
キャブレターのジェットニードル クリップ位置変更で、吹け上がりなど改善あり、とレポートをしましたが、
その後の推移で徐々に排気音が重くなり、スロットルのツキも緩慢になる様子があって、
点火プラグをチェックしてみると明らかに水平シリンダー側がくすぶっていました。
とりあえずパイロットスクリュー調整で様子を見たのですが、改善の様子がないので、
面倒でも思い当たる可能性を一つずつ潰していくより仕方ありません。
****************************************
●油面(フロート高)確認・調整
一番初めに確認すべきだったのですが、当初はどちらの気筒もくすぶっていたこともあり「そう狂うこともないだろう」と高を括っていたのが正直なところ。
片側(水平側)のみ点火プラグがくすぶってしまう事態に至り、確認してみたところ、
フロート高で1mm以上の違い(水平側フロート高(上から吊るされる)が低い=油面が高い)がありました。
直立シリンダー側のフロート高に合わせて様子を見たところ、フィーリングや排気音の改善はあったものの、点火プラグの焼け具合にはあまり変化がなく、やはり水平側がくすぶり気味になっています。
気になるので数日後、再び分解し確認してみたところ、まだ1mm弱、合わせたつもりの水平側のフロート高が低いので、再度調整。
同形式のキャブレターを使うヤマハTDMのサービスマニュアルを見ても、専用工具を使った実油面測定しか寸法指定がないので、とりあえず燻らない側の垂直側に合わせました。
ツキや回転の滑らかさはさらに改善し、水平側点火プラグの焼けも若干改善した。
【余談】
ミクニBDSTキャブレターはダウンドラフトと称するも、実際は”強スラント型サイドドラフト”と呼べそうな構造で、各ノズルの吸い口(=ジェット類)の取り付け位置(角度)のみ変更したような造り。
フロートチャンバー実容量は非常に小さく、ポンプ圧送が前提の構造と思われます。
わずかなフロート高の違いで実油面の違いは大きくなりそうで、車体の上下左右への動きに伴うG(重力加速度)や油面高が、各ノズル吸い上げにも影響を与えそうな気がします。
●パイロットジェットを水平側のみ1ランク絞る
油面を見直しても、依然点火プラグの焼き色は水平側がくすぶり気味なので、
不本意ながら対症療法として水平側のパイロットジェットを変更して傾向を探るためことにしました。
垂直側は#52.5のまま、水平側のみ#50としてみたところ、両気筒間の点火プラグの焼け色の違いは明らかに減少し、ほぼ同程度の焼け色となったので、ひとまずそのまま様子を見ることにしました。
パイロットスクリューは再度調整しなおし。水平側の戻し回転数を増やしてアイドル時の流量を補正するかたちになりました。
●スターターバルブ リターンスプリングの調整
以前分解した際、樹脂製のスターターバルブにカーボンのような堆積物があり、様子を見るため片側のキャブのみ柔らかい真鍮ブラシで除去していた記憶でした。
迂闊にもどちらの気筒だったか記録がないので、バタフライバルブの連結を外すことになり面倒だが、燃焼不揃いのわずかな可能性でも突き止めるべく、思いついた部分は再度分解・確認してみました。
するとどうやら記憶違いで、両気筒ともブラシで清掃済み。拍子抜けでした。。。
せっかく手間をかけてばらし組みをするので、この部分からのリークの可能性を減らすべく、
リターンスプリングに薄いワッシャーを一枚かませて圧着力を上げてみた。
****************************************
【再組み付け、実走テスト、同調確認】
◆キャブレター組み付けの際、バタフライバルブの開き始めで、アイドルポートが見え始めるタイミングを揃えておくと、アイドリング時の同調はほぼ調整不要。
念のため後ほど暖機状態でバキュームゲージで測定するが、微小の調整でOK。
◆組み立て後、ケーブルを装着したキャブレターをインシュレーターに差し込んで、
バンド締めをする前に、二基を貫通する連結ボルト(2か所=下の写真、左上端と右下端)を一旦緩めて、スロットルグリップを何度か全開→全閉を繰り返し、バタフライバルブシャフトの整列を出してやる。
スロットルグリップが一番軽く作動する状態で、インシュレーターバンドとキャブレター連結ボルトを締め付ける(M5ボルトなので、ドライバーで締める程度のトルクでOK)。
◆オイルクーラー移設の結果、固定ボルトを外し、水平側シリンダー前方にずらさないとパイロットスクリュー調整ができない。頻繁に路肩で作業をするのは面倒なのが正直なところ。
(同じ位置にあるM900も同様だろう)
とはいえアレンキーとマイナスドライバー各1本ずつ(と夜間は懐中電灯)あればできるので、民家から離れた場所を見つけて調整。
出先でオイルクーラー取り付けボルトを失くさないよう金属製トレイに置くようにしたい(100円ショップの調理器具売り場で入手可能)。
※作業後、オイルクーラーを元の位置に装着するのをくれぐれも忘れないように。出先で路面に引きずって破損したら自走不可能になる可能性大。
◆パイロットスクリュー調整の際はアイドリングをできるだけ下げておき(1000rpm弱)、
1/4回転程度ずつ締めこんだり緩めたりして、それぞれの気筒ごとにアイドリング回転が上がるところをひとまず探す。
よく判らない場合、締め方向・緩め方向とも調子が悪くなるところの中間あたりを目安にする。
1/16回転程度を最小単位にして仕上げ。
◆ただしアイドリングが上がるところが最適とは限らず、低開度(1/8程度)のブリッピングを繰り返しながら、全閉から軽く吹けるスクリュー開度を探してやる。両気筒の調整が合うとダウンシフト時の回転合せもし易い。
◆気温が30度近くともなると、暖機後のアイドリングでどんどん油温が上がってしまう。
温まり過ぎるとキャブレター内のガソリンが自然気化しやすくなり、空燃比は実走時よりもリッチな方に振れると思われる。
現在はオイルストレーナー部分で測定しているが、表示100度くらいを目安に作業を終えたい。
◆軽く吹けあがる位置でパイロットスクリューの調整をして、今回の作業は一旦終了。
調子はまずまずといったところ。
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2025/06/24 21:48:51