
LEGACY B4 3.0R specBのサスペンション、タイヤ、ブレーキ、AWD、VDCなどのシャーシ性能について思い入れたっぷりでインプレッションします。
BLE3.0RspecBのサスペンションはspecBと名乗るだけあり適度に快適な乗り心地を維持したままスポーティーな走りにも耐える足回りだと思います。確かにspecBのサスは道路の目地や細かいうねりに反応して乗り心地が悪いと感じる人も多いかもしれません。都内渋滞路の低速巡航では特に顕著に感じますし、ましてやMT車ですからクラッチワークにも注意を払わなければなりません。しかしこの程度のごつごつ感やロードノイズが伝わるフィールもコンペベースの車に多く乗ってきた僕にはあまり気になりませんでした。この乗り心地は18inchホイールと扁平タイヤの影響もあるかもしれません。ホイールの大径化は販売上の理由やルックスの重視のためという意見もありますが、コーナリング時のハンドリングのレスポンスも向上しますし、タイヤ径が大きくなるわけですから直進性も増すというメリットもあると思います。この車の一番の得意とするところはコーナリング性能であり、ハイスピードクルージング時の絶対的な安心感なのですから。
中低速のコーナリングではサスペンションが適度に沈みこみロールは大きいのですがタイヤはポテンザRE050Sの貢献もあって相当にグリップします。ちなみにポテンザRE050Sの215/45-18はレガシィ専用設計ということでBSのタイヤカタログのラインナップにありませんが、これから発売されるのかとても不安です。
話を戻しますが、コーナリング時、ロールもある程度のところで止まるのですが、切り返しの多いS字コーナーの連続のような状況ではロールが戻りきらないうちに次のコーナーがせまってくるようです。そのような状況でのステアリングレスポンスは足が固い車にはかないません。でも限界以下の適度なコーナリングスピードの領域では気持ちよく走ることができます。2速主体の低速コーナーを攻め込んでいくとタイヤが鳴き出しリアデフのビスカスLSDが仕事をしだすかどうかのときにVDCが介入してエンジンパワーを絞ります。そのときに各4輪にも個別にブレーキ制御がなされているのでしょう。VDCスイッチをOFFにして同じように走ると軽くリアが流れ出すと同時にフロントにもトルクが伝わり何事もなくコーナーをクリアしていきます。もともとシャーシがうまく出来ているので、よほどのことがなければ破綻するようなことはなく、AWDシステムがあってこそのレガシィのコーナリングといえるでしょう。よって時と場合によってはVDCをOFFにしたほうがうまくドライビングできる人も多いのではと思います。
また、レガシィのパワーステアリングは軽いといわれていますが、タイヤからのロードインフォメーションも的確にステアリングに伝えてくれるのでこの軽さはむしろドライバーのマインドをクールにするためにいいのではと思います。もっともインプレッサなどと比較するとタイヤ幅も違いますし要求されるコーナリングスピードも違いますが、この手の中型セダンのなかでは抜群のコーナリング性能でしょう。つまりそこそこハードなコーナリングもこなせ速く走った気持ちにさせてくれるハンドリングとでも表現しましょうか。
そしてこの車の足回りのもうひとつの特徴がハイスピード時の絶対的な安心感です。ハイスピードとは御想像にお任せしますが、そんなときでもまったく破綻しないサスペンションなのです。ハイスピード域では路面のうねりや高速のほんのわずかな目地段差が大きなストレスになりますが、それがボディーに伝わる前にサスペンションがストロークしていなしてくれます。この力をいなすようなセッティングをもった国産車は非常に少ないです。サスペンションを固めたりローダウンさせすぎた車というのはストロークが不足したり、力をいなすことができないので、たとえよりハイスピードで走れたとしてもその時の疲労感や緊張感は増幅してしまいます。またAWDシステムによってウェット時のハイスピードの安心感は、FFでもFRでも2WD車がかなうはずもありません。
VDCの話になりますが、タイヤの溝が十分にある状態であれば轍の水溜りも問題ありません。実際に高速での相当深い水溜りに遭遇して一瞬ハイドロのようにステアリングフィールが希薄になりましたがすぐにVDCが作動し、なにごともなかったように直進していきました。また、都内で雪が降った翌日、右側車輪のみ凍結で左は舗装路といった状況で大きくアクセルを踏み込みましたが少々リアが出たと思ったとたんにVDCが効きやはり何事もなく通過しました。このVDCはぜひともお勧めのメーカーオプションです。値段以上の効果があり、どんな状況でも車を安定方向に立て直してくれます。また、VDCの作動がとてもマイルドに効くことに驚いています。ポルシェ996に同様のシステムPSMが装備されています。車自体の限界の違いはありますがPSMは唐突に効き一気にパワーがダウンします。3.0RspecBが3年以上後発でMT用のVDCを搭載してきたはこの辺の研究に時間がかかったためかも知れません。
そしてブレーキの性能に関してですが、僕はけっこうブレーキを残したままコーナーに侵入するのですが、そんなときでもブレーキの強弱が微妙にコントロールできるブレーキです。フロントは以前からある2ポッドの片持ちキャリパーで熟成されているのでしょう。びっくりしたのはブレーキ性能はそこそこ上がっているのに今までのスバル車では考えられないのですがブレーキダストがほとんどでないことです。一部でサーキットなどでハードブレーキを繰り返すとジャダーが起きやすいとのことですがB型になりローターも改善されているようです。僕にとってはブレーキの制動性能に不満はありません。ただブレーキの剛性感はこのセグメントの欧州車はさらに研究されていて常時のハイスピードからのブレーキング時の安心感はレガシィの今後の課題でしょう。ブレーキタッチなどはなかなかすぐに追いつけるものではないのですね。またブレンボのような対抗4ポッドのブレーキシステムはバネ下重量の増加にもつながるのでレガシィには必要なしで正解だと思います。
長々書きましたので、まとめますが適度な乗り心地と、相当のコーナリング性能、圧倒的な高速安定性をあわせ持ったサスペンションを装備したのがLEGACY B4 3.0R specBといえるのではないでしょうか。車の性格からして大人っぽいのではと想像していましたが、相当スポーティーでゆっくりと走るような人にはまったく向かないようです。積極的にエンジンを回してサスをストロークすることができる人にとってはとてもコントローラブルだし、そのキャラクターが3.0NA FLAT6にあっていると思います。当然この車を購入し所有しているわけですから思い入れが深いことを御理解して欲しいのですが、このシャーシ性能、ブレーキ性能、サスペンション性能はグレードの差で多少の優劣やフィーリングの違いはあると思いますがBL/BPレガシィに共通するものと思っています。そしてこのサスペンションとAWDシステムがあることでレガシィのグランツーリスモ性能を高め、国産車でも走りのウェイトの大きなマニアックな車にしているのでしょう。
Posted at 2005/01/21 22:41:31 |
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