♪汚れちまった悲しみに、俺の青春も何ぼのもんじゃ~
この歌の元ネタが中原中也だと知ったのは、ごく最近のことでした(爆)
男塾が懐かしいあすかるです。
さてさて、BBSを装着してからずっと気になっていたフェンダーとタイヤのクリアランス。
「ミニバンだし、荷物とかたくさん人を乗せたら車高も下がるから、必要にして当然っしょ」
なんて設計されたんかもしれませんが、1年のうち数日しか多人数乗車や荷物を載せないあすかるにとっては、気になって仕方ない隙間です。
何とか隙間を縮めたいと悩んでいましたが、「車高調キット」と「ダウンサス」という、子羊を迷わす選択肢が2つ出てきます。
「予算もないし、ダウンサスでいいやろ」
「いやいや、あすかるよ。ダウンサスだと純正アブソーバーのへたりが早いと聞くぞ。しかもストローク量が不足して乗り心地も変わる(悪化)するそうじゃ」
「車高調買う金あったら、純正ショックなんかオークションで2回は買えまっせ」
「パーツだけ買っても、交換するのに工賃がかかるのじゃ」
「車高調のアブソーバーだって、いつかはヘタルじゃん」
などと、物欲天使と物欲悪魔が脳内抗争を繰り広げます。
そんな悩める日々を送っていたあすかるに、明るいニュースが飛び込んできました。
知り合いの車屋さんが「暇なときだったら、取り付けするよ。中古じゃなかったら持込でもいいし」と作業してくれる事に。
しかもネットを徘徊していたところ、現品処分の車高調を発見。
シャラン用では無かったのが悩ましいところでしたが、似たような車重で同じような使い方の車種用だったので、悩んだ末に購入しました。
この辺は2月末ごろの話です。
季節は流れて、桜も散った4月中旬。
車屋さんに電話してみると「しばらく、ちょっと忙しくなるねん。持込の取り付けは、しばらく待ってもらわんとアカンわ。夏前くらいかな。え?他の車用を買うたん。作業のときにパーツか合うのか調べたりせんとアカンかもな。あんまり外車は触ったことないし。急ぐんやったら、ディーラーとかで付けてもらえるんちゃうん」と、あまり歓迎されない様子です。季節が変わって、繁盛してるのかもしれません。
この記事は、そんなあすかるの「足回りくらい、まあ何とかなるやろ」と軽い気持ちでGWを利用して行った車高調取り付け作業記録です。
この情報を参考にして、ご自身で作業するのは自由ですが、下記のことをよく考えて実行してください。
・作業する車には個体差があります。また年式やグレード、仕様によって細部が異なるかもしれません。あすかるは、他の車のことは一切わかりませんので、自力で解決するスキルが必要です。
・作業中も、作業後の使用時も、危険を伴います。自信がなければ、プロに任せましょう。
・いじり壊し、不慮の破損もあります。「壊しても笑える」根性が無ければ、やめた方がいいです。
・記事(ブログ)を参考に作業を始めて、判らなかったり想定とおりに作業が進まなかっても、あすかるは一切関知しません。
・なんせDIY作業は「自己責任」です。
今回の作業で、あすかるは延べ17時間(1日目5時間、2日目8時間、3日目4時間)を費やしました。作業開始から片付けまでの総時間です。途中で体力的な面から10分以上の休憩を何度か取っています。
今回の作業で、新たに16mmと18mmが入ったメガネレンチセット、16mmのソケットコマ、ラチェット用の変換アダプタ(1/2sp→3/8sp)を購入しました。インパクトレンチ、電動ドリル、トルクレンチ、フロアジャッキ(2台)、ジャッキスタンド、スプリングコンプレッサーなどは元々持っていたので、買っていませんが、工具を買い揃えると結構な費用がかかります。
ショップに依頼した場合の工賃は、3万円~5万円くらいです。アライメント調整が必要ですが、これは工賃に含まれていたり別途の場合でも2万円~3万円程度です。DIY作業によって工賃は3万円程度浮きますが、休みを2~3日潰すので費用対効果は悪いと思います。(ショップだと1日で終わる作業です)。
とはいえ、持込を嫌がるショップもあるので、ネットで購入する価格差も考えると、ショップ購入・取り付けするより5万円以上は安くなるのかもしれません。
DIYで作業を始めて、成功するのも失敗するのも、作業者自身ですよ。
前置きはここまでにして、作業の様子です。
今回はフロントから作業しました。
まずは、サスペンションのアッパー部をボディに固定している3本のボルトを緩めます。
多くの車はボンネット開ければ簡単にアクセスできるんですが、ミニバン系はデザインの関係なのか、わかりにくい所にあったりします。
シャランの場合も、ワイパーアームの奥でチラッと見えてます。
ここにアクセスしようと思うと、ワイパーアームが邪魔っぽいので、まずはこいつを取り外します。

