
いろいろと試行錯誤を続けていますが、
・エンジンの掛かりはよく、走らせても大きな問題はない
・時折アイドリングが不調になり、アジャストスクリューで回転を上げて対処しようとする
・1200rpm以上に設定するとてきめんに回転の落ちが悪くなり、時折アイドル回転が上がる
・そうこうしているうちに、Oバンク側のプラグかぶりが発生する
というパターンから抜け切れていません。
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●キャブレターリペアキット再購入
以前パッキン類とチェックバルブのみのセットを購入し、交換してみたのですが、
負圧作動スライドバルブに擦り傷が多かったのと、ダイヤフラム類の経年劣化(柔軟性低下)の可能性が気になりました。
そこで、同じ型式のキャブレターを使用する(但し細部仕様は異なる)ヤマハTRX/TDM850用の社外品セット(大陸製)のうち、
思いつく最大限のリペアパーツがセットになったものを選んで購入してみました。
フロートやスライドバルブAssyなど大物も入った1台分=2基分セットです。
点検の結果、今回実際に交換したのはスライドバルブ(ダイヤフラム付き)のみで、
残りの部品はスペアとして保管。
TRX用のジェットニードル/ニードルジェットやその他ジェット類も入っているので、
症状が落ち着いた後で異なる組み合わせも試してみたいと思います。
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●バタフライバルブの座り微調整
以前の分解時、目視でアイドル時バタフライ開度を合わせたときに、メインボア(円筒)とバタフライ(円盤)の中心がそろっておらず、円周のすき間に違いがあるように見えました。
だとすればどちらかのバタフライバルブが閉じきっていないと考えられるので、
アイドリングも下がりきれず、正しく開度の同調も取れない可能性がある気がします。

バタフライ固定ビスの頭をナメないよう、今回ドライバー(+、#2)を2本新調し万全を期した上で、ビスをわずかに弛め、その状態でバタフライを開閉(少し開けた状態から手を離してばねの勢いでパチンと閉じる)を繰り返し、メインボアのセンターに落ち着かせることを試してみました。
※もともと+ドライバーをあまり信用していなかったのですが、今回先端の滑り止め処理がされたものを購入してみたところ、苦もなく弛めることができ、いい意味で驚きでした。
バタフライが開き始める時、メインボアとの間に皆既日食のコロナのように均等に後光がさすようになるのが理想です。
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【スターター(いわゆるチョーク)プランジャー分解点検】
前回は最小限の手入れとして、メインボアやスライドバルブ、フロートチャンバー内、負圧室を点検清掃したので、
今回はキャブレター同士の連結を解除し、前回確認できなかった箇所も分解点検します。
スタータープランジャーはユニークな取り付け方・形状で、ボディ側の穴に外側になる抜け止めが引っ掛かるだけです。
下の写真、左は清掃後、右は清掃前ですが、中央のニードル状の部分は、吹き返しがあるのかかなり汚れてカーボンのようなものが堆積固着していました。
光っている金属製の板は、回路を使わない時にメインボアにつながる通路を塞ぐフラップです。

