• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

灸太郎くんのブログ一覧

2025年02月22日 イイね!

DUCATI SSの整備【23】M900純正フットペグ流用

DUCATI SSの整備【23】M900純正フットペグ流用







インジェクション化される前の900/750/400SSは、
四角く分厚い断面の”70~80年代日本車的”フットペグを採用していました。
86年頃、851やPASOあたりから一斉に装着され始めたもので、カジバ傘下入りを象徴するような量産車的デザインで、造りは良い。
alt
↑上の写真のペグホルダーは、SSの初期のものに採用されていたもので、これ以後の写真のもの(黒塗り仕上げ)とは若干異なります。
現車に装着されていたものですが油圧式ブレーキランプスイッチが故障していたので、後期機械式スイッチのものと丸ごと左右とも交換しました。
******************************************

余談】
80年代に入ったあたりから、イタリアに限らず欧州二輪車業界は、
ベベルギヤ駆動初代Vツインシリーズを終了させたドゥカティばかりでなく、ボクサーツインの生産打ち切りを予定していたBMWも同様、小規模生産前提の手工業的、半ば工芸品的な生産体制からの脱却期にありました。

とうに量産体制を確立していた70年代末期日本車は、
例えば大型車両は並列4気筒、中型車両は並列2気筒など、各社殆ど同じ形式の、横並びで新鮮味が薄いラインアップが完成。
今では国内で”絶版車”としての評価が高まっていますが、
当時それらを指して”UJM”=Universal Japanese Motorcycles
=どれとでも替わりが効く(=高機能安価でも、押しなべて涙滴型タンク、アップハンドル、厚手シートで性格付けが半端な)日本製モーターサイクル、と欧州市場で揶揄されながらも、
80年代初頭、折しも国内市場に空前の二輪ブーム到来で劇的変革期を迎えることとなる。

そんな革新期の日本車へのコンプレックスとでもいえそうな、(日本人たる青年期の筆者からすると)没個性量産車的マイルド風味のデザイン処理・製造工程変更が、ドゥカティ(セル始動後期MHR)やビモータ(SB4以降のデザイン使いまわし)、マランカ(水冷車種)といったマニア向け最右翼の存在にまで蔓延して、
このペグ周辺デザインは、迷走しているように感じられた当時のイタリアンデザインを象徴するようでした。
******************************************

実用面においては、このペグは足応えが柔らかく、左右に長めで、長距離走行には向いているかもしれませんが、
どこで踏んでいるかわかりづらく筆者の好みとは合わない上、ホルダー部分も含め見た目に軟弱で、安物アルミホイールのごとく裏返した方がカッコいい気がするほど(笑)
※実はかなり凝った造形です。

社外品キットあるいは自作品(準備中)に交換する前に、
よりソリッドでドゥカティらしい細身、かつブロックパターンが粗く滑りにくそうな、M900モンスター(初代)の純正フットペグの流用を考えてみました。

側面から見て、後方・下方に寄り過ぎているように思えるペグ位置を設定したメーカーの意図を確認したい、という欲求も大きい要素です。
******************************************

左がモンスター純正品、右がSS純正品です。大きさ(太さやボリューム感)がまるで違いますね。
alt
日本メーカーと比べ遥かに小規模生産ゆえ、できるだけ設計や工作の共通化を図っているに違いない、と考えて、手元の部品で仮合わせしてみると、

①可倒式の軸心ピン径が、SSは8mm、Mは6mm
②フットペグいちばん奥~可倒軸心間距離が、SSに比べてMは2mm少ない
③ペグの取り付け部(ピン穴)外幅が、SSに比べてMは約4mm少ない

ということは、

①→SS用ホルダー軸穴に肉厚1mmのカラーを入れる
②→SS用ホルダーの、ペグいちばん奥との接触する壁面に、2mm厚のスペーサーを取り付ける
③→M900ペグとホルダーとの間に入るスペーサー(2mm厚×2枚)を使用する

