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　デトロイトのモーターショウでレクサスの新型LSが初公開された。トヨタとしては他にも新型カムリなども発表されたけれど、その中でLSのデザインは一際目立つルックスになっていた。

　初代LSはスタンダードなセダンスタイル。ボンネット、キャビン、トランクがそれぞれ独立した3ボックスでありながら、それぞれに厚みを持たせることでマッチョの雰囲気を持たせていた。また、当時のFRセダンとしてはフロントオーバーハングが短く、全体としてかっちりした作りはベンツに近い雰囲気。レクサスブランドのフラッグシップとして海外市場に殴り込んだ初代はベンツやBMWなどに大きな影響を与えたらしい。


初代


2代目


3代目


現行型(ロングボディ仕様)

　初代以降から現行型まで、一貫としてこのスタイルを維持してきたけど新型は大きく違っていた。Aピラーを大きく傾斜させ、同じく寝かせたリアウィンドウをトランク後端まで引っ張ったデザインに改められた。いわゆるクーペとしてのキャラクターが与えられ、走りを意識した方向性へと変革されたということになる。


新型LS

　これまでのLSは威厳のある顔つきを持たせるためにボンネットが高かった。新型は逆に低いボンネットにし、ホイールアーチからボンネットまでの厚さをかなり薄めに押さえている。Aピラーも大きく傾斜させることでノーズを長く見せ、ベルトラインも徐々に持ち上がっていく形状からコークボトルラインのような抑揚のある形に変更。リアウィンドウも寝かせて4ドアクーペのような出で立ちに。
　さらに気になったのは運転席の位置。ホイールベースの中心からやや後側になるまで下げられたように見える。昔のフェアレディZのようなスポーツカーと同じ座席位置に変わってくると、見た目の印象だけではなく乗り味もかなり変わってきそうだ。

　トヨタの高級車はベンツとBMWのどちらに似ているかと言えば、ベンツの方が近い。ベンツは質実剛健なクオリティで、ゆったりできる後席が主役。逆にBMWは同じく高級でありながらも運転の楽しさを重視したドライビングカーとして言われることが多い。
　初代LS（セルシオ）と日産の初代シーマもこの関係に似ていて、スポーティーな新型LSと現行型シーマと見比べてみると、方向性は近くなってきているように見える。またベンツやBMWも今は4ドアクーペスタイルのセダンを用意し、ポルシェもパナメーラのようなクーペを販売している。世界的にスーパーカーをセダンにしたようなタイプの車が流行ってきているのは間違いない。


初代シーマ


現行シーマ


メルセデス・ベンツ CLS


BMW グランクーペ


ポルシェ パナメーラ




　初代デビュー当初は各社に影響を与えたLSも、シーマや海外の高級車の影響を受けてきている。以前から新型LSはLC500のような雰囲気になると聞いていたけどここまでとは。エンジンも初めてV8をやめてV6ターボにダウンサイジング。ここまで変わってくると、これまでのユーザーから受け入れられるか不安に思えてくるところはあるけれど、他社と競合していくために新しい要素を取り入れていくことは面白い。

　あと、新型LSを2ドアクーペにしたようなLC500も期待。エンジンはV8とV6ハイブリッドの二種類で、FスポーツとしてLSと同じV6ターボも用意されるかも。
　エンジンを共有するセダンとクーペの関係は今までのLSとSCの関係と同じ。LC500は初代SCに近いフォルムで個人的に好みだ。