
日本で世界初のインスタントラーメンが発売されたのは1958年の8月25日、カップ麺が発売されたのは1971年の9月18日だ。間もなく45歳の誕生日を迎えるカップ麺は今や、世界に名だたるインスタントフードとなった。中でも、中国人の旅行食として揺るぎない地位を獲得しているのである。
中国では、寝台列車でも高速鉄道でも、多くの乗客の腹を満たすのは、カップ麺である。中国人のカップ麺好きはしばしばわれわれの想像を超えるのだが、それはカップ麺に太刀打ちできる美味しい車内食が提供されていない現状の裏返しとも言える。中国メディア・中国証券報は13日、この点について「食の大国」のプライド感をもって指摘する記事を掲載した。
記事は、中国料理が世界的に有名であり「その歓迎ぶりは、日本料理の比ではない」とする一方で、中国の高速鉄道では「食べ物が日本に完敗している。これには正直、大いに考えさせられる」と説明。「おもしろい現象」として、カップ麺発祥の地である日本では新幹線でカップ麺を食べる人が少ないのに、中国では車内に強烈なニオイがただようほど当たり前の光景になっていることを紹介した。
そのうえで、「値段も安くない上に美味しくない」との悪評飛び交う中国高速鉄道の弁当について「消費ニーズは強烈なのに、限定的かつ貧弱な供給体制が足を引っ張っている」と指摘。食べ物を求める客がたくさんいる中で、市価の数倍という法外な値段で料理を提供する中国国内の空港と同様の状況であると論じた。
消費者のニーズから完全に乖離した状況を脱し、安心かつ楽しい食品を提供するための手段として記事は、現在の独占経営状態を改め、日本のように多くの製造業者が良質な製品を提供するべく競争する体制を導入すべきであるとの見解を示した。そうすれば「価格も下がり、バリエーションも豊富となり、消費量も自ずと増え、利益も出る」としている。
記事は最後に「わが民族は世界で最も食に長けた民族であるはず。なのに高速鉄道の弁当が日本にかなわないというのは、歴史や伝統に対して申し訳ないのである」とし、食の大国にふさわしい弁当の数々が出現してくることに期待を寄せた。
中国高速鉄道の弁当は、しばしば日本の駅弁と対比して語られる。長い歴史によって重厚な文化を形成してきた日本の駅弁にちょっとやそっとで比肩しうるとは到底思えない。「日本との対決」ばかりを意識していては、いつまでたっても日本の駅弁文化を超えることはできないはずだ。まずは、乗客に対するサービスアップという出発点から、「改革」を進めるべきである。
ところで、「中国の鉄道でカップ麺を食べる」というのはもはや1つの文化と捉えることもできる。ならばいっそのこと、高速鉄道限定、ご当地限定のカップ麺、ニオイの少ないカップ麺の開発など、その文化をさらに伸ばしていく方向に考えてもよいのではないだろうか。カップ麺だって、弁当同様立派な食文化の1つなのだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF) :サーチナ
Posted at 2016/08/19 16:25:47 | |
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