
今年1月から始まった、「 洋ゴミ禁止令 」によって、紙の原材料となる、古紙に品薄感が強まり、中国の古紙相場が、高値圏で推移している。すでに国際パルプ相場は、2017年下半期から上昇トレンドに入り、累計の値上がり率は、50%近くに拡大した。古紙の価格は、足もとでトン当たり3400人民元(約5万5000円)の高値をつけている。中国では、ネット通販の拡大によって「配送用のダンボール」に品薄感が強まっている。古紙不足がダンボール価格の上昇を一段と押し上げそうだ。
「洋ゴミ禁止令」とは、2017年12月31日を最後に、環境負荷の大きな4分類24種類の、輸入廃棄物を全面禁止した措置を指す。この1分類に「未選別古紙」があった。この後、18年3月1日に導入された海外古紙輸入の品質条件は、「混入物0.5%(改定前は1.5%)」という、世界的にみても厳格な条件に設定されている。不純物とは、廃木材、廃金属、廃ガラス、廃プラスチック、廃棄ゴム、廃棄吸着剤、壁紙、蝋が塗られた紙、パラフィン紙、カーボン紙など。
この結果、今年1~7月の古紙輸入量は、前年同期比で50%減少し、853万トンにまで落ち込んだ。固体廃棄物の輸入削減、混入物の削減などの影響を受け、今後の輸入枠減少は必至だ。業界の予想では、中国の古紙輸入は19年と20年に、25%以上ずつ減少する見込みという。
中国の紙需要は、大きく伸びてきているが、1人当たりの消費量は77.7kg(2016年)。日本の208.7kg、米国の218.6kgなどと比較すると、3分の1程度の量なので、これからも需要が拡大することは明らか。ただ、古紙回収率は、世界平均が58.6%、日本は79.9%、米国が66.9%のところ、中国は46.7%とリサイクルが遅れている。その分、海外からの古紙輸入によって生産量で世界一(世界シェア27.1%)の原料としてきた。その古紙輸入を制限することで、中国の製紙業界のコストアップは深刻になっている。
中国では、段ボール価格をはじめとした、製紙業界の値上げラッシュが続いている。現在のところ、トイレットペーパーやキッチンペーパー、紙ナプキンなどの生活用紙の、価格に目立った価格の上昇はないようだが、製紙業界での段ボール生産シフトが進んでおり、生活用紙の値上がりに波及する恐れがある。「洋ゴミ禁止令」は、中国の環境保全意識の、高まりに呼応して採用された。今後は、中国国民がリサイクルの意識を強くするなど、生活意識の改革が求められるようになるだろう。(イメージ写真提供:123RF) サーチナ 2018-09-12 07:12
Posted at 2018/09/14 09:40:39 | |
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