これらを対策すればボルトオンで装着出来そうです。
******************************************

alt
SS用・M用ペグの間にある、右側が①カラー(輪切りにして使用)、
左側が③ホルダーとペグの間に入るスペーサーです。

alt
②のスペーサーは上の建築金物(2mm厚、亜鉛めっき仕上げ鉄材)を素材に使用、
マーキングした位置で切断して穴も活用。切り口が錆びても下側になるので目立たないはず。

alt
大した精度は要らないので電気ドリルでホルダーに穴を開け、M4タップを立てる。
(写真のような目線で取り付けブラケット部との平行を立体的に意識して、ほぼ直角に穴あけ成功)

alt
M4皿ビス1本(ねじロック塗布)の取り付けだが、回転はブラケット間で自然と規制される。
ペグを踏めばスペーサーは壁面に押さえつけられるので、アルミ鋳造製ペグに対し摩耗しにくい鉄製ならばOK。
個体差などでペグが下向きになってしまう場合もシムを入れれば調整可能です。

alt
M用ペグは仕上げが粗く、可倒軸部分が金型の合わせ目で結構ずれていてブラケット幅にうまく収まらないので、やすりで段差を削る。

alt
元々のホルダー側穴にリターンスプリングを引っ掛けて組み付け完了。
可倒軸リターンスプリングも6mm径のM900用ピンとともに使用。
ピンは穴に通しやすいよう、先端に丸みをつけてあります。
ペグ前後のスペーサー位置を入れ替えれば、前後各2mm移動も可能です。

※当初は旧ドゥカティMHRと同様に、可倒軸のリターンスプリングなしで組んでみたのですが、
後退角が付いていることと、グリップが上がったせいで、踏みかえようとするたびにペグが靴底に付いて折りたたまれてしまい危険なので、かなり面倒な思いをしてリターンスプリングを組んだのが実際のところ。

可倒軸の抜け止めクリップを、SSのスナップリング留め(錆びやすい)から、Mと同じEリング(めっき仕上げ)に変更し、車体外側から差し込めるようホルダーを切削加工して出来上がり。
******************************************

遥かに軽快でスポーツ度が増して、見違えるほど好ましい雰囲気。
これぞスーパースポーツ!
跨って踏んでみると、細身で面圧が上がったことでのソリッド感向上と共に、
靴底へのペグのグリップは大幅に向上しました。

また、ペグが短くなり、必然的に車体内側に近い部分を踏むので、車体の挙動への影響度も変わったようです。


社外品と組み替える前に、純正品の潜在能力を掘り起こす改造も、地味ながらマニアとして追求する価値のある楽しみの一つと思います。
Posted at 2025/02/23 14:21:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年02月22日 イイね!

DUCATI SSの整備 【22】スロットルグリップ プログレッシブ化【追記あり】と作動性改善

DUCATI SSの整備 【22】スロットルグリップ プログレッシブ化【追記あり】と作動性改善
【追記】ジェットニードルが純正よりテーパーのきつい別物になっていたために、かなり吹け上がりが早いアグレッシブなトルク特性になっていたと考えられる。ご参考まで。

低速域、とくに全閉からの開けはじめが扱いづらく、一気に吹け上がろうとする、
つまり、開け始めが過剰にいわゆる”ハイスロ”的だったので、スロットルグリップ側のケーブル巻取り部を加工してみました。

巻き始め部分だけのプーリー外径を小さくすることで、全閉からの開け始めだけ、スロットルグリップ操作作動量(角度)に対するキャブレター側のバタフライの作動量(角度)を減らしてやります。
それ以降はメーカーオリジナルと変わりありません。
僅かでも小径化する分、操作トルクも小さくて済むはずで、交差点右左折時など、極低速域、微小開度の調整をし易くする目算です。

競技車両など、巻取り部を作動軸心から偏芯させ、積極的にプログレッシブ化(グリップ側開度が大きくなるにつれキャブレター側作動量の度合いが漸進的に大きくなるように)している場合もよくあります。
******************************************
●スロットルグリップのプログレッシブ加工
alt
上の写真、中央あたりの黒い樹脂の中央に白っぽい筋状に見える部分から上側
開け側ケーブルのタイコ取り付け部に近いほど深くなり、かつ明らかな変節点ができないように、
深さ1mmに満たない程度、半径比率では恐らく5%程度ですが、溝の底を折れた鋸歯や小型ヤスリの側面で掘り込んでやります。

