すでに現車は変更済みで、このところの記事にも写っている部分もありますが、
あらためてフットペグ(ステップ)/ペダル周辺の変更を記事にします。
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【91年~900/400SSの問題点】
現車、91~97年モデルの900/400SSのライディングポジションは、
それ以前のドゥカティ製スポーツバイクに比べれば、遥かに快適性を重視していて、
ハンドルは高く、燃料タンクは短く、厚くなったシートと低くなったフットペグは、
以前の人間性無視の(?)スパルタンさからは別次元といえます。
それでも筆者の体格では、嵩上げしてもシート~フットペグ間が近く、膝の曲がりがきついため、
ライディング用ウェアを着用していても30分以上走っているとひざ裏が圧迫されて血行が悪くなってきます。
それに加えて以前から不満なのが、跨った際のくるぶし内幅が広く、
体を動かす際の足の入力が車体の動きに影響を与え、安定性を悪くしているのではないか?という疑念でした。
上の写真でわかるように、筆者が特に問題視しているのは、
台座となるブラケットが、フレームパイプの外側に張り出して上から吊り下げられているために、くるぶしどころかふくらはぎまでが外に追いやられてしまうことです。
くるぶしよりもふくらはぎの方が当然太いので、くるぶしを内側にピッタリ寄せようとするなら、
その上の部分は太さの違い分を吸収できるスペースが必要ですが、その部分にブラケットが出張っているのは具合がよくありません。
レーシングブーツを履くならなおさらです。
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【後継モデルとの比較】
その点、98年モデル以降の燃料噴射化されたSSie(下の写真参照)となってからは、
フレームパイプ外側にブラケットを装着することは変わりませんが、
タンク後端が大いに狭められたのに合わせ、ブラケットが前方から取り付けられて、
ふくらはぎやくるぶしをフットペグブラケットが邪魔をすることがないよう配慮されています。
座面を広くされたシートも貢献していますが、実際に乗り比べてみるとフィット感の違いは歴然です(但しフットペグは後ろすぎる気がしますが)。
SSieはシートとハンドルグリップの高さバランスが変わり、上体の前傾度が強化されたこともあってか、それ以前のモデルに比べて人気薄だったのですが、試乗してみると、
下半身全体でバイクをしっかりホールドでき、路面のギャップなどで揺すられても体を支えるためにハンドルバーに寄り掛かる必要はないので、
実際の上半身の肉体的負担は(体格にもよりますが)それほど大きくないと思いました。
加えてフットペグからの入力が安定性を削ぐことが減り、垂れ角が大きくなったハンドルバーは両手からの余計な入力をしづらく、ハンドルをこじらずに乗るというバイク操縦の基本に、より忠実になっていると思います。
逆に言えば、97年モデルまでのSSは、スーパースポーツを名乗るにはライディングポジションが不適切で、
特に垂れ角の少ないハンドルバーと、今回指摘している運転者の足元内幅の広さは、運転者の不用意な入力から操縦性を悪化させる要因になっていると感じます。
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【余談】
我が国のバイク業界では相も変わらずフットペグの前後・上下位置だけが語られていて、
左右への張り出しについては殆ど言及されることがありませんが、いかがなものでしょうか。
商品としてのいわゆる「バックステップキット」においては、近年はポジション調整機能としてブラケットを分割して複数のねじ穴から選んで組み合わせるようになっているものが増えていますが、
その場合、土台となる第一次ブラケットの外側に、ペグの付く第二次ブラケットを取り付ける構造で、オリジナルの状態よりも幅が広がるものが多いようです。
オリジナルのペグ内幅に関しては、当時のドゥカティはまだましな方でしょう。
日本車の場合、ちょうど運転者のくるぶし内側に位置するスイングアームとフットペグブラケット裏側が、握りこぶしが入るほどすき間があることが、いまだに珍しくありません。
恐らくは転倒時に、ブラケットが瞬間的にしなってスイングアームと接触することを避けるためと思いますが、スポーツバイクという商品特性上の優先順位として疑問に思います。
近年はずいぶんマシになったとは思うのですが、
バイクメーカーに限らず日本のバイク業界全体として、
バイクの構造を側面図からばかり判断していて、実際にまたがった状態=見取り図からの考察が薄いように思います。
側面から見ると一見スマートなスタイリングでも、いざ運転者目線でみると異様なまでに燃料タンク幅が広かった、というのは国産車ではよくある話です。
少し前までの自動車のスタイリングを見てもそうですが、立体としての見せ方が下手で、平面的な表現になっているように感じられるのは浮世絵や漫画と通ずるようだ、というのは言い過ぎでしょうか。
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【右側(ブレーキ側)の問題点】
つい話がそれてしまいました。右(ブレーキ)側に関しては、マスターシリンダーの取り付けブラケットが大きく張り出して、
左側より実質1センチ以上もくるぶしが外に出ることになり、かかと側に出っ張った形状がさらにフィット感を著しく下げ、両足全体で車体を挟み込むフィット感を大きく損なっています。
SSieとは逆で、上半身の前傾は緩いものの、下半身全体で支えられないので、
路面のギャップなどで揺すられた時には人車バラバラになりそうな不安感があります。
幅の広いタンクにとにかく二―グリップを利かせるしかなく、下半身の柔軟さを失わせることにもなり、足元が左右に張り出している分、てこの腕が長いわけで、車体が影響を受けてしまうように思います。
今回は問題提起に終始してしまいましたが、三次元的に解決すべく実践してみました。
次回以降に続きます。
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Posted at
2025/07/01 14:53:19