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2025年02月22日 イイね!

DUCATI SSの整備【23】M900純正フットペグ流用

DUCATI SSの整備【23】M900純正フットペグ流用







インジェクション化される前の900/750/400SSは、
四角く分厚い断面の”70~80年代日本車的”フットペグを採用していました。
86年頃、851やPASOあたりから一斉に装着され始めたもので、カジバ傘下入りを象徴するような量産車的デザインで、造りは良い。
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↑上の写真のペグホルダーは、SSの初期のものに採用されていたもので、これ以後の写真のもの(黒塗り仕上げ)とは若干異なります。
現車に装着されていたものですが油圧式ブレーキランプスイッチが故障していたので、後期機械式スイッチのものと丸ごと左右とも交換しました。
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余談】
80年代に入ったあたりから、イタリアに限らず欧州二輪車業界は、
ベベルギヤ駆動初代Vツインシリーズを終了させたドゥカティばかりでなく、ボクサーツインの生産打ち切りを予定していたBMWも同様、小規模生産前提の手工業的、半ば工芸品的な生産体制からの脱却期にありました。

とうに量産体制を確立していた70年代末期日本車は、
例えば大型車両は並列4気筒、中型車両は並列2気筒など、各社殆ど同じ形式の、横並びで新鮮味が薄いラインアップが完成。
今では国内で”絶版車”としての評価が高まっていますが、
当時それらを指して”UJM”=Universal Japanese Motorcycles
=どれとでも替わりが効く(=高機能安価でも、押しなべて涙滴型タンク、アップハンドル、厚手シートで性格付けが半端な)日本製モーターサイクル、と欧州市場で揶揄されながらも、
80年代初頭、折しも国内市場に空前の二輪ブーム到来で劇的変革期を迎えることとなる。

そんな革新期の日本車へのコンプレックスとでもいえそうな、(日本人たる青年期の筆者からすると)没個性量産車的マイルド風味のデザイン処理・製造工程変更が、ドゥカティ(セル始動後期MHR)やビモータ(SB4以降のデザイン使いまわし)、マランカ(水冷車種)といったマニア向け最右翼の存在にまで蔓延して、
このペグ周辺デザインは、迷走しているように感じられた当時のイタリアンデザインを象徴するようでした。
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実用面においては、このペグは足応えが柔らかく、左右に長めで、長距離走行には向いているかもしれませんが、
どこで踏んでいるかわかりづらく筆者の好みとは合わない上、ホルダー部分も含め見た目に軟弱で、安物アルミホイールのごとく裏返した方がカッコいい気がするほど(笑)
※実はかなり凝った造形です。

社外品キットあるいは自作品(準備中)に交換する前に、
よりソリッドでドゥカティらしい細身、かつブロックパターンが粗く滑りにくそうな、M900モンスター(初代)の純正フットペグの流用を考えてみました。

側面から見て、後方・下方に寄り過ぎているように思えるペグ位置を設定したメーカーの意図を確認したい、という欲求も大きい要素です。
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左がモンスター純正品、右がSS純正品です。大きさ(太さやボリューム感)がまるで違いますね。
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日本メーカーと比べ遥かに小規模生産ゆえ、できるだけ設計や工作の共通化を図っているに違いない、と考えて、手元の部品で仮合わせしてみると、

①可倒式の軸心ピン径が、SSは8mm、Mは6mm
②フットペグいちばん奥~可倒軸心間距離が、SSに比べてMは2mm少ない
③ペグの取り付け部(ピン穴)外幅が、SSに比べてMは約4mm少ない

ということは、

①→SS用ホルダー軸穴に肉厚1mmのカラーを入れる
②→SS用ホルダーの、ペグいちばん奥との接触する壁面に、2mm厚のスペーサーを取り付ける
③→M900ペグとホルダーとの間に入るスペーサー(2mm厚×2枚)を使用する

これらを対策すればボルトオンで装着出来そうです。
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SS用・M用ペグの間にある、右側が①カラー(輪切りにして使用)、
左側が③ホルダーとペグの間に入るスペーサーです。

