
中国で半導体製造の、国産化推進に一段と、拍車がかかっていく見通しだ。2014年に発表された、「国家IC産業発展推進ガイドライン」以来、国内で使用する半導体の70%を国産で賄おうという構想を進めているが、先ごろ、通信機器メーカー中興通訊(ZTE)に対する、米国の制裁措置が発表され、ZTEの存続に係る危機を目の当たりにし、半導体自給率向上に一段と力が入ってきそうだ。中国の株式市場では関連銘柄が、相次いで急騰するなど、政府の方針を歓迎するムードが高まっている。
ZTEが、イランや北朝鮮に対し、通信機器を違法に輸出していたとして米国商務省から、米国企業による製品販売を、7年間禁止するという措置を、発表されたのが4月16日。ZTEが製造に使用している米国企業の製品の割合は25%-30%に達するとみられ、今回の措置は、同社の経営に深刻な打撃になるとみられている。ZTEの株式売買は4月17日から売買停止。米商務省の発表を受け、ZTEに製品供給をしている、米国企業の株価が急落するなどの混乱があった。ZTEは19日に発表を予定していた、18年第1四半期の決算発表を延期。同社に取引禁止令が与える影響を精査中としている。その内容を発表するまで、同社株の売買は停止が続くことになる。
一方、中国市場では4月18日の午後には、ハイテク関連株が急伸。上海市場に上場する半導体装置メーカーの、吉林華微電子とスーパーコンピュータ大手の、曙光信息産業がそろってストップ高し、LED基盤・チップ中国最大手の三安光電が4.0%高で引けた。深セン上場の半導体関連株にもストップ高が相次いでいる。米商務省の措置に対し、中国商務省は「ZTE問題で必要な措置を講じる準備がある」と発表しており、市場では「当局は半導体など基幹エレクトロニクス部品の国産化を急ぐ」という見方が高まったようだ。
中国の半導体消費は、2017年に世界全体の38%を占めたと推計され、2022年にはこれが43%に拡大するとみられる、世界最大の消費地だ。米アップル社のiPhoneを製造するFoxconnなどハイテク機器の、大手組立メーカーが巨大な工場を持っていることなどが背景。この半導体のうち、中国の国産品は13%程度とみられている。中国政府は「国家IC産業発展推進ガイドライン」の発表以来、国産半導体の生産に注力。政府が主導して約4600億人民元(約7.8兆円)規模の投資ファンドを作って半導体製造工場の増設を急いでいる。2018年後半から新工場が稼働し、「2020年に国産化比率40%、2022年に70%」を目標にしている。
中国の巨大な、半導体製造設備投資は、半導体製造装置メーカー等には当面の収益機会としてポジティブに捉えられているものの、あまりにも急速な工場設置によって、半導体の需給バランスが崩れ、半導体価格の暴落に、つながりかねないという懸念の声も強い。特に、「対米政策」の一つとして浮上した、「ZTE問題」がどのような政策展開に結びつくものか? まずは、関連企業の株価急騰という反応を示したものの、19日になって株価は気迷い。巨大産業の行方が政治のさじ加減一つで、大きく左右されかねない不安も感じさせている。(イメージ写真提供:123RF) サーチナ 2018-04-19 11:42
Posted at 2018/07/06 21:45:01 | |
トラックバック(0) | 趣味