
おかげさまで、道路のふしぎシリーズも第3回目となりました。
そもそもシリーズだったのか?
道路のふしぎ:洗い越しって何?
道路のふしぎ2:坂道にある標識の〇%って何?
今回も、皆さんの
興味のない知らない道路の世界にスポットを当ててみましょう。
※法律の漢数字は読みやすさの便宜上、アラビア数字に置き換えています。
皆さんが街中を運転をしている時、ふと気づくと道路沿いにたくさんの樹が植えてありませんか?
いわゆる街路樹ですね。
主に歩道の一部に植えこみが作られ、そこに植えられています。
日本全国、どこでも似たような作りになっています。
別に樹なんて植えなくても、道路と関係無いし……。
維持費もかかるし、剪定するのに車線規制したりしてるし…。
なんでわざわざ植えてるの?植えないといけない決まりでもあるのか?
実は決まりがあります。
街路樹は歴史が長く、日本の道に植樹をする文化が発生したのは、700年代と言われています。
当時の天皇などのエラい方々が、
道を行く人々が木陰で休憩出来たり、飢えたりしないように果樹を並木のように植えた事が記録されています。
長らく休憩、距離の目安としての役目を果たした街路樹ですが、明治時代にもなると緑化推進の為に植樹するようになります。
このように歴史深い為、道路に樹を植える事は道路法及び道路構造令にて定められています。
道路法の第2条に、
道路の附属物として「並木または街灯(後略)」という記載が在り、植樹は道路の一部と見做されています。
道路構造令では第11条として
第4種第1級及び第2級の道路には、植樹帯を設けるものとし、その他の道路には、必要に応じ、植樹帯を設けるものとする。ただし、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においては、この限りでない。
※植樹帯とは、専ら良好な道路交通環境の整備又は沿道における良好な生活環境の確保を図ることを目的として、樹木を植栽するために縁石線又はさくその他これに類する工作物により区画して設けられる帯状の道路の部分をいう。
とあり、要は草木を植えなさいという事が政令で定められています。
※画像:千葉市街路樹「まちの並木」ニュース様
では、樹を植えなければならない第4種道路、とはどのような道路でしょうか。
少し触れてみましょう。
道路は、道路構造令により第1種~第4種に区分されています。
第1種:
地方部の高速or自動車専用道路
第2種:
都市部の高速or自動車専用道路
第3種:
地方部の一般道路
第4種:
都市部の一般道路
※都市部とは、市街地又はそれを形成する見込みのある地域を指します。
例えば川崎市、横浜市などは全域が都市部となります。
となっており、第4種はさらに以下のように級が分かれています。
つまり、樹を植えなければならない道路とは、
都市部の一般道路で、国道なら全て、県市道は4,000台/日以上の交通量が見込まれる場合となります。
とは言っても「本当にそうだったかな?最寄りの国道にそんなものあったか?」と思われるでしょう。
246号線長津田付近を見てみましょう。
こんなところに植樹帯なんてないじゃないか、電柱だけだろと…。
実は歩道の広さが関係しています。
しばらく進んで歩道が広くなると、左手にツツジの植樹帯が出て来ました。
植樹帯は1.5mを基準とした幅員をとる事が求められていますので、歩道が広くとれなければ設置出来ない事も多いです。
1m程度の幅員である事も現実には多いようです。
とはいえ、手入れの予算もありますので植樹帯が都度管理されているとは限りません。
この国道6号線の写真では、左と右で管理が全く違う事が分かります。
左はキレイに整えられていますが、右はただの雑草帯です。
限られた予算の中では、こういった事にもなりがちです。
放置に見かねて、付近の店舗の方が手入れしている場合もあるようです。
では、植えるべき植樹の樹種は何でしょう。
日本で一番人気なのはイチョウ
次いでサクラ、ケヤキと続きます。
低背の樹では、ツツジが人気です。
これらが好まれる理由は
・過酷な環境に耐える
・枝の選定などに耐える
・樹自体の美しさ
などが挙げられます。
他、都道府県や市町村の定めた樹が植えられる事がありますが、大抵は落葉樹が選ばれるようです。
樹を植えなければならない事は解りました。
では、最終的な目的は何でしょうか。
植樹の主な目的は
①歩行者と自動車の分離、安全化
②自動車の粉塵、排ガスの吸着・吸収
③直射日光の回避、ヒートアイランド抑制
④騒音の反射音吸収
⑤道がある事を示す視線誘導、交通の安全
⑥市街地、景勝地の景観向上
⑦交通事故の予防、緩衝材
等が挙げられます。
色々ありますが、様々な効能が期待できるので植えましょう!
という事ですね!
植樹帯の上位クラスのような位置づけに、環境施設帯という存在もあります…。
しかし、良い事ばかりではありません。
冒頭での維持費、手間等もありますが…
常磐道の高萩インターチェンジから高萩市中心部まで通じている茨城県道67号線。
県道とは言え、常磐道から国道6号線の間を結ぶ高萩市の交通の要となっている道路です。
植樹帯として、イチョウとツツジが植えられています。
これだけなら、何の問題も無いように見えます。
しかし、この植樹帯。
この並べ方がまずい…。
横断歩道まで来ると、わざとか?と思う程の緑の壁で、
右から来る車が見えない。
さらに86くらいの視点だと、歩道でかさ上げされたツツジも重なり、全く見えない。
写真は86くらいの視点にかがんで撮りました。
同じ理由で左から来る車も見難い。
私はこの十字路で右折をあまりしません。
仕事用のエブリィならまだ見切りが良いですが、86ではだいぶフロントを突っ込まなければ左右の安全が確保できません。
また、根元の植樹桝に雑草が生い茂り、美しくありません…。
隣接する茨城県道111号線まで来ると、
世紀末の様相。
すぐ隣に数百世帯の住まう団地があるので、これでも人通りはそれなりにあります。
もはや植樹帯ではない方が元気。
ちなみにヒョロくて背の高い草は、セイタカアワダチソウというヤツで、群生して2m程の壁を作ります。
田舎では休耕田やアスファルトの割れ目からたくさん生えて、交差点で歩行者や自動車を視認しにくくする不届き者です。
英語では、
カナディアンゴールデンロッドというらしい。
プロレスの決め技みたいな名前だな…。
おっと、田舎の緑の元気を見せるのが目的ではありません。
これは道路のふしぎコーナーでした。
本来美しく機能的な物も、使い方や手入れによっては害を成してしまい、無い方が良いのでは?と思われてしまうケースもあるという事ですね。
横浜市瀬谷区の海軍道路とか、昔は好んで通っていました。
これもよく手入れがされていて美しいからですね。
このような植樹帯なら歓迎です。
※画像:風景印集めと日々の散策写真日記様
皆さんも、街中を走行中にふと歩道を見ると、知らなかった素敵な樹が植わっているかもしれませんよ。
さりげなく、住宅街を守ったり、歩行者を守ったりしてくれています。
いつもの道路が少し魅力的に見えるかもしれませんね。
Posted at 2017/07/05 01:31:21 | |
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