
以前、ご近所の腕達者にご試乗いただき「曲がらない」評を頂戴しておりましたが、
このところの試運転時の挙動(進行方向と並行する舗装の継ぎ目などでのパンク時のようなよろめくような反応)から、
センター部ばかりが擦り減ったタイヤプロファイルに大きな問題があるのではないか?と思い当たるようになり、交換を思い立ちました。
以前からサイズダウンを試してみたいと思い仕入れておいた、M400の中古ホイール・タイヤを装着してみます。
リム幅は4.5インチ、タイヤサイズは160/60-17。
プロファイルを比べてみると、センターの丸みがまるで違っています。
(左が160/60-17、右が使用中の180/55-17)
使用中のタイヤトレッド面を触ってみると、中央部分1/3程度と両外1/3ずつとの境目辺りに峰があるような減り方になっています。こりゃあダメだ(笑)
気になる外径の違いは摩耗の影響もあり、今履いている5.5インチ幅リム・180/55-17の組み合わせと比べ、実測半径で2~3mm程度の差なので、二次減速比(=チェーン・スプロケットサイズ)や前後車高調整はそのままと出来るのは嬉しい誤算。
※この時代(916系片持ちホイール支持車両以外)のドゥカティは、各車リヤホイール周辺寸法は共通(スプロケットオフセット量にバリエーションがあり)なので、アクスル径が合えばボルトオンで流用可能ですが、
その割に純正品を流用してのサイズ変更(特にサイズダウン)、ホイールスタイル変更の話をあまり聞かないのが不思議です。
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【余談】
筆者も経験がありますが、改造派は大幅な軽量化による変化を体感できて、見た目もいい社外品マグネシウムホイールに目が向いてしまうのだろうと思います。
但しレースで使用されているものを見てもわかるように、ホイールというものは特に脱着作業時に傷がつきやすく、マグネシウム製の場合はどうしても酸化(腐食)=強度低下の原因となるのと、
ベアリングやブレーキローター脱着などで傷めてしまう可能性もあり、タイヤ交換含めメインテナンスは知識と技術力のある経験豊富なショップ・工場に依頼するのがお勧めです。
見過ごされがちですが、スポーツ走行向けホイールは軽量化のためハブダンパーの容量が小さく(純正品との重量差はこの構造の違いも大きいと思われる)、
早い場合は数千キロ程度でもスプロケットにガタ(回転方向の)が出てくることがあるようです。
社外品ホイール購入の際は、専用ダンパーラバーのスペアを多めに確保されることをお勧めします。
マグネシウムホイールの走行中の破損の話は直接聞いたことはなく、軽さも感動的で走行性能への影響も大きいことは身をもって知っていますが、
今の筆者は部品レベルのコンディション維持にはあまり神経を使いたくないので、サイズ選択などの必然性がない限り、メーカー純正のアルミ製を使うつもりです。
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ちなみに今回使用するM400純正ホイールは、今まで使用していたものと同様、
スポーク部がマルケジーニ3Rスタイル(ブレンボ製造)のもの。
※少量販売されたらしいアフターマーケット品のアルミ製マルケジーニ3Rは、スプロケットハブ部分がマグネシウム製と同様の別構造になっていて、まったくの別物ですが、大して軽くないそうです。念のため。
キャブレター時代のSS/Mオリジナルのホイールは、ヤマハ初代FZR系と類似した、外周に近いほどスポーク部の横面積が大きくなるスタイルで、3次元に形状が変化していく翼断面スポークの凝ったものではあるのですが、
筆者はマルケジーニ3Rや初期マルビックのように、横から見て外周に近いほど細くなる方が好みで、メーカー曰く若干軽量なようです。
外周に近い部分の質量が小さければ、当然慣性モーメントも小さいし。
迂闊にも現物同士で重量を比較するのを忘れてしまいました。
同形状の手持ちスペアで測定したところ、
4.5インチ幅リム+160/60-17タイヤ=12.6㎏(ピレリディアブロ)
5.5インチ幅リム+180/55-17タイヤ=14㎏(今まで使用していたもの=ピレリエンジェル)
(いずれもブレーキローター(245mm径)含む)
その差は約1.4㎏。馬鹿にはできません。
タイヤ品種に違いはありますが同銘柄。摩耗はほぼ同程度。
【見た目の変化】
撮影アングルが違うので参考まで。チェーンとタイヤのクリアランスは明らかに違いますね。
上は交換前の180幅タイヤ、
下(タイトル写真と同じ)は交換後の160幅タイヤです。

見た目のボリューム感は、サイズ表示の差(2cm)だけとは思えないほど印象が違います。美は見る者の目に宿るといいますが、筆者としては細身の方がSSのキャラクターには合っているような気がします。
バイク全体が一回り小さくなった感じで、VTスパーダのように見えなくもない(笑)
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【装着後の変化】
ハンドリングの変化は、最初の四つ角を曲がる際にわかるほどです。比べればごく自然で、
やはりタイヤの摩耗がハンドリング(リーンの過渡特性)に大きく影響していたようです。
まだ攻め込むほど走り込んでいませんが、コーナリング時のリーンアングルは明らかに減っているようで、タイヤの接地跡をみても左右とも端の方の数センチは殆ど使われていません。
今までは体全体で曲がることを意識して先行動作を心掛けていましたが、
今度は特に意識しなくても浅い曲がりのカーブならばやり過ごせてしまう感じです。
ある意味面白みが減ったような気がしないでも無い(笑)
記憶の中の750F1(足回り大変更後)のハンドリングにかなり近づいたように感じます。
空気圧、前後車高やサスペンション設定など、いろいろ試して楽しみたいと思います。