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イイね!
2007年12月08日

FFフロントミッドシップ

FFフロントミッドシップ ちょっと忙しくて、久々のブログです。
サーキットやジムカーナネタは無いので、クルマに関する独り言など。

新しいアウディA4の試乗記などが出回りつつあって、中々の出来らしい。
しかも、重量配分を改善した新しい縦置きFFレイアウトによる走行性能の改善はそれはそれは素晴らしいらしい。

ほんとかよ、という気がします。

思えば、1989年。
初代レクサスLS(=セルシオ)マツダMX-5(=ユーノス・ロードスター)R32GT-Rがデビューし日本車のビンテージイヤーと呼ばれたこの年、ホンダから画期的なFF車が登場したのでした。

直列5気筒エンジンの縦置きフロントミッドシップ。

バブル後半の当時、売れに売れて笑いが止まらなかった車種は「ハイソカー」。その代表は今は亡きトヨタのマークⅡ3兄弟でした。当時販売が低迷していたホンダでは「ハイソカー」らしいクルマを出すことができず、苦汁をなめていたと推測します。なぜなら、横置きFFでは「ハイソカー」のプロポーションを成立させることが不可能だから。ローバーと共同開発して話題となった初代レジェンドも、好きモノのあいだでは話題になったものの、クラウンやセドリック/グロリアの市場に食い込むことは出来ませんでした。マイナーチェンジで演歌調の顔つきに整形し、ウイングターボという飛び道具を導入しても、それは変えられませんでした。

そこで考えたのが、ハイソカーのプロポーションをFFで成立させる方法。
それが「FFフロントミッドシップ」でした。

FFフロントミッドシップレイアウトを導入した初代インスパイアと標準アコードの兄弟車から出世してインスパイアの兄弟となったビガーは、FRよりずっとFRっぽいプロポーションで、後のBMWE36型3シリーズより短い(あるいは短く見える)フロントオーバーハングと低いノーズを実現しています。

当時のプレスリリースにも、
「気持の良い走り。ダイナミズムと優美さをたたえたフォルム。従来の上級小型車の世界とは一線を画する新世代のパーソナルな4ドア・ハードトップ」
と謳われていたので「打倒マークⅡ3兄弟」が狙いだったことは明白です。
ちなみに、FFに拘った(拘らざるを得なかった)理由は、恐らくは生産設備の都合でしょう。FRを大量生産できる生産設備があれば、メンドウなことをせずにどこかのサプライヤーからミッションとデフを調達して成立させることも可能だったと思われます。

ところで、当時はインターネットが無かったのでほとんど知られることの無かったホンダのプレスリリースには、プロポーションと同時に前60後40の「FFとして理想的な」重量配分が謳われていたことも要注目です。当時の雑誌の記事では「前輪荷重が少なくてトラクション不足」という評価が大半でした。しかし、前60後40の重量配分であればそんなに酷い状態ではないはずで、昨今の巨大なミニバン、例えばアルファード辺りよりフロント寄りの重量配分のはず。それらに対してトラクション不足が指摘されることは無いのにFFフロントミッドシップが酷評された理由は、恐らくは見た目の印象と「発進時のラフなアクセルワークでタイヤが鳴いた」という主観での評価によるのでしょうね。

そんなわけでプレリュードからステップアップする「ハイソカー」として、商業的にはそれなりの成功を収めたインスパイア/ビガーでしたが、評論家による「走り」の評価はイマイチだったのでした。

時は流れて今年。
アウディA4の登場です。

色々と理由をくっつけてはいるものの、メルセデスやBMWのようなプロポーションを実現させる為の手段としてレイアウトを見直したという点では、ホンダのFFフロントミッドシップと同様と考えて良いでしょう。その結果、前輪荷重も減っているのですが、20年近く経つとFFでも重量配分を「50:50」に近付けることが「正義」に昇格するようです。ホンダのFFフロントミッドシップを「前輪荷重が少なくてトラクション不足」と評価した雑誌も前後バランスの良さを絶賛していますから。

まぁ、画像を見ればおわかりの通り、ホンダは完全なフロントミッドですがアウディは駆動系のレイアウト変更のみなので、フロントオーバーハングは多少重いはずではあるけれど...

もちろん、トラクションコントロール機能を含むVSCが標準化されたことにより新しいアウディのレイアウトのネガが見え難くなったことも良い評価を得ている理由でしょうが、評論家は誰も疑問視していないのが不思議です。ホンダFFフロントミッドシップを引き合いに出している例も見たことが無いので完全に忘れ去られているのでしょうかね... 寂しいですね...。
個人的には、ラファーガ(って覚えてます??)を借りて乗った時に案外悪く無いじゃないのと感心したくらいなので、当時から前輪荷重不足という指摘を疑問視していました。JTCCはラファーガで出ると良いんじゃないの?? なんて思っていたくらいですから。

この画像でもうひとつ注目したいのは、パワートレーンの長さです。
クワトロ対応のミッション後端部を除いても、アウディのV6の方が直列5気筒のホンダより明らかに長いことがわかります。ホンダのV6の場合は直5よりもっと短いので、空間効率としてもFFフロントミッドシップは中々良かったとも言えそうです。そんな視点で見ると、例えばACURAブランド向けのパワートレーンとして使い続けても良かったのではないか、なんて考えてしまいます。
これをベースにSH-AWD化していれば、メルセデスやBMWのようなプロポーションのレジェンドが出来たはずで、ビジネスとして成功していた可能性もあったはずだし。

そういえば、20年前の「ハイソカー」みたいな4ドアクーペが欧州で流行しそうな気配です。4ドアハードトップを散々けなしていた欧州志向の自動車雑誌がどのように反応するのか、ちょっと楽しみです。

ちなみに、RX-8より狭いんじゃないかと思われるリアシートを備えるメルセデスCLSは「十分な居住性を確保している」と評価されているので、大体予想は出来るけど...

