
近所では彼岸花の旬は過ぎつつありますが,それでもこの妖艶さは,他の花に見ることができません.
日陰で咲くこの花は,まるで地平線近くで妖しく光る赤い月のようです.
ということで,今回のブログは,カーライフネタならぬ,Kalafinaネタ第三弾です.
Kalafinaの曲・歌詞にはよく「月」が登場します.
古来東西を問わず,かぐや姫から狼男まで,月には神秘的なイメージが付きまとっています.
そんな現実とも幻とも区別がつかない空間を漂うイメージがKalafinaにはぴったりな気がしますが,彼女らのセカンドアルバムのタイトル,そしてその一曲目が,"red moon"です.
赤い月,じっと見ているだけで,なんだか魔法にかかった気分になりませんか?
最近のアルバムでは明るく爽やかな曲も多くなっていますが,初期のKalafinaは,どちらかというとこのような暗く重いイメージが先行します.
で"red moon"ですが,この曲を聴いてみると,Kalafinaの特徴が如実に表れている気がします.
・コーラスの魔法
Kalafinaは基本的に,高音のWakana,Hikaruを低音のKeikoが支えるという図式ですが,この支え方(?)が,よくある二重唱とは少し異なっています.
二人(三人)が同じ歌詞を歌う部分でも,意識的にそこに微妙なズレを埋め込んでいるのです.
たとえば↑の動画の1:45付近,「赤い月の涙 静かな音楽」と歌う部分で,
Wakanaは,「月の」と「涙」の間に区切りを置いて,「月の,なみだ…」のように歌っています.
ところが同じ個所でKeikoは明確に区切ることなく,「月のなみーだ…」のように歌います.
このような時間的な音のズレによってコーラスに深みが増し,聴く方も受け身にならず,次はどのような音が来るのか,と能動的な聴き方になります.
これはごく一部の例ですが,このような魔法が至るところに仕掛けられています.
・Hikaruの魔法
おーでぃーえいさんから指摘されて気付いたことですが,Kalafinaは,相性抜群のWakanaとKeiko(この二人で完成していると言っても過言ではない?)にHikaruが加わることで,さらに幅が広がっています.
Hikaruは単なる高音担当というだけでなく,その幅広い音質,表現技法などで,Kalafina全体をさらに味わい深いユニットに昇華させています.
動画の1:10からの「恋に落ちて痛みを知り…」と,2:06からの「君の声が呼んでくれたから…」
Hikaruの,このような歌い分けによって,他の二人もさらに自分の領域を深めることができて,結果的に三人の魅力の単純合計以上のものが得られているように思います.
・梶浦語の魔法
梶浦語とは,Kalafinaのプロデューサ梶浦由記さんが創造した言葉で,その曲の雰囲気をどこの言語でもない,感性の音で表現したものですが,この曲でもこの梶浦語が効果的に使われています.
歌の最終部,動画の5:39付近から,梶浦語の三重唱が始まりますが,この意味の無い言葉を聴いていると,生きることの苦しみが,心に直接響いてくる気がします.
そしてその苦しみにもだえる私たちを,赤い月がじっと見守っている...
またこれを表現する三人の歌い方が実に素晴らしい.
無機質に淡々と語りかけるHikaru,天上の聖母のようなWakana,そして圧巻は,魂の底から心を揺さぶるKeiko.
このKeikoを聴くだけでも,この曲の価値があると思うのは,私だけ?
ブログ一覧 |
音楽 | 音楽/映画/テレビ
Posted at
2013/10/01 17:31:32