ワイパーアームの取り外しなんて、DIY作業の初級さ♪なんて余裕をぶっこいて、アームを固定しているナットを外します。
固定部分はナットだけで、あとはモーターから伸びているシャフトから抜いてやれば簡単に外れる・・・はずだったのですが、恐ろしく硬い!
プラハンで、しばきまわしてもダメ。もちろん5-56はビチョビチョになるまで塗りこみましたがダメ。ガッツリ喰いこんでます。
作業開始30分も経たずに、最初の断念です。
上からのアプローチに失敗したので、横から攻め込むことに方針変更。
まずは、こいつを剥がしてみます。

遮熱シートですが、クリップみたいなもので留まっているだけで、簡単に外せます。
遮熱シートをめくると、奥に鉄板が出てきますので、こいつを外します。
トルクス6本くらいでとまってますが、エンジン裏などは手が入りにくいです。

特に向かって右側はバッテリーやらエアクリボックスでスペースがないので、バッテリーケースの蓋をはずすことが必要でした。バッテリーやエアクリボックス自体は外さなくても作業可能です。

こんな感じで鉄板が外れると

こんな風に、アッパー部へ手を入れることができます。
こんな下準備に30分。
不安指数は20を超えました。
とはいえ、下準備が終わると一気に純正サスを外したいものです。
今回は、何も考えずに右前足から変えることにしました。
まずは、さっき作ったアッパーへのアクセス隙間から小型工具と手を突っ込んで、サスアッパーナットを外します。
今回は、この作業が後のどえらい事を誘発するとは知らず・・・(爆)
アッパーを外したら、いよいよタイヤホイールを外して、サスペンション一式さまとご対面です。

この状態にするまでに、純正状態の車高を計り忘れたので、楽しみな純正比マイナス○mmってのが分からないままになりました(泣)

サス取り外しの第一歩として、スタビを留めてる銀色のナットを外します。
(書いてる時点で一ヶ月以上前の話になるので、間違ってるかもしれません。)
今回の作業は「スプリングコンプレッサーは使わないぞ」って裏命題もあったのですが、そのために導入した新兵器。荷造りベルトです。

活躍を期待しての導入でしたが、まさかの「サスより長いやんけ!」というオチでした。
ベルトの長さが4mもあるので、20cmほどの締め上げには向いていないみたいです(笑)
とはいえ、ある程度予想していたので大きく落胆は無かったです。
この画像は、純正サスアッパーのマウント部が、どの向きで付いていたのか確認のためのものです。
DIY作業の時は、付け方で悩むこともあるので外す前に写真で記録することを勧めます。
お次の作業は、サス下部のナット外しです。

556とかの潤滑油をしっかりかければ、あまり力をかけなくても外れました。
ロアアームのナットを外してもサスは降りてこないので、いよいよハブボルトを抜きます。

普通は外すことなどないハブボルトですが、こんなサイズのソケットが要ります。

とりあえずはトルクレンチで攻めてみますが、まったく動かず。
50kgf/mなんて力で締まっているらしい。

仕方が無いので、2mガスパイプをトルクレンチのレバー部に被せて、力をふりしぼります。
トルクレンチが壊れなかったのが幸いですが、寿命は縮めてしまったと思います。

何とか外れたハブボルト。意外に長いですね。
緩んでしまえば、指で軽く回せるものです。

ちなみに、ハブを外さなくてもサスペンション取付状態でスプリングコンプレッサーが使えればフロントサスは抜けます。
とはいえ、うちのスプリングコンプレッサーでは車体側に干渉してしまうので作業できませんでした。
だからベルト買ったのに・・・

ロアアームをジャッキで支持しながらブレーキローター付近をコジコジすると・・・

こんな感じでハブ周りとドライブシャフト部が分離します。
運がいいと、この時点でアブソーバーとローター周りが分離するのですが、そんなラッキーは起きません。
分離したら、アブソーバー下部とローター周りを分離しないといけないのですが、便利な道具が売られています。
その名も「ストラットスプレッダー」!
おそらくディーラーなんかは、これで作業するんでしょう。
どんな工具なのかは、ネット検索してみて下さい。「へぇ~」って思う工具です。
でもDIY作業で1回しか使わない工具をいちいち買い揃えてられませんので、こんな道具で代用してみます。
トラクターの爪!
結果は、もちろんダメでした。
そもそもスリットに刺さらない(笑)
仕方が無いので、

木片をこんな風に加工して下から押す作戦にでますが、まったく届きません。
そもそもサスペンションがブラブラしてるうえにドラシャから分離したローターはフラフラしてるので力がかかりません。
最後の手段、こいつを打ち込みます。

長柄のついた農具を留めるための部品です。ホームセンターの農業コーナーに行けば、必ずある品です。
こいつをさっきの木片を当て木にして、ひたすら打ち込みます。
スリットが開いてきたら、楔を2枚重ねにして、さらに打ち込みます。
でも残念ながら、1日目の作業時間はここで時間切れです。
とりあえずハブボルトを元に戻して、作業を打ち切ります。
シャラン君はウマに片足支えられたまま一夜を過ごすことに・・・

本当に車高調はシャランに付くのでしょうか?
折れそうになる心を支えるために、ちょっとだけ箱を開けて中身を眺めたりします。
「明日こそはシャランに付くはず」
自分を励ますのも自分だけです。
DIY作業に少しの後悔を感じながら、初日の作業を終えました。