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②のスペーサーは上の建築金物(2mm厚、亜鉛めっき仕上げ鉄材)を素材に使用、
マーキングした位置で切断して穴も活用。切り口が錆びても下側になるので目立たないはず。

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大した精度は要らないので電気ドリルでホルダーに穴を開け、M4タップを立てる。
(写真のような目線で取り付けブラケット部との平行を立体的に意識して、ほぼ直角に穴あけ成功)

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M4皿ビス1本(ねじロック塗布)の取り付けだが、回転はブラケット間で自然と規制される。
ペグを踏めばスペーサーは壁面に押さえつけられるので、アルミ鋳造製ペグに対し摩耗しにくい鉄製ならばOK。
個体差などでペグが下向きになってしまう場合もシムを入れれば調整可能です。

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M用ペグは仕上げが粗く、可倒軸部分が金型の合わせ目で結構ずれていてブラケット幅にうまく収まらないので、やすりで段差を削る。

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元々のホルダー側穴にリターンスプリングを引っ掛けて組み付け完了。
可倒軸リターンスプリングも6mm径のM900用ピンとともに使用。
ピンは穴に通しやすいよう、先端に丸みをつけてあります。
ペグ前後のスペーサー位置を入れ替えれば、前後各2mm移動も可能です。

※当初は旧ドゥカティMHRと同様に、可倒軸のリターンスプリングなしで組んでみたのですが、
後退角が付いていることと、グリップが上がったせいで、踏みかえようとするたびにペグが靴底に付いて折りたたまれてしまい危険なので、かなり面倒な思いをしてリターンスプリングを組んだのが実際のところ。

可倒軸の抜け止めクリップを、SSのスナップリング留め(錆びやすい)から、Mと同じEリング(めっき仕上げ)に変更し、車体外側から差し込めるようホルダーを切削加工して出来上がり。
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遥かに軽快でスポーツ度が増して、見違えるほど好ましい雰囲気。
これぞスーパースポーツ!
跨って踏んでみると、細身で面圧が上がったことでのソリッド感向上と共に、
靴底へのペグのグリップは大幅に向上しました。

また、ペグが短くなり、必然的に車体内側に近い部分を踏むので、車体の挙動への影響度も変わったようです。


社外品と組み替える前に、純正品の潜在能力を掘り起こす改造も、地味ながらマニアとして追求する価値のある楽しみの一つと思います。
Posted at 2025/02/23 14:21:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年02月22日 イイね!

DUCATI SSの整備 【22】スロットルグリップ プログレッシブ化【追記あり】と作動性改善

DUCATI SSの整備 【22】スロットルグリップ プログレッシブ化【追記あり】と作動性改善
【追記】ジェットニードルが純正よりテーパーのきつい別物になっていたために、かなり吹け上がりが早いアグレッシブなトルク特性になっていたと考えられる。ご参考まで。

低速域、とくに全閉からの開けはじめが扱いづらく、一気に吹け上がろうとする、
つまり、開け始めが過剰にいわゆる”ハイスロ”的だったので、スロットルグリップ側のケーブル巻取り部を加工してみました。

巻き始め部分だけのプーリー外径を小さくすることで、全閉からの開け始めだけ、スロットルグリップ操作作動量(角度)に対するキャブレター側のバタフライの作動量(角度)を減らしてやります。
それ以降はメーカーオリジナルと変わりありません。
僅かでも小径化する分、操作トルクも小さくて済むはずで、交差点右左折時など、極低速域、微小開度の調整をし易くする目算です。

競技車両など、巻取り部を作動軸心から偏芯させ、積極的にプログレッシブ化(グリップ側開度が大きくなるにつれキャブレター側作動量の度合いが漸進的に大きくなるように)している場合もよくあります。
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●スロットルグリップのプログレッシブ加工
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上の写真、中央あたりの黒い樹脂の中央に白っぽい筋状に見える部分から上側
開け側ケーブルのタイコ取り付け部に近いほど深くなり、かつ明らかな変節点ができないように、
深さ1mmに満たない程度、半径比率では恐らく5%程度ですが、溝の底を折れた鋸歯や小型ヤスリの側面で掘り込んでやります。

