この記事は、
ダイハツ ハイゼット キャディー 発売、人の働きやすさを考えた新型軽商用車について書いています。
ダイハツ工業から軽商用車、ハイゼット キャディーがデビュー。名前はハイゼットの名前を持っているが、中身は乗用のウェイクがベース。これまでのハイゼット カーゴは今後も販売を続けていくそうだけど、キャディーの販売層はどのようなところに向けられているのだろうか。
ウェイク
ハイゼット キャディー
ハイゼット カーゴ
まずは外装の比較から。キャディーの外装は商用車として簡素化されていて、ヘッドランプがウェイクのNAグレード同じタイプになっているだけでなく、グリルもよりシンプルで平面な形状に変更されている。ピラーのブラックアウトもなくなり、メッキ装飾もドアグリップ以外は無塗装の黒に。全体的にギラギラしたところがなくなった分、タントのような柔和な印象になってきた。ちなみにキャディーはウェイクより全高が15mm高いが、最低地上高が10mm上がった影響なのでボディ自体は差がないと思われる。
またカーゴと比べると全長等のスリーサイズ、ホイールベースも殆ど同じなため全体的に現代化されただけにように見えるが、FFとキャブオーバーのFRでは荷室長に大きな差が出てくる。FFのキャディーは1310mmでカーゴは1860mm(共に2名乗車時)。
ウェイク
ハイゼット キャディー
ハイゼット カーゴ
次にリア側。フロントと同様にメッキ部分が無塗装黒に変わり、テールランプもクリアタイプから一般的なデザインのものに変更。
そしてカーゴと比べるとリアハッチの幅が狭くなるものの、開口部がしたの方まで伸びているため、重いものでも積みやすそう。サイドのスライドドアも同様で、開口部が縦長になっている分、観葉植物などが積みやすいメリットがある(ちなみに荷室高はキャディーとカーゴのハイルーフ仕様が同じ1235mm)。ここの差もやはり駆動方式の違いによるもので、ドライブシャフトの有無の影響が大きい。前面の衝突安全性の高さやウォークスルーをとればキャディー、積載性や積載時のトラクションをとればカーゴを選ぶようになるのだろう。
ウェイク
ハイゼット キャディー
ハイゼット カーゴ
続いてインパネ。ウェイクと比べると外装と同様にメッキパーツの削除とステアリングの変更くらいで差は少ない。エアコンのパネルもウェイクの下位グレードと同様の形状。
カーゴとはメーターの位置が全く違うので好みで別れるところ。ナビの見やすさや、ピラーの細さによる視界の良さはカーゴに軍配が上がる。
ウェイク
ハイゼット キャディー
ハイゼット カーゴ
そしてキャビン。商用車としては一番重要なところで、乗用ベースのキャディーと商用メインのカーゴとでかなり構造が違ってきている。
まず後席の有無。カーゴは全グレードが4人乗りだが、キャディーは2乗りのみ。カーゴはリアサス周りがフラットなジャストロー仕様。2列目シートを倒すとフラットな荷室になる。対するキャディーはジャストローではなく、2列目もフラットに繋がるようにパネルを配置。公式サイトによるとこのパネルは助手席後方アンダートランクと呼ばれていて、見た限りでは運転席側も取り外し可能なように見えるが運転席後ろにはスペアタイヤが設置されているため荷物は置けない。また、リアハッチ付近もパネルが設置されていて、アンダートランクとして使用が可能。
通常状態では2列目が低いカーゴと、ハッチ周りが低いキャディーとで対照的。ちなみにカーゴはリア内装が無いが、キャディーは全グレードに内装パネルが有り。軽商用車で内装パネルありは初採用とのこと。
ウェイク
ハイゼット キャディー
ハイゼット カーゴ
改めて3台で比べてみると、キャディーの強みはカーゴよりフロア高が低く、内装があるぶん静粛性が有利で、衝突回避支援システムのスマートアシスト2が装備されカラーリングも豊富。ウェイクと比べると後席がないぶん広く使え、価格も安い。特に商用車の中ではフロア高が低いことが最大のメリット。ただ、フルフラットで運用しようとするとカーゴより狭く、ウェイクよりも人が乗れないというデメリットがある。
フラット運用ではキャディーも後席を倒したウェイクもほぼ同等のスペースになり、ウェイクでのパンク修理剤からスペアタイヤに変わって運転席後は荷物が積めない。リアハッチ付近のアンダートランクも2列目とは繋がっていないので、せっかくフロア高が低くてもあまり有効活用出来ないかもしれない。カーゴとバリエーションを比較すると、あちらはルートバンやデッキバン、福祉車両やMTの設定もある。最大積載量も150kgとカーゴより200kg少なく、ミラカーゴよりも50kg少ない。ウェイクやカーゴと比べてキャディーじゃないと出来ないことというのは、あまりないのかもしれない。ウェイクと比べて安くなった価格も、バン登録により車検の回数が増えてしまえばメリットも少ない。
まとめてみるとキャディーはウェイクの後席をとった商用車ということなのだけれども、元々あった後席をとるというのは、ストリームRSTやモビリオスパイク、ノアYY、ミラージュXYVYXなどがあった。RSTは運動性能の向上のため、スパイクやYYはカーゴスペースの拡大として、XYVYXは更にリアガラスを鉄板で埋め、自由なクリエイティブスペースで活用してくださいという謎コンセプトで、キャディーの場合はスパイクに近いコンセプトになる。スパイクはフリードスパイクとして今でも売られているし、YYも初代ノアから2代目までの間まで売られていた。ちょっと中途半端に思えても、乗用ベースでもカーゴとしての使い勝手を求める人は結構いるはず。
ダイハツ売れ筋のタントの上級車種として作られたウェイク。上級という意味ではタントエグゼの後継とも言えるけれど、あまり売れ行きはよくないらしい。今回のキャディーもウェイクの採算を取るための発売という噂もある。結局のところキャディーは併売され続けるカーゴの代わりになる車ではないけど、激戦区となっている軽自動車市場でバリエーションが増えるのは良いこと。フロアの低いカーゴとしては初めての車なので、今後他社も追従していけばパイオニアとして成長していくかもしれない。
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ニューモデルレポート | クルマ
Posted at
2016/06/15 13:56:05