
先月末にはスーパームーンが話題になっていましたが、それから2週間近くが経って、超満月も三日月に変身しています.
先日の朝、東の空を見上げると、その三日月と金星の競演が見られました.
ギリシア神話では、月は狩猟の女神アルテミス(ローマ神話ではダイアナ)、金星は美の女神アフロディテ(同ビーナス)として知られていますが、日本の神話ではどうでしょう?
日本書紀では、月は月読命(ツクヨミ)、金星は天津甕星(アマツミカボシ)とされています.
ツクヨミは、アマテラスやスサノオの兄弟神としてある程度は名が知られていますが、アマツミカボシって今ひとつ知名度が低い気がします.
アマツミカボシは、天香香背男(アメノカガセオ)などの別名を持っていますが、日本書紀では反逆する神として表現されています.
この反逆神を服従させるために、鹿島神宮のタケミカヅチ,香取神宮のフツヌシは建葉槌命(タケハヅチ、別名倭文神)を遣わしたのだとか.
大空で輝くアマツミカボシを見かけて、久し振りに彼ににご挨拶したくなりました.
早速、茨城県大甕(おおみか)に鎮座する、大甕倭文神社にお出かけ〜♪
昨日は小雨が時々ぱらつく天気でカメラには気を遣いましたが、しっとりした雰囲気も良いものです.
駐車場から短い石段を上って鳥居をくぐると、まずは狛犬がお出迎え.
この拝殿の後ろに,タケハヅチによって巨岩(宿魂石)に封じ込められたアメノカガセオが祀られています.
表向きはタケハヅチが主祀神とされていますが、
出雲大社や諏訪大社等にある通り、普通は封じ込められた神様が暴れ出さないようにお祀りするものです.
実際はどうなのでしょうね.
(答えはCMの後?)
奥宮へ至る参道脇には天神様や
稲荷明神もいらっしゃいますが、
まるで幽閉した囚人が脱獄するのを見張る番人のようです.
参道と言いながら実際は、ちょっとしたロッククライミング.
鎖が必要なのもうなづけます.
その先には巨岩と、それを押さえつけるようにお社が鎮座しています.
車が行き交う国道のすぐ脇に、こんな自然と人工の造形が見られるなんて、不思議な気がしますが、これこそが日本の特色なのでしょう.
岩に根付く木もありますが、一体どこから養分を採っているのでしょうね.
自然に感謝しながら、ご挨拶.
国道を挟んだ反対側には祖霊社があって、氏子の祖霊が祀られていますが、
元々はひとつの場所にあった施設を大きな道路で分断したりして、何か作為を感じます.
参道も、素直に真っ直ぐに造れば良いものをあえてジグザグに.見た目だけの問題でしょうか.
私が数十年前に初めて訪問したときには最初にお参りした拝殿と奥宮しか無かったのですが、今では国道脇に立派な鳥居が立ち、
新しい拝殿もできています.
元から立派な拝殿があり老朽化したわけでもないのに何故新しい拝殿を造ったのか、不思議だったのでご朱印をいただいた神職に尋ねたところ、とても良い話をうかがいました.
先に書いた通り、日本書紀にはアメノカガセオは反逆神として表現されていますが、地元では彼を決して悪い神様とは見なしてこなかった、逆に地元を治める慕うべき神様であったというのです.
こんな不遇をかこうアメノカガセオのために、十年ほど前に、新しく拝殿を造ったのだそうです.
天神様や平将門、諏訪の神様の例を上げるまでもなく、こんな話は至る所にあります.
征服する側から見るか、征服された側から見るか、物事には必ず二面性があるということですね.
中央がどう言おうと地元には地元の考えがある!
こんな話をうかがうと、全国の不遇の神様も応援したくなります.
実に清々しい気持ちで、神社を後にしました.
これだから神社巡りは止められません!
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Posted at
2015/10/12 06:19:48