なお、樹脂成形時の金型合わせ目ラインなどは削り、軸受に接触する部分は磨いて、
ホルダー内での摩擦抵抗をできるだけ減らすようにしてあります。

******************************************

●スロットルグリップホルダー内側の加工
alt
できるだけ滑らかに軽く動かせるよう、グリップホルダー側も手を入れています。
以前記したと思うのですが、写真を撮りそびれていたので、企業秘密ですが(笑)掲載しておきます。
光っている部分は、スロットルグリップの回転の”軸受”になる部分です。滑りが良くなるよう磨き上げてあります。
内壁部分スラスト面は、鋳物の面荒れや波打ちを平らに均すように、小型の平型細目ダイヤモンドやすり先端で面出しするように削ってあります。
可能ならフェルトバフや綿棒などを使い、研磨剤で磨けばなお良いと思います。
******************************************

【スロットル操作、不具合の我慢は禁物】
●スロットルグリップの動きに抵抗があると、乗っていて不快で疲れますし、右手に余計な力が必要でハンドリングにも影響が出ます。
いちばん具合が悪いのは、作動抵抗が大きいためにレスポンスが悪く感じ、さらに強く開けようとすることで、
開け始めの動き出しが唐突になり、結果として開け過ぎになって車体の挙動を乱してしまうことの危険性で、大排気量車ほどリスク大です。

操作して、「ゴリゴリ」「ザラザラ」「ギシギシ」といった感触があるのは要整備です。
特にスロットルグリップを捻って手を離した際、瞬時にパチンと戻らないのは論外、危険です。

ケーブルを外してグリップを回してみて、どこが抵抗になっているのかを特定し、
最低でもグリップ内側清掃、ケーブル含め各部給油脂とグリップ組み付け確認、ケーブル取り回し確認が必要です。ケーブルのホルダーへの固定が甘いだけでも動きが悪くなります。
以上全てに問題がある車両も珍しくないと思います。

●スロットルグリップホルダーを組み上げる際は、滑らかに動くかどうかを確認し、引っ掛かりや渋さがある場合はどこかに不具合があります。
最低でも作業前と同じレベルにならない場合は、取り回し経路も含め、再度各部を見直します。

●スロットルグリップの遊び(ケーブル(開け側)のたるみ)は、ハンドルを切っても回転が上がらない範囲でできるだけ詰めないと、素早い変速動作などリズミカルな操作はできるはずがありません。
但し、左右にハンドルを切った際にも挟まれたり引っ張られたりしないことも確認し、エンジン始動後もハンドルを切った際に吹け上がったりしないか、必ずチェックしてから試運転してください。

●当方は基本的に、スロットルグリップとハンドルバーの間は潤滑剤を使わないのですが、
当該車両はハンドルバーが塗装仕上げで表面も荒れているので、ドライファストルブ(テフロン粉末スプレー)を吹き付けておきました。
いつか予備のハンドルバー(垂れ角拡大加工済み)と合わせて、塗装剥離&研磨、暗色メッキ仕上げにしたいと思っています。
******************************************

全開までの開度が小さい、いわゆる”ハイスロットル”グリップは、操作開度の割りにいかにも吹け上がりが速くなり、スポーティな演出ができますが、安心して遠慮なく”開けていける”技量や車両状態が前提での話です。やせ我慢して使うものではありません。

今回の作業はほんのわずかな削り量ですが、一連の作業の効果は想像以上で、
冷間時のエンジン始動直後のファストアイドル維持(微小開度での精密操作)が非常にやりやすくなりました。

これら細かい調整作業の積み重ねがチューニング(調律、最適化)です。
スロットル操作の1mm以下、右手の加減でドライブチェーンの張り具合を感じ取って制御できるくらいの滑らかさを目指してください。
時間や手間をかけてツボを押さえた対処をすることで、扱いやすさ=運転操作の精度が変わってきます。

言い換えれば、操縦者の意思を愛車によどみなく伝えられているか?という問題です。
見た目は全く変わらなくても、安全や楽しさに直結する重大ポイントです。ぜひ試してみてください。


Posted at 2025/02/22 17:54:38 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年02月20日 イイね!

