
陸上自衛隊が導入する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、政府が平成31年度の佐賀空港(佐賀市)配備を打ち出してから、22日で丸2年となった。佐賀県の山口祥義知事は受け入れ「白紙」を強調しており、計画は足踏みが続く。元在沖縄米海兵隊政務外交部次長のロバート・D・エルドリッヂ氏は産経新聞の取材に応じ、オスプレイが持つ優位性を強調し、早期配備への期待感を示した。(奥原慎平)
感情論ではなく科学的議論を
6年間、海兵隊政務外交部次長として、沖縄で(米軍)基地と地域コミュニティーの交流に力を注ぎ、基地反対派に対処してきました。
沖縄には県外から「プロフェッショナル市民」ともいえる(反基地の)活動家が入っています。活動家が地元の感情を扇動し、混乱の原因となっています。
個人的には仲井真弘多・前沖縄県知事が、米軍普天間飛行場の移設などで、もっと明確なリーダーシップを発揮すればよかったと思います。
山口知事は、計画への賛否を明らかにしていないようですが、曖昧なリーダーシップでは佐賀県も、沖縄と同じ状況になりかねません。
公共政策に携わる人間は、感情論ではなく、事実に基づいて科学的に議論する必要があります。
例えば、オスプレイは墜落の危険性が高いと反対派は訴えます。
ならば、ここにいる私はゴースト(幽霊)でしょうか。数え切れないほどオスプレイに乗りましたよ。平成24年に普天間基地にオスプレイが配備されて以降、事故はゼロです。
事故率の高さを言いはやし、オスプレイを「ウィドウ・メーカー(未亡人製造機)」と呼ぶ人もいます。これは20年前の開発段階での話です。
もちろん、事故がゼロだという保証はできませんが、ゼロに近づけることが大事なのです。知事や佐賀市長はぜひ、普天間飛行場のオスプレイに試乗して、事故率の低さを体感してほしい。
抑止力という概念
防衛省内で佐賀空港配備を決めた経緯はわかりません。ただ陸自西部方面隊は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む南西諸島などの離島を守らないといけない。有事の際、オスプレイならば速く、どこにでも降りられる。
自国の防衛に必要な配備をなぜ断ろうとするのか、不思議です。配備反対派は「軍事基地ができれば敵国の標的になる」と口にしますが、抑止力という概念はないのでしょうか。思想で動いている人もいるでしょうが、思想のために日本を人質にしないでほしい。
中国が尖閣諸島を奪えば、次は沖縄、九州…。日本、そして国際社会が打撃を受けます。
日本は一国平和主義を卒業したと思いますが、仮に配備反対が決まれば、自分さえ、地域さえ、日本さえよければいいという考え方を認めることになります。
国防にかかわる判断には、国民の安全を担い、民主主義国家と協調する観点が必要でしょう。
防衛のための音が「騒音」とは
平成23年の東日本大震災の時に、オスプレイは日本国内に配備されていませんでした。沖縄の米軍基地から輸送ヘリCH46が被災地に向かった。到着にどのくらいかかったと思いますか。3日ですよ。速度が遅い上、空中給油ができない。オスプレイならば、数時間で到着したでしょう。
今年4月の熊本地震では、オスプレイが支援物資輸送に使われました。一部メディアは「政治利用だ」と批判しました。政治利用でよいのではないでしょうか。速く、搭載量も多いというオスプレイの魅力が分かるでしょう。
佐賀空港を見ましたが、広大な土地が広がり、周辺に民家などはありません。オスプレイの運用上、素晴らしい空港だと思います。
オスプレイは離陸の瞬間、エンジン2基が下を向くので騒音がありますが、上空で固定翼モードに転換した後は、地上に音は届きません。
そもそも米国には「sound of freedom(自由の音)」という言葉があります。命をかけて国を守る軍隊に敬意を払って掲げる言葉です。自国の防衛のための音が「騒音」だとはおかしくありませんか。
ちなみに平成26年10月、和歌山県の南紀白浜空港での災害対応訓練で米海兵隊のオスプレイを2機使いました。反対運動もあったようですが、何百人何千人も、オスプレイを見ようと詰めかけた。佐賀空港に配備されると、オスプレイ見たさに空港の無料駐車場は満杯になるかもしれませんね。
:産経新聞
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2016/07/23 16:34:44