汚れがこびりついて盛り上がっていた先端のニードル部を真鍮ブラシで磨いてみたが、
どうやらこの部品は樹脂製のようで、磨いたことで傷付きや減寸していないか心配なところ。
今回は片方だけブラシ磨きにとどめました。
いざという時はヤマハから単品で取り寄せ可能ですが、1ヶ7000円くらい(!)します。
部品番号 3EN1410A01 です。ご参考まで。
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【エアカットバルブ分解点検】
エアカットバルブはスロットルオフの際のアフターファイヤー軽減とHC対策が目的らしく、
2系統あるスローエアジェットの一方を閉じる役目をする(=空燃比を濃くする)そうです。
これもリペアパーツ一式にダイヤフラムと樹脂製カバー(それぞれ右側)、スプリングが含まれていましたが、ダイヤフラムは折れ癖がついていて、樹脂製カバーは半透明で、純正品より肉厚が薄そうなので、
とりあえず破損していない従来の物を再利用しました。
★スロットルオフでミクスチャーを濃くする、ということは、スロットルオフ後の開け始めのレスポンスにも影響してくるのではないだろうか?
その昔、ライダースクラブ誌で根本氏の「ドゥカティは早めにダウンシフトすると、開け始めのレスポンスが悪くなる。エンジンブレーキなどをあてにせず、ギリギリまで我慢して最後のダウンシフトをすると良い」という記述があった。
当時は「吸入負圧が高まって、パイロットノズルなどから余計に吸い出されてしまうのだろう」くらいに考えていたのだが、この機能も一因かもしれない。
もしかするとあえて作動させないというチューニング手段もあるのかも?
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【スライドバルブ/ダイヤフラムAssy 交換】
使っていた方(右)は摺動面が傷だらけで動きが悪そうなので、新しいものと交換しました。
ダイヤフラムも新しいものはより柔軟で、動き出しが滑らかになる気がします。
混合気にもさらされ、潤滑できない部分ですが、少しでも摩擦抵抗と摩耗を減らしたいので、ボディ側と双方にマイクロロンペーストを塗布してみました。
一見グリスのようですが、乾燥すると結晶状に固まるので、綿棒やティッシュでできるだけ薄く延ばします。厚塗りは禁物。
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【再組立】
特別な技術は要りませんが、バタフライバルブ軸の連結部分(同調調節部分)を噛み合わせつつ、各部のスペーサーを挟んで組み立てるのは、一筋縄ではいきません。
特に同調調節部のスプリングを飛ばさないよう注意が必要です。
燃料配管連結部はシリコングリスを薄く塗って、Oリングを変形・摩耗させないようにします。
ご覧のように、左右で線径の違うリターンスプリングがバタフライ軸に組み込まれています。
スライドバルブのように負圧で張り付くことはないので、弱い側のスプリングを抜いてしまうか、両方弱いものに交換したいですが、
気易くバラせる場所ではなく、部品も出ないと思われるので今回は手をつけません。
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【アイドルアジャストスクリュー延長】

ミクニTMR用ということで販売されている品で、これはお勧めです!外部から容易に調整できるように、当初はFCR用社外品が使えないか調べてみたところ、
現車とケーヒンはねじのサイズが合わずに断念。
検索画像をいろいろチェックしていくうち、ねじ部寸法(M5細目 P0.5)はミクニ同士は共通では?と考え、
国産車純正部品流用を考えたが意外と高価だったので、割安なアフターマーケット品を入手。
ゆるみ止めスプリングも専用品に交換し、ケーブル長さもぴったりでした。
標準品スクリューの改造も考え、燃料ホースを被せて試したりしたのですが空回りしてしまい、
長いばねを溶接するなど本格加工は却って費用もかさみそうで断念。
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【試運転】
パイロットスクリューの戻し回転数、ヤマハTRXの場合、国産車らしく、1と1/2回転戻しらしい。
現車もひとまず以前よりリーンな、1と1/2戻しからスタートしてみるが、
始動後のアイドリングが全然続かないので、とりあえず2回転戻しとして再スタート。
いままでアイドルアジャストは右側前輪脇から身をかがめ、膝をついて下から覗き込んで作業する都合上、
いちいち安全な場所に停めなくてはならず、夜間は懐中電灯片手に奥まった位置を探っていたことが、いまさらながら馬鹿らしく思えるほどだ。
信号待ちで跨ったままでも調整できるのが非常に有難い。
なぜ初めからこうしておかないのかと理解に苦しむほどである。
交通量の少ない夜間、気温0度前後と非常に寒いので、ヒーターグリップを中程度に使用して走行するが、気温0度では焼け石に水の真逆(笑)で、指先までは効き目なし。
よくよく考えてみれば電力使用量はヒューズ定格以下なので、発電できていればこれが原因でエンジン不調は考えられない。
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走らせてみると、全体に軽やかで滑らかになった印象。まるで春が来たようだ(笑)
だが、舞台はいつもの夜間のテストコース、大体同じ距離を走ったところで不調再発。
いつものように減速後アイドルが下がらない、時折2000rpmあたりに上がるなどの症状と、
減速時のアフターファイヤーやツキが悪いなどプラグかぶりの症状がみられ、
吹かしていないと信号待ちもできない状況に…
いつもの照明が明るい広大なパチンコ屋駐車場(笑)でチェックしてみると、
今回もOバンク側がくすぶり気味になっている。
対するVバンク側は碍子あたりまで白くきれいに焼けていて、理由が判らない。
プラグを前後入れ替えると何事もなかったかの如く容易に再始動。
試運転を継続すると、とりあえず調子は復元(2気筒とも燃焼している)。
帰庫後、再度プラグチェックすると、やはり同じように両バンクとも焼けが変化している。
エンジンの調子は始動性も走行中も特に悪くはないので、
もしかするとミクスチャーや調整由来のものではないのかもしれない。
絶望的不調というわけでもないので、視野を広く、先入観を持たずに気長に原因を考えて対策してみたい。