DUCATI SSの整備【21】強制開閉スロットルケーブルの組み付け

DUCATI SSの整備【21】強制開閉スロットルケーブルの組み付け
●ドゥカティSS/モンスターに標準装備のミクニ製BDSTキャブレターは、開け側と閉じ側に個別のケーブルを持つ強制開閉式で、二基のキャブレターの中間、狭く奥まったところにケーブルで操作するためのプーリーがあります。
純正キャブレター整備に当たり、いちばん厄介な作業が、スロットルケーブルの脱着と思います。

作業前に、アウターケーブルが折れ曲がったり破れているものは原則交換、最低でも補強補修。
インナーケーブルに曲がり癖があるものは、できるだけ修正。ほつれやささくれがあるものは引っ掛かると戻りが悪く危険なので交換します。
******************************************

【スロットルケーブルの取り回し】
組みつけてあるケーブルの取り回しを直すのは、最低でもグリップ側を再度取り外さないとできないので、組み付け前に、まずは取り回し経路を確認しておきましょう。
現車は以前FCRキャブレターが装着されていたので、ケーブル取り回しが全く異なっていてオリジナルの状態が判りません。試行錯誤しながら取り回しを考えました。

ハンドルを切った際、アンダーブラケットと、ステアリングヘッドパイプから左右下方に伸びるパイプの間に挟まれるので、安直にアンダーブラケット後方にケーブルやハーネスを通すことはできません。
alt
ケーブル類はできるだけ大きな半径を描くように取り回したいのですが、長さに余裕がありません。
そこで写真のように、スロットルケーブルを通しています。

ハンドルバーとメーターパネルの間から、アッパーブラケット下へ潜り、
ヘッドパイプ手前を横切り、隣の三角形の中へ通っていくのがスロットルケーブルです。
当方は純正ハンドルバーを一番低い位置でやや開き気味(純正バーは垂れ角が殆どない)にセットしていますが、ハンドルの高さによっても最適な経路が変わるかもしれません。

ケーブルが何かに引っ掛かったり挟まれたりしないよう、また、多少の長さのゆとりがあるようにハンドルを切って確認しながら最適の経路を探り、最大舵角も調整しました。

alt
写真はステアリングヘッドパイプを前方下から見たところですが、
左上から中央下に向けて弧を描く2本のケーブルがスロットルケーブルです。

ケーブルを挟んで2ヶ所のフレーム側ボスは充電レギュレータ取り付け部ですが、
レギュレータがケーブル取り回しを阻害します。
特に現車の場合、付属のブラケットを利用して大型の対策品(新電元製)に交換されているので、さらに不自然なケーブル取り回しになって非常に操作が重く(渋く)なってしまいます。
最優先すべきはよりスムーズなスロットル操作なので、レギュレータは配線を延長しない範囲で、熱のこもらない所へ(仮)移設しました。

現状、ケーブル取り回し由来の渋さは感じませんが、
リターンスプリングがかなり強いので、操作力自体は負圧式にしてはかなり重いです。
FCRの方が操作力は軽いのでは?
******************************************

【スロットルケーブルの組み付け】
手を入れにくい2基のキャブレターの間に装着しますが、調べてみたところ、車体前方から装着する分、後方から接続されるヤマハTRX850よりは整備性はまだましのようです。

★いうまでもなく、ケーブルは給油され軽く作動する必要があります。
単体で動きが渋い場合、まずパーツクリーナーや灯油で内部を洗浄した後、給油します。
できれば事前に反対側端部からオイルが出てくるまで給油し、そのままタテに吊るして余分なオイルを切ります。給油しても動きが渋い場合は交換します。
キャブレターをマニホールドに装着する前にケーブルを装着します。ケーブル反対側を地面に落下させないよう、先に車体に通して、インナーケーブルは自由に動けるようにしておきます。
ケーブル取り付けは、まずキャブレター側を先に装着します。スロットルグリップ側はキャブレター側の後で装着します。
★開け側と戻り側を間違えないように装着します。分解前に目印をつけておくと良いと思います。

