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U-TAN(う~たん)のブログ一覧

2019年11月06日 イイね!

秋の徘徊「寸又峡周遊」第3日



第3日 山犬段の朝、朝陽が紅葉に火をつける。


6時半 ゆっくりと小屋の清掃を行ってから場違いな工事用車道を歩きだす。


車道を離れ稜線伝いに登る。
振り向くと昨日の最終ピーク「蕎麦粒山」が、色鮮やかだ。
その向こうには、辿って来た「三合山」から「鋸山」への稜線が続く。


その先、忽然と巨大な崩落防止工事の現場が現われる。
先ほど歩いた林道は、この工事の為に川根本町から続いていた道。


このピークは「八丁の段」と呼ばれ、その山腹は徐々に崩壊しつつある。
この崩れは「ホーキ薙」と言い、大井川支流「榛原川」の源頭にあたる。
「治山治水」の為の工事と言うことは理解できるが、そもそも地質的に浸食が
すすみつつあるこの山域で長期的にみた場合、こうした「治山」など意味を持つ
のだろうか?と思わざるを得ない光景だ。


今日は、寸又川支流の「大間川」を挟んで対岸に2日間の縦走ルートを眺めつつ歩く。
時折、梢の合間から「前黒法師岳」が顔をのぞかせる。


小さな登り下りを繰り返していくと、今日最高の展望台「天水」が見えてくる。


ここが「天水」1521m。
「大間川」を隔てて何ら遮る物なく、今回の山旅で通った山々を一望できる場所。


言わずと知れた富士山、そして懐かしい「大無限山塊」。


「大無限山塊」に続き、中央に南アルプス主稜、左が最初のピーク「前黒法師岳」。


「前黒法師岳」に続き、中央は「丸盆岳」、そして今回の最高峰「黒法師岳」、
一昨日の宿泊地「黒バラ平」を挟んで左に「バラ谷の頭」。


「黒法師岳」、「バラ谷の頭」に続き、中央やや左に「房小山」、左端梢越しに
「鋸山」、「千石原」。
2日間歩いた稜線を最終日にゆったりと心ゆくまで眺めながら帰るという贅沢な
山旅の
ハイライトだ。

しかし、この素晴らしい光景の山腹を横に切り裂く1本の線。
これがいまや崩壊の巣と化した「南赤石林道」だ。
観光開発が目的だったのか?詳しくは知らないが少なくとも林業の必要性は
無かったはず。
南アルプスでも「治山治水」の必要性を訴え「ホーキ薙」のように大がかりな
工事が行われる一方で、この林道のように維持保全が困難で手に負えず放置
されて新たな災害の元凶となっているケースも少なくない。
自然に対する人間の所業に割り切れぬ思いを抱きつつ山頂を後にした。

最後に、これも寸又三山のひとつ「沢口山」1424mに立ち寄り


12時30分 標高差900mを駆け降りて寸又温泉登山口。


一番近い蕎麦屋で、山葵蕎麦+新蒟蒻。

これで計画通りに素晴らしい山旅を終えた。
後は、温泉に浸かって疲れを癒し・・・と思ったら大事件。
最近、カードばかりであまり現金を持ち歩かない。
はっと気が付いたら、持ち合わせは3千円。
蕎麦800円、蒟蒻400円の食事を済ませたら残金1800円。
これから3日分の駐車料金1500円を払うと残りは300円。
「あ~!!温泉に入れないぞ!蒟蒻を食べなけりゃ良かった。」と思っても
後の祭り。
とぼとぼと駐車場まで歩き、係員のおじさんに3日分だと1500円を渡す。
すると、おじさん。
「そんなに正直に言ってくる人も少ないんだよ、ハイ、どうぞ」と5百円玉を
返してくれた。
にっこにこの顔で「ありがとう!お金なかったんでこれで温泉に入れます♪」と
言うと半分呆れた顔で「そりゃ~よかった、ゆっくり入っておいで。」

馴染みの温泉宿でゆっくりと山の汗を流し、楽しい旅を気持ち良く完結する
ことが出来た。



Posted at 2019/11/09 16:19:42 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2019年11月05日 イイね!

「秋の徘徊「寸又峡周遊」第2日



5日 夜明け
「前黒法師岳」の方向、暁の空を堪能して2日目が始まる。


西の水窪側から湧きあがった朝霧が、これから向かう次のピーク「バラ谷の頭」
を舐めるように流れる。


7時前 身支度を整え、朝陽に映える「バラ谷の頭」へ向かって歩き出す。


背後には、「黒法師岳」。
そして、母の懐のような穏やかな一夜を過ごした「黒バラ平」が見送っていて
くれた。


今日も朝一番は、体が辛い。
霜で凍てついた笹の急斜面を滑り落ちぬようゆっくりと登る。


おお、山頂標識が見えた。


ここが、夢見た山頂のひとつ「バラ谷の頭」2010m。


東(右)に「前黒法師岳」、北寄りに(左)「黒法師岳」、その間に寸又三山のひとつ
「朝日岳」、そして遠景に富士山。
まさに絵に描いたような眺めだ。


北側「黒法師岳」の左手には、「丸盆岳」、「鎌崩」、「不動岳」。
遠く、「茶臼岳」、「上河内岳」等南アルプス主稜も望める。


そして西に目を転ずれば、「黒沢山」から「奈良代山」辺りの水窪の山々、さら
にその向こうには中央アルプスまで見える。


ここで今回の旅のほぼ中間点。
進路を南西に転じて平坦な山頂部をしばらく行くと「本邦最南2000mの地」との
標識がある。
この地点から南、紀伊、中国、四国、そして九州山地にも2000mに達する山は
無い・・・そう思うとこの笹原の一角にも感慨深いものがある。


