
中国メディアの中国青年報は19日付で「日本はすでに、ひそかに宇宙軍事強国になっていた」との見出しの論説を掲載した。米フォーブス誌の報道を受け、日本を強く警戒する主張を展開した。
日本が1968年に初めて国会を通過させた宇宙基本法では、「宇宙開発は平和利用に限定される」と表明していたと紹介。しかし2008年の改正では、宇宙開発と安全保障を絡め、12年には宇宙航空研究開発機構法から「平和目的に限定」の1文を削除したと指摘した。
論説はさらに、「日本は『平和利用』、『技術検証』、『受け身の防衛』などの名義で偵察衛星、ナビゲーションシステム、通信システムなどの、宇宙の軍事利用体系を向上させてきた」と論じた。
日本が宇宙関連の技術を蓄積する大きな理由として「自衛隊を全地球に派遣するため」、その背景には米国との軍事同盟の強化があると主張した。日本が唱える「地域の脅威」などについては、「宇宙における軍事運用能力」を向上させる口実にするための「虚構」と決めつけた。
なお、同論説は日本の「宇宙の軍事利用」を加速したのは安倍政権と説明。しかし、新・宇宙基本法や宇宙航空研究開発機構法の改正は民主党政権時に成立した。また、安全保障などを目的とする情報収集衛星を初めて打ち上げた2003年は小泉内閣時だ。
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◆解説◆
日本でも、集団的自衛権を巡る法整備などでは、安倍政権に対する批判の声も大きい。しかし中国は、自らが核兵器、大陸間弾道ミサイルを保有し、通常兵力でも、陸・海・空・宇宙の連携を向上させると公言している。その一方で、日本の軍事力の向上には、極めて神経質に反応する。
多くの日本人にとって「納得できない矛盾」だと考えられるが、中国の主張の背景には「世界観」の問題があると言ってよい。中国はしばしば、現在の「国際秩序は第二次世界大戦の結果として確立された」と主張する。つまり日本やドイツは同大戦の敗戦国として、国際秩序の面で戦勝国に従わねばならないとの論理だ。
もちろん、同大戦を戦ったのは「中華民国」だが、中国は1949年成立の中華人民共和国が中華民国の後継国家として戦勝国の権利を引き継いだと主張している。1971年に国連に加盟し安保理常任理事国になったのも、国際社会が中華人民共和国を「戦勝国である中国の正統政府」と認めた証拠のひとつとしている。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C) Mykhaylo Palinchak /123RF.COM)
:サーチナ 2015-06-23 07:33
Posted at 2017/03/22 16:36:41 | |
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