何度か試した結果の手順ですが、作業中の写真はないので、なるべく平易に箇条書きで書いてみます。

キャブレター側のケーブル装着
①分解・組み付けの際はケーブルのアジャスト部はキャブ側、グリップ側とも目いっぱい遊びを作っておく
②ケーブルの通る向きや経路を間違えないよう留意し、先に戻り側ケーブルのタイコを取り付ける
③ケーブルブラケットにアジャスター部分を固定(遊びは最大に)
④開け側ケーブルのタイコを取り付け、アジャスター部分をブラケットに固定(遊びは最大に)
⑤ケーブルが装着出来たら、キャブレターをマニホールドに取り付けて、ケーブルとキャブレターの動作を確認
⑥この段階でケーブルの正しい取り回しを確認します。

******************************************
●スロットルグリップ側のケーブル装着
⑦スロットルグリップはハンドルバーに通しておく。落下させないよう注意。
⑧戻り側ケーブルをスロットルグリップ後側ホルダーを通して装着。内部ケーブルガイドからずれないよう注意
⑨開け側ケーブルをスロットルグリップ前側ホルダーを通して装着。先に取り付けた戻り側ケーブルが外れないよう留意しながら、ケーブルガイドにも注意。
⑩グリップホルダーを合わせたら、合わせボルトを仮留めした状態でケーブル、キャブレターバタフライが正しく作動するか、きちんと戻るか確認。
引っ掛かったり、異常に渋いなど、正しく動かない場合は何か組み付けが間違っているので、無理に動かさず一つずつ戻って組み直す。
⑪ハンドルバー円周方向、ケーブルの出る向きを確認し、スロットルグリップが軽く動く位置を探りつつ、合わせボルトを締め付ける
⑫開け側ケーブルの遊びを調整。アジャスター部分ねじの露出を多くすると遊びが詰まります。
⑬閉じ側ケーブルは精密な調整は不要。リターンスプリングによるスロットルの戻りに違和感がない前提で、多少遊びが多い状態の方が操作が軽く、扱いやすいです。

できるだけ分解・調整箇所は少なくして整備したいのは人情ですが、空冷SS/Mの純正キャブレターのケーブル、上記の手順でないとうまく組めないと思います。

*********************************
【余談】
昔親しんだ、MHRやF1のベルリッキ製スロットルホルダーは、ファンネル側からスロットルバルブを持ち上げてケーブルのテンションを抜いてやれば、分割部分から工具なしで分解組み付けができたのを思い出しました。反面同調が狂いやすく、一長一短ではあったのですが。

SSやMのミクニ製キャブレター、初めはかなりてこずると思いますが、あせらず時間を十分に取って、愛車とのコミュニケーションを深めるつもりでおこなってみてください。健闘を祈ります。
Posted at 2025/02/21 22:28:19 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年02月19日 イイね!

DUCATI SSの整備 【20】キャブレター(5)再分解整備

DUCATI SSの整備 【20】キャブレター(5)再分解整備いろいろと試行錯誤を続けていますが、
・エンジンの掛かりはよく、走らせても大きな問題はない
時折アイドリングが不調になり、アジャストスクリューで回転を上げて対処しようとする
・1200rpm以上に設定するとてきめんに回転の落ちが悪くなり、時折アイドル回転が上がる
・そうこうしているうちに、Oバンク側のプラグかぶりが発生する
というパターンから抜け切れていません。
*************************************************

●キャブレターリペアキット再購入
以前パッキン類とチェックバルブのみのセットを購入し、交換してみたのですが、
負圧作動スライドバルブに擦り傷が多かったのと、ダイヤフラム類の経年劣化(柔軟性低下)の可能性が気になりました。
そこで、同じ型式のキャブレターを使用する(但し細部仕様は異なる)ヤマハTRX/TDM850用の社外品セット(大陸製)のうち、
思いつく最大限のリペアパーツがセットになったものを選んで購入してみました。
フロートやスライドバルブAssyなど大物も入った1台分=2基分セットです。

