
車の運動エネルギーを熱エネルギーに変換して、停止させる重要な装置がブレーキである。
一般的には、円盤をギュウ~っとつかんで止める。
熱にするのは勿体ないので、そのうち、ハイブリッド車みたいに運動エネルギーも電気エネルギーとして回生させるようになるのだろう。
これがどれほどのエネルギーかちょっと考えてみよう。
走っている車は、(mv^2)/2の運動エネルギーを持っているので、例えば時速100kmで走行している1500kgの車は、実に579,630Jのエネルギーを持っていることになる。
これに対してブレーキは、直径260mm、暑さ8mmのソリッドディスクと仮定すると、1枚あたりの体積は大雑把に425cm^3なので、重量3.35kg(4輪で13.4kg)となる。
しかし、ブレーキング時は短時間で温度上昇するので、ハブやキャリパーに熱伝導で逃げる分を無視して、ハブ直径として120mmを引くと334cm^3で2.63kg(4輪で10.52kg)となる。
このディスクの温度上昇は、比熱を0.451J/gkとすると122℃(事前を40℃とすると162℃)にもなる。
さらに、運動エネルギーは速度の2乗に比例するので、200km/hからフルブレーキをした場合は、ディスクの温度は、2倍ではなく4倍の488℃まで上昇することになり、いかにプアなブレーキの車でスピードを出すことが怖いかが分かる。
スピードを出すような車は、ディスクを大きくしたり、冷えるように2枚の円盤の間に空気が流れるようにしたり、フロントから走行風を導入したりする工夫が図られているため、そこまでの極端な温度上昇は無いが150km/hくらいから2回もフルブレーキをすればパッドから煙が出るくらいの温度にはなる。
よく、国産車と欧州車はブレーキが違うと言うが、100km/hの法定速度と180km/hのリミッターの国で作られた車と、エンジン性能の限り速度を出して良い法律のもとで作られた車のブレーキが違うのは当たり前のことである。
しかし、部品メーカーの統合もあり、BMW3などと同じテーベス社の同じブレーキが、何気なく国産車にも付いているし、全般的に国産車のブレーキも急速に進歩したと思う。
クラウンですら、サーキット走行でもしなければそこそこ安心して飛ばせるくらいのブレーキは持っているのだから。
Posted at 2008/06/21 02:02:13 | |
トラックバック(0) |
車関連雑記 | クルマ