なお、樹脂成形時の金型合わせ目ラインなどは削り、軸受に接触する部分は磨いて、
ホルダー内での摩擦抵抗をできるだけ減らすようにしてあります。

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●スロットルグリップホルダー内側の加工
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できるだけ滑らかに軽く動かせるよう、グリップホルダー側も手を入れています。
以前記したと思うのですが、写真を撮りそびれていたので、企業秘密ですが(笑)掲載しておきます。
光っている部分は、スロットルグリップの回転の”軸受”になる部分です。滑りが良くなるよう磨き上げてあります。
内壁部分スラスト面は、鋳物の面荒れや波打ちを平らに均すように、小型の平型細目ダイヤモンドやすり先端で面出しするように削ってあります。
可能ならフェルトバフや綿棒などを使い、研磨剤で磨けばなお良いと思います。
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【スロットル操作、不具合の我慢は禁物】
●スロットルグリップの動きに抵抗があると、乗っていて不快で疲れますし、右手に余計な力が必要でハンドリングにも影響が出ます。
いちばん具合が悪いのは、作動抵抗が大きいためにレスポンスが悪く感じ、さらに強く開けようとすることで、
開け始めの動き出しが唐突になり、結果として開け過ぎになって車体の挙動を乱してしまうことの危険性で、大排気量車ほどリスク大です。

操作して、「ゴリゴリ」「ザラザラ」「ギシギシ」といった感触があるのは要整備です。
特にスロットルグリップを捻って手を離した際、瞬時にパチンと戻らないのは論外、危険です。

ケーブルを外してグリップを回してみて、どこが抵抗になっているのかを特定し、
最低でもグリップ内側清掃、ケーブル含め各部給油脂とグリップ組み付け確認、ケーブル取り回し確認が必要です。ケーブルのホルダーへの固定が甘いだけでも動きが悪くなります。
以上全てに問題がある車両も珍しくないと思います。

●スロットルグリップホルダーを組み上げる際は、滑らかに動くかどうかを確認し、引っ掛かりや渋さがある場合はどこかに不具合があります。
最低でも作業前と同じレベルにならない場合は、取り回し経路も含め、再度各部を見直します。

●スロットルグリップの遊び(ケーブル(開け側)のたるみ)は、ハンドルを切っても回転が上がらない範囲でできるだけ詰めないと、素早い変速動作などリズミカルな操作はできるはずがありません。
但し、左右にハンドルを切った際にも挟まれたり引っ張られたりしないことも確認し、エンジン始動後もハンドルを切った際に吹け上がったりしないか、必ずチェックしてから試運転してください。

●当方は基本的に、スロットルグリップとハンドルバーの間は潤滑剤を使わないのですが、
当該車両はハンドルバーが塗装仕上げで表面も荒れているので、ドライファストルブ(テフロン粉末スプレー)を吹き付けておきました。
いつか予備のハンドルバー(垂れ角拡大加工済み)と合わせて、塗装剥離&研磨、暗色メッキ仕上げにしたいと思っています。
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全開までの開度が小さい、いわゆる”ハイスロットル”グリップは、操作開度の割りにいかにも吹け上がりが速くなり、スポーティな演出ができますが、安心して遠慮なく”開けていける”技量や車両状態が前提での話です。やせ我慢して使うものではありません。

今回の作業はほんのわずかな削り量ですが、一連の作業の効果は想像以上で、
冷間時のエンジン始動直後のファストアイドル維持(微小開度での精密操作)が非常にやりやすくなりました。

これら細かい調整作業の積み重ねがチューニング(調律、最適化)です。
スロットル操作の1mm以下、右手の加減でドライブチェーンの張り具合を感じ取って制御できるくらいの滑らかさを目指してください。
時間や手間をかけてツボを押さえた対処をすることで、扱いやすさ=運転操作の精度が変わってきます。

言い換えれば、操縦者の意思を愛車によどみなく伝えられているか?という問題です。
見た目は全く変わらなくても、安全や楽しさに直結する重大ポイントです。ぜひ試してみてください。


Posted at 2025/02/22 17:54:38 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記

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「DUCATI SSの整備【73】SS800との乗り比べ印象記 http://cvw.jp/b/1333960/48560984/
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