点検の結果、今回実際に交換したのはスライドバルブ(ダイヤフラム付き)のみで、
残りの部品はスペアとして保管。
TRX用のジェットニードル/ニードルジェットやその他ジェット類も入っているので、
症状が落ち着いた後で異なる組み合わせも試してみたいと思います。
*************************************************

●バタフライバルブの座り微調整
以前の分解時、目視でアイドル時バタフライ開度を合わせたときに、メインボア(円筒)とバタフライ(円盤)の中心がそろっておらず、円周のすき間に違いがあるように見えました。
だとすればどちらかのバタフライバルブが閉じきっていないと考えられるので、
アイドリングも下がりきれず、正しく開度の同調も取れない可能性がある気がします。
alt
バタフライ固定ビスの頭をナメないよう、今回ドライバー(+、#2)を2本新調し万全を期した上で、
ビスをわずかに弛め、その状態でバタフライを開閉(少し開けた状態から手を離してばねの勢いでパチンと閉じる)を繰り返し、メインボアのセンターに落ち着かせることを試してみました。

※もともと+ドライバーをあまり信用していなかったのですが、今回先端の滑り止め処理がされたものを購入してみたところ、苦もなく弛めることができ、いい意味で驚きでした。

バタフライが開き始める時、メインボアとの間に皆既日食のコロナのように均等に後光がさすようになるのが理想です。
*************************************************

スターター(いわゆるチョーク)プランジャー分解点検
前回は最小限の手入れとして、メインボアやスライドバルブ、フロートチャンバー内、負圧室を点検清掃したので、
今回はキャブレター同士の連結を解除し、前回確認できなかった箇所も分解点検します。

スタータープランジャーはユニークな取り付け方・形状で、ボディ側の穴に外側になる抜け止めが引っ掛かるだけです。
alt

下の写真、左は清掃後、右は清掃前ですが、中央のニードル状の部分は、吹き返しがあるのかかなり汚れてカーボンのようなものが堆積固着していました。
光っている金属製の板は、回路を使わない時にメインボアにつながる通路を塞ぐフラップです。
alt
汚れがこびりついて盛り上がっていた先端のニードル部を真鍮ブラシで磨いてみたが、
どうやらこの部品は樹脂製のようで、磨いたことで傷付きや減寸していないか心配なところ。
今回は片方だけブラシ磨きにとどめました。
いざという時はヤマハから単品で取り寄せ可能ですが、1ヶ7000円くらい(!)します。
部品番号 3EN1410A01 です。ご参考まで。
******************************************

【エアカットバルブ分解点検】
エアカットバルブはスロットルオフの際のアフターファイヤー軽減とHC対策が目的らしく、
2系統あるスローエアジェットの一方を閉じる役目をする(=空燃比を濃くする)そうです。
alt
これもリペアパーツ一式にダイヤフラムと樹脂製カバー(それぞれ右側)、スプリングが含まれていましたが、
ダイヤフラムは折れ癖がついていて、樹脂製カバーは半透明で、純正品より肉厚が薄そうなので、
とりあえず破損していない従来の物を再利用しました。

★スロットルオフでミクスチャーを濃くする、ということは、スロットルオフ後の開け始めのレスポンスにも影響してくるのではないだろうか?

その昔、ライダースクラブ誌で根本氏の「ドゥカティは早めにダウンシフトすると、開け始めのレスポンスが悪くなる。エンジンブレーキなどをあてにせず、ギリギリまで我慢して最後のダウンシフトをすると良い」という記述があった。
当時は「吸入負圧が高まって、パイロットノズルなどから余計に吸い出されてしまうのだろう」くらいに考えていたのだが、この機能も一因かもしれない。

