くらんだのブログ一覧

新しいレガシィが発表されました。

少し前のブログに書いた北米仕様とは、フェンダーやバンパーの処理が異なるので幾分シャープな印象になっているものの、前モデルまでのレガシィとは全く異なる印象のデザインですね。路上で実物を見ると印象が違うのかもしれませんが、僕の目には写真映えのしないデザインに見えます。以前取り上げたエクシーガのデザインとダブって見えるのは、近い時期にデザインされたからでしょうか。

三栄書房の「新型レガシィのすべて」なんて雑誌によると、開発陣の狙いは「レガシィとは、快適で実用的なクルマであるべき」で「普通のお客さんが普通に乗るクルマ」とのこと。そこで、実用性を重視したパッケージングありきで成立させたようです。

それだけを聞くと、なるほどそうなのかと納得してしまいそうですが...

だったら、トヨタからカムリのプラットフォームを調達してボディ違いの兄弟車を作れば良かったのではないでしょうか。「普通の人が普通に乗る」実用車には、水平対向エンジンのシンメトリカルAWDは不要というか、過剰なメカニズムです。エンジン横置きのFFとそれベースのオンディマンドAWDで普通の人にとっては十分でしょう。

スバルは普通の顧客に買ってもらってマーケットを広げたいのでしょうが、その回答が実用性重視というのは「ハズレ」という気がしてなりません。

スバルのアイディンティティである水平対向エンジンは「低重心で走りが良いこと」を売りにしています。よって、それを採用している以上、スバルは走行性能を前面に出さざるを得ないのが宿命でしょう。すなわち、「普通の人が普通に乗る」クルマにはなり得ないことを悟るべきです。スバルは良くも悪くも水平対向エンジンを搭載したシンメトリカルAWDなのだから、クルマに対して何らかの拘りがあったり、拘りのある人から薦められたりして選択されているのではないでしょうか。

ところが、こんどのレガシィの姿を見るとどこが低重心なんだか理解不能だし、背の低いエンジンが収まっているはずのボンネットが分厚いのも如何なものか、という気がします。

水平対向エンジンのメリットを敢えて捨てているように見えてしまうこんどのレガシィのデザインが、ユーザーに共感を得られるかどうか気になるところです。
実用性重視の普通の人の為にエクシーガを作ったのだから、レガシィは従来路線の延長で考えるべきだったと思うなぁ...

技術的には、エンジン搭載方法の変更やそれに伴うレイアウト変更など、水平対向エンジンのネガを潰して将来に繋げるべく努力されたように見えるけれど、マーケティング的な狙いは「水平対向の否定」のように感じられてしまいます。

こんどのレガシィ、ビジネス的にどうなるのでしょうか。

某日、以前のブログで紹介したSZを運転するチャンスが訪れました。

このSZのオーナーは、長年イタリア車を乗り継いでいて、かつてはランチア・プリズマ・インテグラーレという、日本国内では非常にレアなクルマに乗っていました。実は僕もかつてプリズマ・インテグラーレ乗っていたので、それを知った時はお互い非常に驚いたと同時に妙に親近感を抱いたのでした。

そんなオーナーからの「SZに乗ってみますか?」という申し出に、ありがたく乗らせて頂いたわけです。

超個性的なザガートデザインのボディを与えられたSZですが、機械としてはアルファ75のライトチューン版です。アルファ75は見た目は普通のセダンですが、アルフェッタ由来のトランスアクスルFRで、ドディオンアクスルのリアサスとインボードブレーキを持つ個性的というか理想主義的なシャーシーを持っています。そのシャーシーを低く固めたのものがSZに使われています。エンジンは、傑作の誉れ高いアルファメロオの60°V6を軽くチューンしたもので、3リッター210馬力。現行のマツダ・ロードスターと似たようなサイズ(但し、若干重めで1300kg程度あります)のクルマに3リッターV6が載ってます... と、ここまで書いて気付いたけれど、以前こんなの欲しいなんて勝手な夢想を書いたものに近いじゃないの。

そんな予備知識をアタマの引き出しから発掘し、知ったようなことを言いつつ緊張しながらSZのギアをローに入れクラッチを繋ぐと、繋ぐと... ランサーのように無造作に繋ぐわけにはいかず、アイドリング+α程度の回転で微妙な半クラッチを使いソロソロと走り出すのが良いようです。既にエンジンは温まっているので3000rpm辺りまで踏み、2速へ... シフトストロークはやや長いかな... でもミッションから離れているのにタッチは悪く無い... けれど、1速と2速のギア比が妙に離れちゃってるなぁ... ギア比の設定はALPINAに似てるかも... と、そんな思考をぶった切るように割り込んでくるのは、惚れ惚れするようなエキゾーストノート。アルファロメオのV6は初体験でしたが、素晴らしい快音を奏でます。ちなみに、SZには専用のエキマニが組まれており、同一種族のエンジンを搭載した他のモデルとは全く異なる音なんだそうです。

運転環境としては、右のミラーがほとんど役に立たなかったり、ヘッドクリアランスが数センチ程度しかなかったりと気になる部分もあるけれど、それを改善する為にザガートのデザインに手を加えなければならないのなら現状のままで良いですね。
ザガートデザインの魅力的なボディがあってこそのSZですから。

ある意味ランサーとは対極の「デザインと音に惚れる」SZですが、こんなクルマも堪らなく魅力的なのでした。