
東京・下町の路地を、ふらふらと散策していると、大都会にあるとは思えないほどの、ゆったりとした空気の流れを感じることがある。中国人観光客には賑やかな、観光地を好むイメージを抱きがちだが、「下町の街並み」に、日本の魅力を感じる中国人もいるようだ。
中国メディア・人民網は21日、日本は「伝統と現代との衝突で、出来上がった国である」とする記事を掲載した。記事では、中国人民大学の金融系研究員を務める作者が、日本を訪れた際の印象を綴った。そのなかで作者は、「日本の旅で最も心ひかれたのは、清水寺の古い色香や桜の絢爛さではなく、東京にある「小さな路地」であった」としている。
作者によると、世界で最もせわしない、大都市東京に「これほど伝統的なゆったりとした生活リズムの、エリアが残っていることを、想像だにしなかった」とのだという。
そのうえで、日本が7世紀には中国、19世紀には西洋の文明による、強烈な衝撃に遭遇し、そこから覚醒、奮起して「外部の衝撃を内部の動力に変え」てきたと説明。「日本人は非常に学ぶことに長けている民族である」とし、日本の街や公共スペースが清潔である理由の1つとして、幕末に米海軍によって持ち込まれた、「コレラ」が大流行したトピックを紹介した。この疫病に衝撃を受けた日本は「西洋医学」を解禁、これに伴い公共衛生の概念も、西洋から持ち込まれ、明治政府による「医療体制改革」につながったというのだ。
また、大規模な都市開発が進むなかで、日本が旧来の住宅街を残したり復活させたりできた理由として、「もともと社会末端の自己組織能力が比較的強く、米軍占領期間に行われた制度作りによって、さらに日本の末端民衆の政治参加力が上昇した」と説明。住民たちの意思が「街づくり」に大きな役割を果たしたとの見解を示した。
さらに、今流行のキーワードである、「匠の精神」についても言及。「匠」の精緻さは、日常生活の中に普遍的に存在してこそ、各種産業において極められることが可能であるとし、「匠の精神」とは「道徳の産物であり、体制の産物でもある」と論じている。そして最後に「中国は日本を侮ってはならない。日本の姿に、自らを反省し、改め、向上させるべきなのである」と締めくくった。
日本に存在する、文化や食べ物の多くは、外国からやってきたものであることは間違いない。しかし、日本に残っている「舶来物」のほとんどは「日本風」にアレンジされたものなのだ。日本の生活や風土になじまなかったものは、根付かずに廃れていくのである。そこで発揮される力というのが、よりいいもの、使いやすいものに作りかえようという、「匠の精神」だ。中国では今、「匠の精神」の醸成が国の方針として示されているが、スローガンや掛け声だけでは決して育まれないのである。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF) サーチナ 2016-04-23 10:51
Posted at 2018/07/19 07:25:28 | |
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