もしかするとあえて作動させないというチューニング手段もあるのかも?
alt

******************************************
【スライドバルブ/ダイヤフラムAssy 交換】
使っていた方(右)は摺動面が傷だらけで動きが悪そうなので、新しいものと交換しました。
ダイヤフラムも新しいものはより柔軟で、動き出しが滑らかになる気がします。
alt
混合気にもさらされ、潤滑できない部分ですが、少しでも摩擦抵抗と摩耗を減らしたいので、
ボディ側と双方にマイクロロンペーストを塗布してみました。
一見グリスのようですが、乾燥すると結晶状に固まるので、綿棒やティッシュでできるだけ薄く延ばします。厚塗りは禁物。

******************************************
【再組立】
特別な技術は要りませんが、バタフライバルブ軸の連結部分(同調調節部分)を噛み合わせつつ、各部のスペーサーを挟んで組み立てるのは、一筋縄ではいきません。
特に同調調節部のスプリングを飛ばさないよう注意が必要です。
燃料配管連結部はシリコングリスを薄く塗って、Oリングを変形・摩耗させないようにします。

ご覧のように、左右で線径の違うリターンスプリングがバタフライ軸に組み込まれています。
スライドバルブのように負圧で張り付くことはないので、弱い側のスプリングを抜いてしまうか、両方弱いものに交換したいですが、
気易くバラせる場所ではなく、部品も出ないと思われるので今回は手をつけません。
alt

******************************************
【アイドルアジャストスクリュー延長】
alt
ミクニTMR用ということで販売されている品で、これはお勧めです!
外部から容易に調整できるように、当初はFCR用社外品が使えないか調べてみたところ、
現車とケーヒンはねじのサイズが合わずに断念。
検索画像をいろいろチェックしていくうち、ねじ部寸法(M5細目 P0.5)はミクニ同士は共通では?と考え、
国産車純正部品流用を考えたが意外と高価だったので、割安なアフターマーケット品を入手。

ゆるみ止めスプリングも専用品に交換し、ケーブル長さもぴったりでした。
標準品スクリューの改造も考え、燃料ホースを被せて試したりしたのですが空回りしてしまい、
長いばねを溶接するなど本格加工は却って費用もかさみそうで断念。
******************************************

【試運転】
パイロットスクリューの戻し回転数、ヤマハTRXの場合、国産車らしく、1と1/2回転戻しらしい。
現車もひとまず以前よりリーンな、1と1/2戻しからスタートしてみるが、
始動後のアイドリングが全然続かないので、とりあえず2回転戻しとして再スタート。

いままでアイドルアジャストは右側前輪脇から身をかがめ、膝をついて下から覗き込んで作業する都合上、
いちいち安全な場所に停めなくてはならず、夜間は懐中電灯片手に奥まった位置を探っていたことが、いまさらながら馬鹿らしく思えるほどだ。
信号待ちで跨ったままでも調整できるのが非常に有難い。
なぜ初めからこうしておかないのかと理解に苦しむほどである。

交通量の少ない夜間、気温0度前後と非常に寒いので、ヒーターグリップを中程度に使用して走行するが、気温0度では焼け石に水の真逆(笑)で、指先までは効き目なし。
よくよく考えてみれば電力使用量はヒューズ定格以下なので、発電できていればこれが原因でエンジン不調は考えられない。

******************************************

走らせてみると、全体に軽やかで滑らかになった印象。まるで春が来たようだ(笑)

だが、舞台はいつもの夜間のテストコース、大体同じ距離を走ったところで不調再発。
いつものように減速後アイドルが下がらない、時折2000rpmあたりに上がるなどの症状と、
減速時のアフターファイヤーやツキが悪いなどプラグかぶりの症状がみられ、
吹かしていないと信号待ちもできない状況に…

いつもの照明が明るい広大なパチンコ屋駐車場(笑)でチェックしてみると、
今回もOバンク側がくすぶり気味になっている。
対するVバンク側は碍子あたりまで白くきれいに焼けていて、理由が判らない。
プラグを前後入れ替えると何事もなかったかの如く容易に再始動。
試運転を継続すると、とりあえず調子は復元(2気筒とも燃焼している)。

帰庫後、再度プラグチェックすると、やはり同じように両バンクとも焼けが変化している。
エンジンの調子は始動性も走行中も特に悪くはないので、
もしかするとミクスチャーや調整由来のものではないのかもしれない。

絶望的不調というわけでもないので、視野を広く、先入観を持たずに気長に原因を考えて対策してみたい。
Posted at 2025/02/20 20:30:47 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年02月19日 イイね!

