
湖南省株洲市内で4月3日、工場が爆発した。爆発発生後、工場関係者はいずれも姿を消した。警察が調べたところ、同工場では覚醒剤(かくせいざい)のエフェドリンを、密造していたことが分かった。警察は5月31日、関係者全員の身柄を拘束した。同爆発で、死傷者は伝えられていない。株洲メディアネットなどが報じた。
現場は古くて、比較的小規模な工場が集まる、株洲市石峰区の清水塘地区。工場1室で爆発が発生、続いて炎上した。工場内部にいた人は、次々に外に逃げた。警察は経営者の番号を突き止めたが、電源が切られていたという。
火が消し止められてからも、経営者を含め、工場関係者は1人も戻ってこなかった。異常を感じた警察が工場内の遺留物を調べたところ、覚醒剤として用いられる、エフェドリン30キログラムとエフェドリン合成の中間生成物300キログラムが見つかった。エフェドリン合成の原料は30トンあったという。
エフェドリンは、それ自体が覚醒剤として用いられるが、エフェドリンをさらに加工して作る、メタンフェタミンは中国で、「氷毒(ビンドゥー)」と呼ばれ、覚醒剤の中でも、特に多く出回っているとされる。
警察は5月30日になり、同工場に関係しているとみられる者、8人が同省湘潭市に集結していることを発見。翌31日に、摘発の最もよいチャンスと判断して全員の身柄を拘束した。警察は最終的に計9人の身柄を拘束した。関連しているグループ全員の身柄を拘束したという。
グループのリーダーは、「名門大学」の卒業生で、就職したがすぐに独立して苗木販売の事業を起こした。一時は資産総額が1000万元(約1億3600万円)以上になるなど成功していたが、投資に失敗。再起のために覚醒剤密造を思い立ったという。
爆発した工場は首謀者が、建物所有者に、「ペンキを製造する」と説明して借りていた。エフェドリンを合成する際には、特徴的な刺激臭が出るが、周囲には施設の古い工場が集まっているので、悪臭にまぎれてだれも気づかなかったという。
首謀者は益陽、湘潭、株洲など湖南省内の4カ所で覚醒剤を密造していた。密造開始は2013年10月で、これまでに福建省に向けて300キログラムを密売していたという。
工場所在地の石峰区公安分局で、薬物乱用取り締まりを担当する李志勇警官は、「工場が爆発しなければ、覚醒剤密造の発見はかなり遅れたかもしれない」との考えを示した。あってはならない工場爆発だが、今回だけは皮肉にも「社会に貢献」したことになる。
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◆解説◆
6月26日は国際麻薬乱用撲滅デーで、中国では毎年、薬物乱用防止に関連するニュースが目立って増える。警察による容疑者全員の身柄拘束は5月31日だったが、中国メディアは6月25日ごろから同事件の報道を始めた。警察が国際麻薬乱用撲滅デーを意識して、情報を抑えていいた可能性もある。(編集担当:如月隼人) サーチナ 2014-06-27 17:45
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2018/08/02 16:47:15