雑誌では解説しています。
逆の方が良さそうに思うのだが、モータなので反応速度が速く問題無いのか、VDIMに組み込まれて、VGRS(可変ギア比ステアリング)等と協調して制御されるため違和感を感じないのか、安くなって普及すると面白いシステムですね。
Posted at 2005/11/03 22:32:54 | |
トラックバック(0) |
技術解説 | クルマ