1989年東京モーターショーの記憶、AZ550編

AZ-1の車検が完成して受け取りに行ってきました。ミニマムサイズ故に四隅まで手が届く感覚、自分の手足のような反応反射、レスポンス、非日常空間。何故こんなイギリスのバックヤードビルダーのキットカーみたいなのを大手メーカーが作れたのか？、不思議で仕方ない。


久しぶりに運転すると、発売から30年近く経過しても初めてAZ-1を運転した時の記憶が蘇ってきて胸が熱くなりました。


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30年前、軽自動車規格内でモスキート級ライトウエイト・スポーツを作ったらきっと最高だろうなと誰もが夢に描いて、でもそんなの絶対無理と思ってた時代。

1989年10月の東京モーターショーで、マツダAZ550sports（AZ-1プロト）とスズキ・カプチーノ（P89）が発表。



このとき、小さな宝石みたいなカプチーノとAZ550に一瞬で一目惚れ。もしこれが軽規格で路上を走れたらと想像するだけでワクワクした。とはいえ、クルマ好きの間ではいまいち話題にならなかったと思う。なぜならこの年は、あのホンダNSXプロト、日産フェアレディZ32、R32GT-R、マツダMX-5ミアータetc、が一挙に発表されて、免許取り立ての自分も含めてそちらに「超」大興奮。その日影になってしまい、いくら「夢の軽スポーツ」とはいえ市販前提かもわからない単なる絵に描いた餅でしかないショーモデルの注目度はあまり高くなかったし、とくにAZ550の3台はあまりに現実離れしててこのまま市販化されるとは思えなかった。

typeA




それでも、アルミスペースフレームに当時最強のアルトワークスの550ccインタークーラーターボをミッドシップ搭載してプラ外装を貼り付けてバリエーションを変えられる、僅か3.3ｍ×1.4ｍ車重600kgの極小スポーツプロトにワクワクさせられた。個人的にはとくにtypeCがギャグセンスを感じて好きだった。
typeB





AZ550もカプチーノも、各雑誌での試乗記も出て(イーヨーさんのブログより)、市販化を前提に開発してることもわかった。事態が急転したのはその1年半後。雑誌のスクープ記事でいよいよカプチーノが出るぞってテンション高まる中で、1991年5月、突如、まさかまさか不意打ちでホンダからビート発表。え？なんじゃこれは？凄いのが出たぞ。まさにバブル末期。

みんな予約に殺到して自分も予約しに行ったけど既に2年以上待ちで予約ストップしてると言われた笑。続いて1991年10月、スズキからカプチーノが発売。その完成度の高さ、ビートを見て鼻で笑ったというスズキ開発陣の本気度に納得しつつ速攻予約。そしてさらに翌年10月まさかのAZ-1発売、しかもほぼAZ550そのままの姿で。あの時の衝撃はほんとうに凄かった。（当時免許取り立て）
typeC





当時、オートザムのディーラーで試乗した時の感動は未だ鮮明に覚えている。写真で見る以上に小さく低い塊に乗り込み、殆ど地べたのような座面に座ってドアを引っ張りおろすと、強烈な閉所感で完全にレーシングカーに乗ってる気分。空いた環七をそろっとアクセルを踏んでひゅーんと一気に加速するとナンジャこれ！？速い！オモシレー！交差点をすっと曲がるだけで胸が熱くなる！


とはいえこの年はすでにバブル崩壊して不況へ一直線、街の空気が一変してスポーツカー？まだそんな浮ついたクルマ乗ってるの？みたいな汗。。荷物も積めずオープンすら味わえないクルマが売れるわけもなく。。その後3年もたたず僅か4400台でひっそりと販売終了。結局AZ-1市販化までに3年もかかってしまいその間にビートに世界初のミッドシップ軽という称号を奪われ、軽スポーツ市場も全部刈り尽くされて、AZ-1発売時にはすでに草も生えない状況だった訳で。

まあかくいう自分も結局新車でカプチーノを買ったんですけど笑、その選択は正しかったと今でも思う一方で、あまりにも短命なAZ-1にこの時の試乗で衝撃を受けて恋して、その後何度も買おうとした末の2012年、20年越しに恋愛成就です。カプチを手放して以降、ABCCの姿を見るたびに辛くて仕方ありませんでしたが…このピッコロカートに乗るだけで、何気ないいつもの道が、非日常的な道に変わる。


家族から売却しろって言われ続けてもうすぐ10年。懸案だった子どもの力で持ち上げることができず身体が挟まるドアも、今回ドアダンパーを交換してやっと軽々開くようになった汗。家族の売却圧力に屈せず理解を得るために、朝の娘の送迎もAZ-1でしてみたら嫌々ながらも送迎成功。なんとか市民権を得て維持していきたい。



作り上げた人達の夢と浪漫がぎっしり詰まってる奇跡のAZ-1、大切に乗り続けたいです。


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先々週の釣果