東方向、寸又側の空が晴れ渡っているのに比べ、西側にはどこまでも雲海が
広がっており大きな波が打ち寄せるように雲がこちらに向かってくる。


あっと言う間に周囲は雲の波に飲み込まれた。


さっきまでの暖かな朝の光も遮られてしまう。


この周辺は、ルートが不明瞭な上に広い平坦な尾根で、視界不良の時には迷い
やすい場所として定評のあるところ。


下り勾配の尾根を慎重にコンパスを当てながら進むこと1時間。


突然、霧が消え始めた。


いつの間にか、霧に飲み込まれていた「バラ谷の頭」がくっきりと姿を見せていた。


尾根は、さらに広く平坦になる。
そして鹿の径も縦横無尽に走っている、ここで霧に巻かれなくて良かった。


その平原の向こうに次の目標「房小山」が、その愛らしい山頂を現した。


笹の霜が融けるにつれ下半身はびっしょり。
当然雨具を身につけてはいるが、この時期に濡れるのは冬の雪より冷たい。
1本の山毛欅の根元に笹の無い暖かそうな草地を見つけ、しばし休憩。


ふと足元をみるとなんとこんなところに「コクワガタ」の死骸。
標高2000m近い場所に「コクワガタ」がいるなんてビックリ。
きっと最後は寒かっただろな、暖かな苔のベッドにそっと乗せてやる。


広い広い笹の海を泳ぎ、最後に一登りすると「房小山」1868mだ。
この山も近くまできたことはあるが、登る機会がなく長いこと憧れてきた山だ。


来し方、遠くなった「バラ谷の頭」。


行く先の尾根の何と麗しいことか・・・。


高度が下がると山腹の紅葉は今が盛り。


南西方向に行けば、笹原に立つ木々が徐々に色づく。


家の庭に持って帰りたい。


ゆっくりとゆっくりと味わうように歩く・・・が、笹の下の倒木にいやというほど
脛を打ち付ける。
そして、その僅か数十分後、再び倒木に脚をとられて転倒、運悪く頭を笹の中に
隠れていた石にぶつけて息が止まるほど痛い目をみる。


頭のコブを撫でながら、しばらく寝転んで濡れた下半身も乾かす。
もう、このままここでテントを張りたくなってしまう。


西側に気田川上流の山々。


まだ、今日の旅程の半分なのに足が止まってばかりだ。


やがて尾根が痩せて、細かに上下するようになると


その名の通り「鋸山」。


その先しばらく下ると今度は見渡す限りの笹の大海原、「千石平」だ。


今夜の宿泊地には水がない。
一旦、稜線から沢に下降して3Lを確保。
食料を消化して少し軽くなった荷がまた重くなり、登り返しがきつい。


この先、再び心地よい平坦地と


鋸状の痩せ尾根、


急激な下降などを繰り返し


本日最後のビューポイント「三合山」に到着。


木々の合間から北側を見れば、昨日、今日と辿ってきた稜線が、一望できる。
右手から「前黒法師岳」、中央に「黒法師岳」、左へ「バラ谷の頭」、「房小山」
の各ピーク。


少しづつ陽の光が赤味を帯びてきたので先を急ぐ。


16時 最後のピーク「蕎麦粒山」を越えれば今宵の宿泊地「山犬の段」の無人小屋。


もし、同宿者がいたら小屋に入らず近くで天泊しようと思ったが、予定通り
誰もいない。

標高が下がったこともあり、小屋の中は昨晩に比べれば暑いほどに暖かだった。
その昔、猟師が言うには野犬でもなく狼でもない、山犬が棲息していたという
この「山犬の段」。
残念ながら、この夜、山犬の遠吠えは一度も聞こえなかった。













Posted at 2019/11/09 14:24:08 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2019年11月04日 イイね!

