
頑張って早起きした休日の朝.
家族を起こさないようにそっと起きだし,身支度を整える.
まだ薄暗い東の空には,明けの明星が輝き,吐く息が白い.
富士の山頂にはすでに冠雪が見られるが,まさかその麓の路上に積雪はあるまい.

※ 画像はイメージです.
さて今日も,朝食前に一丁気合い入れていってみるか.
ひとつ深く息を吐いたのち,ドアノブに手を触れる.
身体をいつものポジションに滑り込ませると,
伸ばした手の先には,必要なものがごく自然にそこにある.
よし,いつも通りだ.
これでテンションも一気に高まるというもの.
さて一週間ぶりの休日の朝,お楽しみの始まりだ!
ひと通りの準備が終わったら,おもむろにパワーオン.
昔は押して回したものだが,最近はスイッチを押すだけのものが主流となった.
これはこれで良いのだろうが,時折昔の操作を懐かしく感じる.
それはとにかく,点火の音で一瞬興奮するものの,気を静めてハンドルを握り直す.
手のひらにしっくりとなじむ感触,いつ見ても秀逸なデザインだ.
見るだけでもうっとりしてしまうが,いつまでも見とれているわけにもゆかない.
道具も身体も次第に温まり,いつもの快適な操作フィーリングがよみがえる.
操作とともに腕の動きも滑らかになり,手首の微妙な動きにも的確な反応がある,うーん,最高!
今日はどんな仕上がりになるのか,良い予感しかない.
いつも思うのですが,工業製品というのはその機能が実現できればいいというものではありません.
常にユーザ視点から,これが使われる状況,使われ方を吟味する必要があります.
角度,太さ,厚み,丸み等々,機能を実現するために徹底的にこだわってこその工業デザイナだと思っています.
見た目はオーソドックスでも,細部にわたって徹底的に検討されていれば,それが長期間使われ続けることにつながるのではないでしょうか.
最近出会ったこの道具,上記の条件を完全に満たしていて,これからも長く使い続けることでしょう.
おっと,この素敵な相棒をきちんと紹介しなきゃ.
じゃん!
バタービーター Designed by 柳宗理
実際に使ってみると,
食材への押しつけ具合,差し込み具合,手首の動きに伴う返し具合....
その官能的ともいえる使い勝手に,もうメロメロです.
フライ返し部の先端が薄くなっていたり,曲げ部分が複数の曲げ工程による複合Rとなっていたり,力が集中する部分は補強されていたり,
調理という最終目的に向かって,すべてのデザインが収束しているように感じられます.
パッと見,何の変哲もないフライ返しですが,廉価品とは一線を画しているのは明らかです.
工業製品かくあるべし,の見本と言っても過言ではないでしょう.
見た目はオーソドックスでも細かいこだわりがあり,魅惑の使い勝手でずっと使い続けたい道具....

Posted at 2020/11/04 21:29:54 | |
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