DUCATI SSの整備 【19】最終減速比の変更

DUCATI SSの整備 【19】最終減速比の変更低速時、四つ角を曲がる際などの挙動が扱いにくく、足回りの設定やキャブレターの調整で対策を進めていますが、駆動系でも対策をして見ます。

ギヤ比が高く、右左折時ノッキングしかかりながら車体を押し出してしまうような状況になりがちで、エンジンストール→転倒のリスクが大きいだけでなく、
乾式多板クラッチにとって度重なる半クラッチ操作は歪み=ジャダー発生の一因になるので、
後輪側のスプロケットの歯数を増やし減速比を下げてみます。

現車はメーカーオリジナルの前15T/後37Tで組まれているので、手元の部品を使い15T/39Tに変更してみました(写真右側が39T)。

******************************************

作業は特筆することはありませんが、ホイールを外したついでにホイールベアリングを洗浄・給脂しました。
alt
困ったことに、ハブダンパー(クッシュドライブ)が一ヶ所破損したまま組まれていました。
左下がそれで、剥離した金属製スリーブを接着しようとしたのか、シリコン系シーラントを塗った痕跡があります。

抜き出して、他の中古ホイールから移植しようと思いましたが、はめ合いがきつく、ヒートガンで加熱し鉄棒とハンマーで叩いてもビクともしません。
誤ってハンマーで手を叩いてしまったので(大事には至らず)ひとまず中止。
残り5か所は健在(?)なので、後日やり方を考えて作業します。

汚れていたスプロケットキャリアも、特にスプロケット座面(汚れたまま組まれていた)をきれいに掃除します。
alt


************************************************************

組み付けてみました。デザイン的には以前のものの方が好ましいと思いますが、切り欠きが多い分軽快に見えます。
alt

【試運転の印象】
まだ走りこんでいないので結論には至りませんが、発進をはじめ、四つ角右左折時のスロットルワークが楽になった気がします。
劇的変化はありませんが、当然ながら全体にエンジン回転数が上がったのと、負荷が減ったせいか、走りも軽快さが増したように感じます。

今まで使っていた37Tのスプロケットは、後日4.5インチ幅リム/160-60タイヤを試す際に使ってみようと思います(外径が小さくなることで減速比が下がる分を補正するため)。

Posted at 2025/02/19 01:54:20 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記

プロフィール

「@パパンダ 黙っていても支持者から”配給”されるとは結構な”お大尽”のご身分で。稲は「勝手に生えて育つ」くらいのお考えかもしれませんね。」
何シテル?   05/20 14:18
灸太郎くん(キュウタロクン)です。 職業・思想・信条・立場など違えど 共通の話題で交流できるのは良いですね。 記述は残ることを意識しています。 ...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/2 >>

      1
23 45678
91011 1213 1415
16 1718 19 2021 22
23 24 25 2627 28 

リンク・クリップ

デーモンカー 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/03/04 10:02:12
熱意こそ原動力!セルフメイドGTO 
カテゴリ:改造
2023/09/16 17:45:53
 
人車共OH中 - サムライコンテッサ 現行エンジンを分析する! 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2020/06/16 18:52:16

愛車一覧

マツダ ユーノスロードスター マツダ ユーノスロードスター
第三期、またまたユーノス(笑) (新車当時、周囲では誰もロードスターとは呼びませんでした ...
ホンダ バモスホビオ 灸三郎くん (ホンダ バモスホビオ)
ステンレスたわし実験車 ”灸三郎くん” 号です♪ 慣れ親しんだアクティ一門の欲張りバージ ...
イタリアその他 その他 マランカ125 (イタリアその他 その他)
MALANCA ― 知る人ぞ知るイタリアの125ccスーパースポーツ、 マランカ125の ...
ヤマハ RD125-II ヤマハ RD125-II
2ストローク二気筒”リトルツイン”。自作Junkyard Special。 胸のすく吹け ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation