豊浜トンネル事故２５年　「風化させぬ」遺族ら慰霊碑に祈り

豊浜トンネル事故２５年　「風化させぬ」遺族ら慰霊碑に祈り

【古平】後志管内古平町で巨大な岩盤が崩落し、路線バスと乗用車に乗っていた２０人が死亡した豊浜トンネル事故から１０日で２５年を迎えた。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、毎年行われてきた合同慰霊祭の開催は見送られたが、遺族らはそれぞれ同町内の慰霊碑を訪れるなどして犠牲者の冥福を祈った。

事故は１９９６年２月１０日午前８時１０分ごろ発生。同町の国道２２９号の豊浜トンネルで岩盤が崩落し、１０代から７０代の地域住民や通学中の高校生ら２０人が犠牲になった。

　遺族会「二一○の会」の代表で、事故で長男敦さん＝当時（１７）＝を亡くした同町の本間鉄男さん（７０）は１０日、現場近くに立てられた慰霊碑に花を供えた。

　本間さんは「事故から２５年がたった今でも、トンネルの近くを通るたびに事故を思い、お経を唱えている。事故を知らない人も増えており、風化されないことを願っている」と話した。

　同じく事故で長男耕一さん＝同（１７）＝を失った同町の藤井耕平さん（７８）はこの２５年間、月命日の毎月１０日には必ず慰霊碑を訪れてきた。この日も慰霊碑に手を合わせて「生きていたら、もう４０代になっていたのになあ」と耕一さんに話しかけたという。

　藤井さんは「今でも（犠牲者を）助けてあげられなかったという遺族の気持ちは何も変わっていない。一日でも長く生きて、息子の供養を続け、事故の悲劇を伝えていきたい」と語った。