ブログ一覧 | クルマに関する独り言 | クルマ
Posted at 2007/12/08 21:03:21

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この記事へのコメント

2007年12月8日 23:43
>FFフロントミッドシップレイアウト
うん、エンジンがフロントタイヤに乗ってますね。 FFで6:4のバランスが実際どう影響するのかイマイチ分かりませんが、18年前に現在のタイヤがあれば評価も違っていたかもしれませんね。

このG20Aっていう5気筒エンジンは不思議ですね。 馬力は流石ホンダですが、あえてSOHCヘッドにショートストローク。 ホンダの意図は・・・と妄想するのも楽しいです。 後にG25Aっていうスクエアなエンジンが出ていましたね。
コメントへの返答
2007年12月10日 22:00
このG20Aですが、この頃のホンダで唯一の正回転エンジンでもありました。

> ホンダの意図は・・・

SOHCヘッドはコストの都合、ショートストロークは2.5リッターも想定したボアピッチだったからではなかろうかと...

改めてこれを見ると、タイヤが良くなってVSCが標準化されれば案外イケそうな気もします。
やめちゃったの勿体無かったと思いますねぇ。
2008年12月22日 15:42
初めまして。

このクルマが登場した当時のカタログを今でも持っていますけど、カッコのためにあえて無茶なことをしたことは理解できても、なぜ、後輪駆動にしなかったのかが、個人的に謎です(苦笑)。 後々、FRをつくるわけですし、ましてやレジェンドの後輪駆動化を今頃、考えているくらいですから。

ホンダのいい加減さは今に始まったことではありませんが、日本の評論界のいい加減さも今も昔も変わりませんね(汗)。 
コメントへの返答
2008年12月28日 0:39
> なぜ、後輪駆動にしなかったのか

単純に生産設備の都合だと思いますよ。次期レジェンド/ACURA RLがFRで計画されているのは、寄居新工場がFRの量産に対応しているからではないでしょうか。

また、後輪駆動のセダンは未経験ですから、実験データは皆無なわけで、ゼロからの開発はコスト高という側面もあったと推測します。
2012年8月15日 16:06
はじめまして。
スバル車の重心について調べていたらこちらのページに来てしまいました。

この世代(CB5/CC2・3)のインスパイアに乗っていました。
トラクションの絶対的な不足は残念ながら事実です。
普段は急発進時や、降雨時以外にその弱さはあまり感じませんが、
速いペースでタイトコーナーを抜ける際には、
アクセルオン時にあからさまなトラクションの抜けを感じました。
また、如実にわかるのが凍結路…正直トラウマになるくらいの弱さでした。
これは多少タイヤを変更しても根本的な改善となる所ではなく、
どう考えてもメカニカルグリップの不足というか、
無茶な設計による欠陥としか思えないシロモノでした。
しかしながら、日常域でそれが露呈する事もなかったのか、セールスは堅調だったと思います。

とはいえ、縦置き故に小回りがよく効きましたし、
トラクション不足というデメリットを補って余りある程の魅力あるエンジンフィールと、
雰囲気の良いインテリアだった事が印象深いです。
ちなみに、同様のレイアウトを採っていたレジェンド(KA7)にも乗っていましたが、
これは幾分マシでしたが、同様に凍結路は苦手だった事を思い出します。
確か重量配分としては65:35くらいではなかったかと記憶しています。
その代わり、高級車とは思えないくらいよく走るクルマでもありました。

いずれも体力がなかった当時のホンダ(90年のどん底付近ですね)が出来る最良の手法で、
それなりによい車を開発したと思いますが、フェルディナンド・ピエヒ氏が来日の際、
アコードインスパイアに乗り、数回ハンドルを切ったまま急発進と急制動を繰り返した後、
『分かった』といってその場を後にしたという事から、
エンジニアリングの純粋な視点から見ると、
やはり及第点にも届かず…といった所だったのでしょうか。
コメントへの返答
2012年8月15日 19:53
はじめまして。

>フェルディナンド・ピエヒ氏が来日の際、
>アコードインスパイアに乗り、数回ハンド
>ルを切ったまま急発進と急制動を繰り返
>した後、『分かった』といってその場を後に
>した

これ、CGかNAVIだったと思いますが、このブログはそれに対する嫌味です。
ピエヒのアウディが、前軸荷重の少ないFFにしちゃったのはどういうことよ、という訳です。

ホンダではNGを出したのに、アウディだと問題なしということは無いはずなので、ピエヒの「わかった」は、実は「ウチもこれにしよう」であって、20年後に近いものがようやく実現した、と考えるべきでしょう。

また、初代ルノー5や、シトロエンDSとID、あるいはトラクションアヴァンは、エンジンの前にミッションがある完全なフロントミットシップのFFです。これらがトラクション不足で全然ダメという雑誌の記事はあるでしょうか??

ちなみに、現在の足車はV70のDRIVeですが、これの重量配分は前57後43。でも、トラクションコントロールのお陰で、悪条件でも問題なく走れます。

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