
中国では生鮮食品のネット通販が人気を高めている。「世界147カ国からお届け」などと豪語する業者もある。しかし中国メディアの新京報によると、多くの業者は輸入業を営む資格がない。さらに食品の偽装もあるという。
業者の1つは、「ニュージーランド、チリ、オーストラリア、米国など147の国で特産の生鮮食材を選んでいます」と主張し、「中間マージンなしで、全世界の季節の品をお客様宅にお届け」などと派手に謳っている。
中国では、輸出入が許可制だ。しかし新京報が調査したところ、上記業者には輸出入業務を行う資格がない。電話取材を試みたが、切られてしまったという。
新京報によると、上記業者に委託され、食材を輸入している加工業者があった。同業者は輸入の資格を持ち、輸入した冷凍サーモンを小売用にパッケージ化して、通販業者に引き渡している。
同業者によると、販売価格や表示は、通販業者が決めるので自らは関与しない。また「冷凍保存」と「チルド保存」では食味が大きく異なる。「素人には区別できないんですが、玄人は冷凍保存のものは、食べませんよ」という。
ところが新京報によると、同加工業者が扱った品を扱う通販のサイトで「チルドもの」のサーモンは販売されているが「冷凍もの」は存在しないという。
ステーキ肉にも問題がある。「オーストラリアから直輸入」として販売されている激安ステーキ肉の多くが、いわゆる「成型肉」という。くず肉や内臓肉に軟化剤や結着剤を加えて圧力をかけて作る「ステーキ肉に見える肉」だ。
日本でも「成型肉」は、定められた範囲内で食品添加物を使用し、「本物の肉」などと偽らないかぎり合法的であり、実際に流通している。中国の場合には、あたかも「本物の肉」であるように宣伝し、さらに牛肉以外の肉を混ぜる場合も多い。問題視された肉を検査したところ「牛肉由来成分ゼロ」の「牛ステーキ肉」と確認されたこともあったという。(編集担当:如月隼人)
**********
◆解説◆
外国産の食材への関心の背景には、自国産の食材の安全性を信用できない深刻な環境汚染の問題がある。さらに、下水などで採取した廃油を精錬して食用油として販売する「下水油」など偽装や偽造の問題も多い。
しかし上記記事によれば、「海外産食材」にも安心できない状況だ。経済成長のおかげで、多くの中国人が豊かになった。しかし生活は、脅かされている。
また、本当に豊かになった人はやはり一部分だ。中国では2014年末時点で、「基本的な生存条件を満たすことのできない収入しかない」と定義される「絶対貧困」の状態にある人が約7017万人との統計がある。
金持ちになっても安心できず、貧困者も多い。2012年に失脚した中国共産党重慶市委員会の薄熙来書記は、文化大革命期を称讃する大衆運動を発動して、政権を狙ったとされる。注目したいのは、薄書記の呼びかけに多くの人が呼応したことだ。「動乱の10年」と呼ばれる文革期を「あのころはよかった」と懐かしむ中国人は、意外に多い。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
:サーチナ 2015-12-02 09:45
Posted at 2017/04/06 04:47:23 | |
トラックバック(0) | 趣味