秋の徘徊「寸又峡周遊」第1日

今年はいつまでも気温が下がらず夏の名残が消えなかったが、さすがに11月に
入って本格的な秋の気配が漂ってきたようだ。
茸採りも一段落するこの季節、いつも無性に「山旅」に出たくなる。
それは「登山」ではなく、山に溶けこむように気儘に歩く「旅」。
目的地は、南アルプスの南の末端、一般に「深南部」と呼ばれる寸又峡周辺の山域
である。明確な登山道が無い為、平素から入山者は少ないが、さすがに秋の三連休
ともなれば多少は賑やかになるだろう。
天気とも相談し、静かな旅を楽しむ為に殆どの登山者が下山する三連休の最終日
11月4日に入山することとした。
但し、少々体力が必要な藪漕ぎルートなので山神様は家に置いていく・・・。


4日早朝5時半、真っ暗な中、寸又温泉車止めゲートを出発、意外と暖かい。


日帰りらしき装備の登山者3名を追い越し、最初のピークとなる「前黒法師岳」の
登山口に着く頃にはヘッドランプがいらなくなった。


急登のシラビソの森は展望も無い、歩き出しは調子が悪くただひたすら喘ぐ。


思った通り、途中単独1名と2パーティとすれ違う。
出発から4時間。
誰もいない「前黒法師岳山頂」1994mに到着。


ここから先は一旦250m程下がった後、僅かな登り下りを繰り返す穏やかな尾根
歩きとなる。


尾根の幅が広がり森が明るくなると、背丈の低い小笹が地表を覆いだす。


この植生がこの山域の魅力である。


数歩歩いては立ち止まり


溜息をついてはシャッターを切る。


やがて右手北側の梢越しにこの旅の最高峰である「黒法師岳」が、端正な三角錐の
姿を見せる。


突然、尾根上に芝生の広場が現われる。


ヘリポートと呼ばれるこの広場は美しくもあるが、違和感のある場所だ。


実は、この風景はかってこの山域を切り裂く「南赤石幹線林道」という途方もない
自然破壊が進められた名残である。
石碑には「昭和58年度黒法師林道新設工事起点」とある。


この場所の前後は、路盤が崩落あるいは法面崩壊がすすみ既に何十年も放置された
ままだ。
その崩落個所の向こうに目指す「黒法師岳」が聳え


その右手には「丸盆岳」、「不動岳」といった深南部の秘峰が連なっている。
皮肉にもこの素晴らしい展望が得られたのは、林道工事がもたらした結果なので
ある。


振り返れば先ほど越えてきた「前黒法師岳」も見える。


崩壊林道と別れ、西方向へとたおやかな尾根を行く。


やがて尾根は北西方向に折れ、真っすぐに「黒法師岳」へ向かう。


山頂部をズームアップすると左下に美しい草原が見える。


更にズームアップ、ここが今夜の幕営地「黒バラ平」だ。
どんなに素敵な場所だろう?
少し、疲労感を感じてきた脚に元気が蘇る。


やがて、可愛らしかった小笹が人丈ほどになり


どこまでも笹の海が続く。
その向こうには、明日歩く稜線が横たわる。


振り返れば尾根が北西方向に屈曲した地点にあった「二つ山」が、文字通り二つの
ピークを突き出している。


笹は、ますます深くなり


獣道が錯綜する中、人の踏み跡との区別は判然としなくなり、ひたすら藪を掻き
分ける。


14時半、ようやく「黒法師岳」2068mにたどり着いた。
「前黒法師岳」同様、ここも木々の囲まれて眺望の得られない山頂だ。


この山頂名物の三角点!
通常三角点には「+」マークがついているのだが、何故かここには「×」マーク。この三角点、山好きの間ではちょっと有名なのである。


山頂から北側に進むとガレの縁に「丸盆岳」、「バラ谷」の頭方面との分岐がある。


ここからは、北東方向に「丸盆岳」、「鎌崩」、「不動岳」が間近に見え


北西側には「黒バラ平」を挟んで「バラ谷の頭」がゆったりとした山頂を構えている。


腰丈ほどの笹の急傾斜を笹にすがりながら滑るように下っていく。


傾斜が緩むと今夜の宿、「黒バラ平」だ。


背後では、「黒法師岳」が夕陽に燃えていた。


まずは、明るい内に水の確保だ。
古い案内板に従い


ピンクリボンの示す沢の源頭に降りていく


2.5Lの水を大腸検査時に使った腸管洗浄剤の容器に補充。
この容器、ほど良い容量で気に入っている。(笑)


そして風の当たりにくい窪地にテントを設営。
ここが、今宵の我が家。
この広い笹原を、贅沢にも一人きりで貸し切りだ。


やがてバラ谷の頭の右手に夕陽が沈む。


気温は急激に下がるが、飽くことなくじっと夕焼けを眺め続ける。
まさに地上の楽園、これ以上何を望むのか・・・。
あまりの美しさに思わず山神様に写真を送る。
ここが、圏内とは思わなかった。


取り敢えず、今の望みは空腹を満たすことだった。
アルファ米にFDの具を放り込んでの親子丼、山では立派なご馳走だ。


夜は、降るような星の灯りとテントの周りを鹿が歩き回る音でなかなか寝付け
なかったが、快い疲労感とともにいつしか眠りに落ちていった。






















Posted at 2019/11/07 23:47:01 | コメント(5) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「良く曲がる ^_^ http://cvw.jp/b/1240840/48330458/
何シテル?   03/24 11:23
U-TAN(う~たん)です。 性悪娘エリにドナドナして S660に乗り換え。 高齢者には、軽スポーツで充分です。
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